日本史集中講義: 点と点が線になる (祥伝社黄金文庫 い 2-10)

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  • Amazon.co.jp ・本 (363ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396314323

感想・レビュー・書評

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  • 学校での歴史教育を批判することから始まる。
    確かに学校では、丸暗記に近い感じで教えられるけど、この本を読むと歴史はつながっていることが良くわかる。
    少しでも歴史を勉強していれば、この本でまさに「点と点が線になる」。
    聖徳太子の十七条憲法が、明治維新の船中八策までつながっていることの説明はみごと。

    自己主張しリーダーシップを取ろうとすると排除したがる日本人特有のの風習は「十七条憲法」で説かれている話し合いで物事を決める精神の影響があることも的を得ている。
    そのため日本では独裁者が生まれず、革命が起こらない。
    まさに、今の日本を象徴していると思う。
    小沢さんなんかがいい例である。
    橋本さんも「独裁者が必要」って言ってたのも納得できる。

    その他、最近名古屋市長が言っていた、南京大虐殺のことも、この本では述べられていた。

    歴史を語るには宗教を理解しなくてはいけないこともこの本でも再認識した。
    ・なぜ、信長が延暦寺を焼き討ちにしたか(寺社は武装集団だった)
    ・江戸時代のキリシタン禁止は、外国の日本侵略を阻止できた。

    こんな本を学生の頃読んでれば、もう少し歴史を面白く勉強できたかなぁ。

  • 日本人の宗教観やアイデンティティを軸にして、日本史の繋がりが解説されており、その時代時代の考えや歴史的事実の背景や行動理由が理解出来た。

  • 日本史の流れについて、そのタイトルの通り点ではなく、その背景にある流れからの解説があり、点と点を線にしてくれる本。とても興味深くおもしろい。
    ・聖徳太子は何よりも和、話しあいで物事を決めること、調和を重視していた。
    ・オオクニヌシ、アマテラスの神話の話もおもしろかった。先住民と移住民の間で起こったであろうことなど。移住民が先住民をほろぼし、神話とともにそれを美化している。日本もアメリカも。
    ・日本人は死のけがれを嫌う。けがれとよごれは違う。けがれは精神的なもの
    ・墾田永年私財法は自分たちの土地を永年得るための法律。
    ・武士の時代、頼朝は武士が本当に何を望んでいるかをわかって幕府をたて成功している。平家はそれがわかっていなかったため滅びてしまった
    ・朝廷と幕府が併存できたのは文化面とけがれ仕事とで役割分担をできていたため。
    ・信長の時代の宗教戦争。日蓮宗、法華宗。本願寺と信長の関係。
    ・信長は政教分離をポリシーとしていた。武装解除を進めた。
    ・刀狩りは武士以外から武装解除すること。
    ・城下町も信長が作った。武士を職業として独立させるために。
    ・朱子学を導入推進することで、反逆がおきにくくなるようにした。すなわち道徳を変えることにより支配を絶対的なものとした。家康により。
    ・海外からみて城壁がなく、安全なのは信じられないようなこと。海があるからこそこのようなことが成り立った。

  • 歴史を縦糸で繋いでいく論説に、感動。高校の時に大好きだった日本史の先生の講義がよみがえってきた。俯瞰して見ることの大切さを感じる。現在の状況にも大いに繋がる見方であり、参考にしていきたい。

  • なるほど。確かに点が線につながり歴史が流れる大河のように感じられる。

    特に三英傑がそれぞれ引き継いで成しえた偉業。
    なぜ参勤交代が必要だったのか。なぜ楽市楽座がすごいことだったのか。確かに授業では分かったような分からないような感覚のまま進んでいった気がする。

    もう一回読んで頭の中整理して再度流れを脳に刻みつけよう。
    ってやっぱり勉強=暗記、の思い込み。悪い癖が・・・笑

  • 学校の教科書と歴史番組をミックスしたような本

    忘れていた日本史の時間を思い出した

  • 真偽は置いておいて、論理的に歴史のつながりと解き明かされると
    すごく気持ちがいい。

    出発点は聖徳太子の話し合いによれば必ず解決できるという発想。
    なぜそう言い切れるか?
    そこまで考えてないというのがここでわかる。

    次に武士はなぜ興ったのか?
    そもそもなんで貴族は警察や軍隊を持ってなかったのか?
    こういうのは学校で習ってない。
    荘園を守るために武士が興ったとだけ。。。
    本当に考えて勉強してなかったなー

