サイバー・インテリジェンス(祥伝社新書) (祥伝社新書 434)

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396114343

感想・レビュー・書評

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  • 文字通り、サイバー攻撃についての話。

    これまであまり知る機会のなかったサイバーハッキングについて知ることができた。

  • インターネットの発達・普及に伴いインターネットを利用した犯罪やテロなどが増加していることから、最近そんな犯罪やテロに関係する本をよく読んでいる
    その流れで、本書のチラシ等に「インテリジェンスの標的が企業や個人に変わってきた、日本は、個人は、どう対応すべきか?」とセキュリティ対策のようなものになっていたことから、本書を読んだのだが、タイトルどおり本当にサイバーインテリジェンスに特化した内容で、正直拍子抜けでした

    著者は自衛隊のサイバー戦部隊の隊長等を歴任し、現在セキュリティ会社ラックの研究所長として日々インターネット空間における情報戦などの動向に注目しているようだ
    そして著者は、
    ・サイバー攻撃は抑止が困難
    ・費用削減はセキュリティ予算の削減から行われる
    ・未知のウイルスは検出不可能
    と考えられることから、情報収集・分析が大事であり、日本としては、サイバーインテリジェンスを重視すべきだ、という結論に至る

    正直いうと、ただそれだけ、という感じの本
    チラシにあるような個人としてインテリジェンスにどう対応すべきかという論点はあまり感じられませんでした

    読書状況 読書時間90分、ページ数207ページ

  • 元陸上自衛隊システム防護隊長で情報、サイバー分野の経験がある筆者により、分かりやすくサイバーインテリジェンスの現代までの流れや、インテリジェンス分野での視座を与えてくれる。
    読み物としても過去の有名な事象などを例にあげ、個人的な見解も踏まえながら、面白く読める一冊。

    ソニーのハッキングやスノーデンの告発などを事例として、公表されている事実以外に、インテリジェンスの世界ならばこう読むという見解を示している。インテリジェンスの世界では公表されている情報は、それ自体が意図があり公表されていると見なければならない。筆者も含めて真実を知るのは難しく、推察の域を出ないが、情報を見る目を補強してくれる。

    孫子以来のインテリジェンスの普遍的な原則、日露戦争でのイギリスのインテリジェンスの日本勝利への貢献、などからインテリジェンスの流れを辿り、インターネットの発展、海底ケーブルの重要性や衛生通信の特徴まで触れている。
    サイバーインテリジェンスというと特別なものに思いがちだが、過去から人間は目的達成のためにインテリジェンスを利用しており、その延長線にサイバーインテリジェンスもあると捉えたほうがよい。

    他方でサイバーインテリジェンスにも特徴はあり、報復による抑止の難しさ、犯人特定の難しさ、国際法の戦争法規が適用されない、など、他のインテリジェンス手法や武力手段よりも拡張した領域として考える必要がある。

    アメリカはインターネットの地の利や自国のインターネット企業などを利用して、またテロとの戦いを建前に個人情報を多く搾取しインテリジェンスとして活用ている。
    また、自国に有利である現状であれば、あらたな国際的なルールで制約などは設けず、むしろ自国に有利なようにルールや解釈を変える傾向にある。

    サイバー領域では民間企業やインフラに対する攻撃も懸念となる。
    アメリカのインフラは実は脆弱性が高いと言われている。国家としても民間企業にコストをかけたシステム刷新が強要できないため。
    また、どの国でも民間企業が危ういのは、民間企業vs他国の国家など、の構図である。
    民間企業もコストをかけて自社システムをサイバー攻撃から守ろうとするが、コストにも制限がある。攻撃元がが国家である場合コストでの対決ではどうしても不利になる。

    日本はインテリジェンス機関全体に構造的欠陥がある。
    これは、アメリカが第二次世界大戦後にうまく組み込んだ罠のようなものと言える。
    陸上自衛隊はシギントに特化しており、自衛隊内に総合的なインテリジェンス機関が存在しない。
    また、人事ローテーションが多いため専門家が育ちにくい。

    日本は過去の歴史を振り返り、インテリジェンスがどのように国を救ったか、インテリジェンスを軽視するとどんな結末になるかを考え、構造的欠陥を無くしていく必要があると感じた。

  • 大学で必要そうなので読む予定

  • わたしにとっては大変衝撃的な危機感を持つ本でした。

    「戦争論」で有名なクラウゼヴィッツの一文「戦争とは力をもってわが意思を相手に強要することである」を、これこそが戦争の定義だと思う。「力ずくで相手国を従わせること」と解説してくれています。

    その戦争の「力」を三つの力、軍事力、お金・経済力、知恵・情報力の、軍事戦争、経済戦争、情報戦争の中で、世界はすでに今、情報戦争の時代に入っている、と警告を発せられています。

