- Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
- / ISBN・EAN: 9784391138689
作品紹介・あらすじ
古都・鎌倉の山の上。静かな住宅街に1軒のパン屋がある。夫婦二人三脚で営むパン屋には、ショーケースも看板もない。あるのは、小さな家庭用オーブンで焼き上げる、シンプルなパン。だが全国からのオーダーは後を絶たず、順番待ちは3年にもなる。ある者は愛する家族のため、ある者は病と闘いながら、パンがやって来る日を、じっと心待ちにしている。人々に幸せと生きる勇気を届けるそのパンは、いつしか"天使のパン"と呼ばれるようになった-。
感想・レビュー・書評
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食べ物がちゃんと手から手に渡るシンプルで
実は当たり前のそこにある 大切なこと なんだろうな…詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
レース中の事故が原因で頸髄を損傷してしまった多以良さん。その後遺症で体には麻痺が残り、そして脳機能障害も残った。
そんな多以良さんがリハビリの一環として始めたのがパン作りだった。お菓子作りが得意だった多以良さんは退院して五カ月後にはイベントに出店することができた。それがきっかけでパン屋さんを始める。
多以良さんが作るパンは食べた人、また食べることを待っている人に幸せや勇気をくれる。それは相手のことを想い、そして考えながら時間をかけて作ってくれているからではないでしょうか。もちろん奥さんの献身的な支えと理解があるからだと思います。そう、この天使のパンには物語がある。その物語も一緒に食べるから余計に美味しいのかもしれません。
今後も一人でも多くの人に天使のパンを届けてほしいです。 -
ここに競輪の事故を乗り越えて
後遺症を抱えながら
一生懸命に頑張っている男の人と支えている妻がいた。
リハビリを兼ねて始めたパン作りだが、
1人1人、注文してくれた人の事を思い、
旦那さんが『心を込めて』パンを焼く。
そのパンを食べたひとはみんな元気や勇気をもらえるそうである。
作り手の心って、相手にも伝わるものなんだね。
素朴だけれど優しくて軟らかくて食べると勇気が湧いて元気が出て涙が溢れるパン。
マスコミで報道されて、あっという間に注文が殺到してパソコンがパンク状態になったそうだ。
おかげで三年待ちらしい。
それでも大量生産などはせずに、一個ずつ三時間かけて作って、奥さんが手紙を添えて全国の注文をしてくれた人たちに送っているそうである。
陰ながら心から応援したくなるそんな夫婦の話である。
我が家の話になるが、
いつも素朴なパンしか私は焼かない。
子供たちは
『美味しいね、お母さんパン屋さんになれるね。』
というので、
『お母さんは素朴なパンしか焼かないよ…』
と言うと、
『素朴なパンなのがええんやがね~!!』
とすかさず幼稚園の次男坊が答える。
それはこちらとしても有り難い話である(笑)
またある朝には、
オニギリをつくって!と言われることかある。
『お母さんのエネルギーがギュッと詰まっていて、食べると元気になるの~』
と言うのも次男坊なのだ。
だから、なるべく朝は次男坊には
オニギリをむすんでいる。
目には見えない何かを子供たちは
感じ取っているのかもしれない。
食べてくれる人を想いながら作るって
大事な事なんだな…
と改めて気づかされた一冊だった。 -
食パン1200円という事で,逆転の好感触~小学生の頃から競輪選手になろうとトレーニングに励み,中学でラグビー部,高校で陸上競技部に所属し,高校卒業前から競輪学校の適性検査に落ち続け,年齢制限ぎりぎり技能で合格。レポーターをやっていた4歳年上のモデル・女優・舞踏家と結婚,入籍前から鎌倉に作っていた家に住み始めて3ヵ月,埼玉で落車事故に巻き込まれ,中心性頸髄損傷で一生寝たきりになる可能性を指摘されたが,必死の看病とリハビリで3ヵ月後に自宅へ。左半身に麻痺が残り,頭痛も酷いので,大学病院で診察を受けると高次脳機能障害の診断を受け,起こりっぽくなったり,手順通り進まないとパニックを起こす原因が分かった。得意だったケーキ作りをイベントのショップで披露し,手先を使うなら陶芸よりもパン種を捏ねることに使ったらどうかと思案し,大当たり。3時間掛けて一つの食パンを焼いて,3つ4つと細々と世に出していたが,口コミと紹介テレビで評判となり,3~4年待たないと食べられず,天使のパンと評判を取るに至った~35年のローンは競輪の労災補償で返済できるが,生活費は奥さんの収入に頼る。1200円の値段は一斤分ではないだろう。三斤分なら決して高くない。美味いなら猶のこと。大変だろうけど,頑張ってください
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テレビでも放映され話題になった、競技中事故にあった元競輪選手とその妻が二人三脚で焼くパンのお話。健康に気をつけていつまでも仲良く頑張っていただきたいと思います。