    もっと歴史の本を読みたくなる良書だと思う。

  • 中学レベルの知識しかなかったが、今までの歴史上で起こった出来事が暗記ではなく理解で来たのでよかったです。理解することでもっとしりたくなりました。

  • 2007/7/15アシーネダイエー甲南店にて購入。
    2010/6/29~7/1

    ワールドカップで日本がPK戦の末、先が閉ざされた虚脱感から抜け出せないでいる中、井沢氏の本を読了。
     現在の歴史教育が点を限りなく覚えることに偏重している問題を指摘、なぜその現象が起こったか、を流れ(線)として掴まえないと歴史は理解できない、という氏の主張には賛同。日本人のもつメンタリティなども過去の歴史で日本人がどう振る舞ってきたか、を分析することで明確に浮き彫りになる。「和を以て貴しとなし、」ではじまる憲法十七条の一文を読むと、日本人がワールドカップなどの戦いの場に向いたメンタリティではないのだなぁ、ということがわかるような気がする。外交問題などが緊迫してきている今、日本人はもっと歴史に学び、活かしていかないといけないだろう。

  • 歴史というのは、時代ごとにぶつ切りで見るのではなく、全体の流れを見るようにすれば、何故過去にそのような事が起こったかの理由が分かるだけでなく、将来に向かってどのような事が起こるかを見通す材料とすることができる点で、意外と実用的な学問である。

    織田信長の比叡山・本願寺攻め、徳川綱吉の生類憐れみの令など、現代の常識で考えると一見冷酷な政策も、
    当時の事情・常識等を理解してから考えると、必ずしも冷酷なだけでなく、それなりの理由があって、
    行った事だという事が分かる。
    シェークスピア『ジュリアス・シーザー』の一節、『人が死ぬや、その善事は墓と共に葬られ、悪事は千載の後まで名を残す』

    日本は幕末まで、なぜ海外の脅威から安全だったかというと、
    海に囲まれた島国であり、
    中世まで全世界で最強の兵であった、大量の騎兵から攻撃される事があり得なかったからという説は、
    新鮮であり、素直になるほどと思えた。だが、蒸気船の登場により、
    海に囲まれているがため、世界一危険な国になってしまったというの皮肉である。

    アメリカ→日本
    対アジア戦略における貴重な補給基地。
    幕末は、船、現代は飛行基地として。

    不平等条約を防ぐためには、時代の前提状況は変わることもありうる。その場合はどうしたらよいか、事前に考えておく。

    日本で改革が進まない理由。
    聖徳太子、十七条憲法の時代から、もっといえば、神話の時代から、日本人は和の精神、話し合いを最重要視してきた。
    改革というのは、ある程度専権的な独裁者がいて初めて実行できるが、日本人はそれを嫌う。
    織田信長ですら、部下に徹底的に話し合わせ、最後にその中で一番自分の意見に近いものを採用する。
    こうすることで、形の上ではみんなで決めたと錯覚するのである。

    国内統治には和の精神、海外では自己主張してかないと、国際的な戦いには勝ち残れない。
    過去の歴史から、我々はそのための方策を学ぶべきである。

著者プロフィール

1954年、名古屋市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、TBSに入社。報道局在職中の80年に、『猿丸幻視行』で第26回江戸川乱歩賞を受賞。退社後、執筆活動に専念。独自の歴史観からテーマに斬り込む作品で多くのファンをつかむ。著書は『逆説の日本史』シリーズ(小学館)、『英傑の日本史』『動乱の日本史』シリーズ、『天皇の日本史』、『お金の日本史 和同開珎から渋沢栄一まで』『お金の日本史 近現代編』(いずれもKADOKAWA)など多数。

「2023年 『絶対に民主化しない中国の歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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