    いまの日本は完全に、アメリカだけでなくて、近隣諸国からも「情報戦争」でいいようにやられっぱなしです。

    武器の代わりに情報を武器として使う、目に見えないように自分たちの意思を強要する。
    他国を貶めることで、自分たちの国のステータスが上がり、製品が売れて、情報を操作することによって自国に有利になるのなら、それで目的は達成される。

    第5章では日本のサイバーインテリジェンスの状況と問題点、重要性を書かれていています。

    近代国家のもっとも重要な役割は、そこで暮らす人々の安全な生活を保障すること、とりわけ外敵から国民の生命や財産を守ることである。

    世界はすでに「情報戦争」の真っただ中にあり、世界各国がサイバーインテリジェンスに力を入れている今、周囲が急速に進む中、日本だけがゆっくりと進めば、それは事実上の後退なのだ。

    インテリジェンスに必要なのは選別と分析の能力
    日本のインテリジェンスが弱い理由
    意図的に組み込まれた「構造的欠陥」
    独力では決して戦えない仕組み
    専門家を養成しにくい人事システム
    日本がカルタゴの轍を踏まないための、カルタゴの運命に何を学ぶか

    この本の出版は2015年です。
    いまの日本の状況は経済力も落ちて、自然災害も多くて、5年前よりもさらに悪くなってしまっているようにしか思えません。

  • ●19世紀半ばから有線方式の電信が発達すると、ほどなく海底ケーブルによって大陸間がつながる、世界的な通信網が出来上がった。いち早く海底ケーブルの重要性に気づいたのがイギリスである。
    ●2014年にSonyピクチャーズをハッキングしたのは本当に北朝鮮だったのか?
    ●サイバー攻撃に対しては、抑止が困難である。なりすましてやっている場合もあるので、反撃をするのが難しい。
    ●いち企業がセキュリティーシステムの構築にコストをかける事を期待するのは非常に難しい。したがって国が肩代わりすると言う方法が考えられる。数千億から兆の単位の開発費をかけて、日本全体を守るネットワーク監視システムを使って作ってしまうと言うアイディア。
    ●TORはザ、オニオンルーターの略
    ●解読不能と言われていたドイツの暗号機エニグマ。チューリングが解読。
    ●日本はカルタゴの運命に何を学ぶのか。

  • 現代社会のサイバー攻撃などの、インテリジェンス全般がわかりやすく書いてある。ある意味目に見えない闘いが日々繰り広げられていることがわかる。
    どちらも騙し合いで真実は何なのか?表に出てくる情報はほんの一握り。

  • インテリジェンスとは何か。情報の表面的な意味だけで終わらす、それが発信された意味、利益等の裏を何重にも読んで真実を推定すること。
    サイバーインテリジェンスとは何か。これまでの情報とは本質的に違う。

  • "アルビン・トフラーさんは、著書の中で、技術革新を大きな波と定義して、第三の波が20世紀後半に起こっていると我々に視座を与えてくれている。第一が農業革命、第二が産業革命、第三が情報革命。本書の著者は、「力(ちから)」と拡張して、それぞれの波で大きく世界を動かす力とは、第一の波では軍事力、第二の波では経済力、第三の波では知恵、情報力と喝破している。
    利害関係のある複数の集団の中にいる場合、相手がどんな思考で、どんなことを考えているのかを知ることは、今後の行動を決めるうえで自分に有利な方向に導けることになる。
    国家間では、日常的に行われていることだが、日本のそれは立ち遅れていると、警笛を鳴らしている。
    突き詰めると、いわゆる参謀となっている人物が日ごろどんな生活を送って、どんなことを考えて、次の一手をどうするつもりなのかを知るために、究極の情報戦力はテレパシーのようなものになるのかもしれない。
    映画では、「スキャナーズ」や「フューリー」といった作品を思い浮かべる。
    「スターウォーズ」でも、ジェダイマスターはフォースの力で、相手に自分のやってほしい行動をさせてしまうシーンがいくつも出てくる。
    「ブレインストーム」という映画では、ある人物の体験したそのものを第三者が追体験できる装置が出てくる。「マトリックス」の世界も荒唐無稽な映画ではなくなる現実社会が到来すかもしれない。

    仮に、そんな社会になったとき、国家はどんな行動をとるのだろう。そんな未来社会をどなたか小説にしていただけないでしょうか?
    本題とは、少々離れてしまったが、情報や知識をいかに活用するかという社会に生きている我々は、リテラシーとしての情報管理、情報活用、情報発信を身に着けておくべきことなのだろう。"

  • 元陸上自衛隊システム防護隊隊長のサイバーインテリジェンスに関する書籍。新書なので、入門編的な。
    サイバー空間の諜報活動と犯罪と戦争の区分けについて協議した『タリン・マニュアル』についても言及されているが、あいまいな現状に利益を感じている米国は明確化を望んでいないのだろうと言う解説には納得できた。
    そして、インテリジェンスについて認識も対策も遅れている日本は、なおのことサイバー空間を利用したインテリジェンス及びカウンター・インテリジェンスに活路を見いだすべきとの提言については、出来ればより詳細に記したものを読みたいところである。

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