- Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
- / ISBN・EAN: 9784562053414
作品紹介・あらすじ
陸上自衛隊のシステム防護隊初代隊長、我が国のサイバー戦争の第一人者として知られる著者による、定義や範囲から技術論に至る本格的なサイバー戦争論。様々な実例を挙げ、また関連用語集を付してわかりやすく解説した時代の必携本!
感想・レビュー・書評
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自衛隊サイバー防衛の第一人者ということで、具体的な攻撃内容に(これ以上は秘密という範囲で)触れていることを期待したが、教科書的な一般論しかも抽象的な概論に徹していて特に新しい気づきも得られなかった。
戦争に関する本からは最新の情報は得られないのは常識なので、情報開示に過度な期待をしてしまったことが間違いでした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【感想】
人間が種として変化しない以上、戦争の基本も変化しない。
ただし、専門性をより失い、よりゲリラ化していく戦争の形態の一つとしてサイバー戦争(情報戦含む)がある。
そして、攻撃側の圧倒的有利が進んでいく中、先制攻撃の正当性よりも印象操作としての情報戦が日常化しており、あらゆる人が常在戦場状態になっているとの事。
A=アトミック兵器(原子力)
B=バイオロジカル兵器(生物)
C=ケミカル兵器(化学)
D=デジタル兵器
のうち、D兵器はハーグ条約による交戦者資格があるか不明瞭になっていく。
9.11の大規模テロ行為を当時のアメリカ大統領が戦争行為として捉え、
その報復としてテロ行為による首謀者の暗殺を謀り、
これがテロ=犯罪ではなく、テロ=戦争という前例を(アメリカが)作ってしまったこと
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D兵器の抑止力を、法的ではなく軍事力での報復で行うことを(アメリカが)進めていること
これらと、現在の2020年現在のアメリカ大統領のSNS発言を組み合わせると、かなり怖いことが起きる可能性が現実味を帯びてくる。
つまり、
大統領のSNSに端を発する中傷合戦
→誰が行ったか分からないD兵器による攻撃
→D兵器に対する軍事力での報復
これは、相手が誰であると第三者が確認できないままに軍事力での攻撃をふっかけることができるという事であり、開戦までのハードルが低くなっているのではないか。
【面白かった所】
ノイマン型コンピューターの、
「プログラムとデータを同一メモリ内に置くことで、高価なメモリを効率的に使用することになった反面、物理的に二つを分けることができなくなったために抱え込むことになった脆弱性」
と、
インターネットがそもそも持つ
「関わり合う人たちがある程度の知識を持っており、互いに信用できる人であり、信用し合っているという前提」
この二つを元にしている現代ネットそのものの脆弱性お説明が非常にわかりやすい。
また、ウイルス、ワーム、メデューサ、トロイ、そのあたりの用語解説もわかりやすい。 -
サイバー戦争論の概要を分かりやすく解説。個別の技術や議論に深入りせず網羅的で、防衛大学の教科書的なイメージ。
抽象論が多いが、サイバー戦争の具体的事例を紹介した部分は、特に面白かった。 -
【243冊目】一応読んだけど、あんまり自分の身になった感じはしない笑。
「IT用語」?笑、的な言葉を文系の私にも分かりやすく解説してくれているのはありがたかった。ほとんど覚えてないけど笑。
第3章「サイバー戦争は始まっている」は、実際に発生した事象のサイバー攻撃的側面に着目して解説。やっぱり実際の文脈に落とし込んでもらうと、すごく腹落ちする。 -
以前、イフコンで一緒に呑ませていただいた伊東さんの書籍
「サイバー戦」(化学戦などに対する概念として)
「サイバー戦争」(核戦争などに対する概念として)
について、単なる技術論に終始せず、その特性(そもそも「戦技」として成立するのか否か)や、その「法的側面」について実例や最近の動きを元に述べられている。
特に、サイバー戦/サイバー戦争については、国際法、国内法ともに未だ解釈や整備が追いついていないのが現状であり、で、あるからこそ、その法的側面を検討し、対処するための法整備は極めて重要であろう事は理解できた。
なお、文章が思いのほか読みやすく、わかった気になれてしまうのが欠点かもしれない(^^; -
東2法経図・6F指定 391A/I89s/Yoshida
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元陸自システム防護隊長が、サイバー戦争及びサイバー戦の現状と課題を解説。
非常に示唆に富む内容ではあるが、国際人道法や定義問題等については、もう少し詰める余地があった感じを受ける。
日本は、サイバー攻撃に対して敵基地攻撃と同じ論理で攻撃元へのDoS攻撃は可能か。その際の反撃が不正アクセス禁止法や刑法に触れる可能性は、正当行為となる可能性は、などなど、この本で提示されるサイバーに関する法的課題は興味深い。
サイバー攻撃に関する本は巷に溢れているが、その多くはサイバー犯罪としてのサイバー攻撃についてのものであり、安全保障に特化したものはあまり見受けられなかったので、勉強になる。荒削りな感じはあるが、この分野の入り口としては非常に良かった。
この本において問題提起されている内容を研究してみるのも面白そう。 -
知らぬ間にネットの世界では大変な方向に向かっている
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私にとってはやや専門的だった。冒頭にも新書で書いたやつよりも専門向けとの記載あり。
「サイバー戦争」や「サイバー戦」の本書での定義などしてくれていて親切。昨今のサイバー攻撃の云々がどうやって行われてるかかかれていてわかりやすかった。先日の陸自のシステムに入られたのもこういうことだったのかなぁと想像できるクオリティ。
さすがに脆弱性を見つける具体的な技術というか方法までは書いてない。さすがに技術書の領分か。
391 -
著者による2冊の新書と重複が多いことの理由をはじめに断っている。対象読者が異なるからまあいいか。
論旨,主張は納得できるのであるが,技術的技術が正確でない点が気になる。で星一つ減。特に,第4章の記述は技術的に不正確な点が多い。
新書よりは本文の用語も一般的になっているが,巻末の用語解説には問題のある説明がままある。
・APIの英語は違うし説明もおかしい。
・TLSの説明にはSSLへの言及が必要。SSLはもう使ってはいけないプロトコルであることも明記すべき。
・クラウドの説明は意味不明。
・ハッシュ,バッファオーバーフローの説明もおかしい。
といった具合。
「安全保障危機管理学会 サイバー防衛研究部会」のメンバー達,本当にチェックしたのか?こんなレベルの人たちで研究できるのか,と心配ではある。