吉祥寺ハモニカ横丁のつくり方

  • 彰国社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784395320592

感想・レビュー・書評

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  • 屁理屈ばっか

  • 吉祥寺のハモニカ横町を通じた、これからのデザインを語る本。


    気になったキーワードを踏まえて創文。

    チャンスオペレーションを鍛える。いつでもつかみにいける準備。

    人間の生活と日本に根づいた小さな木のシステム。横丁のスケール感を生み出すベース。

    横丁
    結託することでしか成立しない脆弱なシステムだからこそ生まれる価値。

    近接こそが他社に対する影響を生む。意図的なブラウジングの要素。

    内発性のマネジメント。ファウンドハモニカという名の運動。言葉でつくり方を書かないつくり方としてパタンランゲージとは違うフォーマットにつくり方のヒントがあるか。


    感想

    豊かさの指標が「遊び」にあるのなら、ハモニカ横丁はそんな「遊び」になじみやすくもうつろいの場となりそうである。よく、失敗を恐れずにというが、真剣に遊んでいるうちは怖さはない。ハモニカ横丁にはくだをまくサラリーマンはなじまないという表現がしっくりきた。

  • 「雰囲気をつくる」ことを科学している本。
    居酒屋に行った時の見方が変わる。評論家気取りになっちゃう

  • 2018/05/09

  • 『台湾人の歌舞伎町』を読んで、都市の成り立ち、街のでき方が面白いと、続けて”横丁”ものを読んでみた。なにしろ「つくり方」だ(笑)。

     人気の街、吉祥寺の多面的な側面の1つを成すハモニカ横丁。かつてこの界隈に暮らした同世代の知人の話を聞いても「昔は近寄りがたかった」という声が大半。新宿の歌舞伎町が荒んでいた90年代と同じような時期が、ハモニカ横丁にもあったのだろう。そこに、21世紀を前にして、ハモニカキッチンというモダンな内装で店舗展開を図る手塚一郎なる人物が登場し、この横丁は変化していく。
     著者の建設評論家倉方が、手塚と共にハモニカキッチンの各店舗の設計・内装に携わった建築家・デザイナーと対談しながら、この横丁の成り立ちから、今後の日本の街のあるべき姿までを語っていく、ローカルからグローバルな面白い展開の一冊だった。

     手塚がハモニカ横丁に最初に求めたのが、今年(2017年)35年ぶりに続編が作られたあの作品の雰囲気だというのが面白い。

    「映画『ブレードランナー』に出てくる横丁には、暗い闇と打ち水された道に光が反射し、煙があふれている。あれを観て、焼鳥で煙を出してみたいと思ったんです」

     こりゃ、我々世代の気持ちを鷲掴みにするはずだ(笑)
     現在、手塚が手掛ける店舗はハモニカ横丁だけで13店舗ほどあるという。名前に惹かれて「モスクワ」という店舗に先日入ってみたが、周りの店のメニューを持ってきてくれるのは、そういう仕組みだったか。横丁全体が、みんな共同体なのかと思ったら、一応、手塚傘下のお店ということなのだろう。それぞれメニューはもちろんのこと、和洋中や店の作りも異なるから別の店かと思った。できれば、そうあってくれたほうが面白いのだけど、いずれの日にか、このネットワークが核になって、他店舗ともそうした有機的な繋がりが生まれていくかもしれない。

    「店は一種の総合芸術です。建築とインテリア、音楽、食事、いろんなものをかき混ぜながら、10~20の仕掛けをつくり、偶然的な出来事をつくっていく。でも、お客さんが気づくのはそのごく一部。」

     内装屋や建築家を次々と変えて店舗を作り、「日本の飲食の世界にエリートは来ない、外国人を引き受けないと未来はない」と外国人を積極的に採用したり、各店舗にはまだまだ面白い仕掛けが潜んでいそうだ。これからも訪れるたびに違った面を見せてくれるのかと期待が膨らむ(まだ4店舗ほどしか利用していない)。

     手塚の発想が面白い。

    「僕の原動力は、飽きることなんでしょうね。」
    「計画的なのは嫌いなんですよ。なるべく行き当たりばったりに生きようとしている。ピンチが好きなんです。」

     なかなか危険な発想だけど、観客として訪れる側としては、ひたすら楽しみだ。

     そんな手塚の発想を生んだ素地の話も興味深い。団塊の世代として育った手塚は、”戦争に負けて民主主義をたたき込まれて育ったけれど”、民主主義の恩恵などなにひとつ享受してこなかったのだろう。
    「現実の社会で、多数決みたいな仕組みはほとんど機能していない」と見抜いてからは、「自分のことだけはリアルに感じることができるから、自分の中で起きることに、正直に少しずつ対応していこうと」と、「チャンスがあったときにパッとつかめるようにしておく。」「商売の偶然をうまくつかまえるチャンス・オペレーションに焦点を絞りたい」と、自らの運動神経に磨きをかける。
    「事業は継続しなければならないという前提なんて幻想です。」と、世に蔓延するビジネスセオリーなんてクソくらえの心意気だ。

     今や、日本中どこへ行っても、金太郎飴な駅前や郊外の幹線道路沿いの街並みしかない時代。そんな風潮に風穴を開ける(かもしれない)、小さな路地がここにある。
     ハモニカ横丁の横展開でもある隣の駅三鷹のハモニカ横丁ミタカの設計に携わった建築家原田真宏が言う、

    「計画的に非計画的な場所をつくるというのは、矛盾していますから。」

     それに敢えて挑もうとする手塚の挑戦。
     しばらく、目が離せないね、こりゃ。

  • 都市再開発論で、家主の側をこれだけちゃんと喋らせるのは面白い。ハモニカが透明でくだが巻けないだろう、というのは非常に的確だし、今の状態のよい描写だと思う。
    つくるというよりハモニカの意思を見ていく、というほうが近いかな。三鷹のハモニカって見たことないから今度行って見ようか。

  • ハシゴしたくなりますね。

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著者プロフィール

倉方俊輔 Syunsuke Kurakata
建築史家。東京生まれ。大阪市立大学教授。
著書に『東京建築ガイドマップ』(共著・小社刊)、『生きた建築 大阪』(共著・140B)、
『東京建築 みる・あるく・かたる』(共著・京阪神エルマガジン社)、『ドコノモン』(日経BP社)など多数。

「2022年 『東京レトロ建築さんぽ 増補改訂版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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