- Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396328962
感想・レビュー・書評
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久美沙織さんといえば「丘の家のミッキー」しか知らなかったので、こういう作品があったことにびっくりした。
日本のいくつかの場所で起きる、いくつかのちょっとおかしなこと。徐々にそれらの意味が繋がっていく。
身近に起こり得る恐怖。コロナ禍を経験している今だからこそ、余計によくわかる。何かよくわからない恐ろしいことが、ひたひたと近付いてくるこの感じ。こわい!
真紀子の話がつらかったな。こういう境遇になったらこんな心情になるよねと、すんなり納得できてしまった。かわいそうすぎる。
ひとつひとつのエピソードは長くなく、深追いせずに次へ行く。それでもエピソード同士の繋がりから、登場人物たちの辿った経過が想像できたり末路がわかったりする。そして大体、向かう先は絶望。
全部で159ページと短い作品だけれど、余韻が濃く残った。
□私が読んだのは帯なしの本だったけれど、ブクログの画像で見ると帯がついている。「必ず涙する」って書いてあってびっくり。涙腺はまったく刺激されなかったけどなあ。
帯に節操ない口説き文句つけて手に取らせようとするの、ホントやめて欲しい…… -
私が手に取った祥伝社文庫の第7刷では裏表紙にあらすじは記載されておらず、小中千博の夏休みの絵日記が書かれているばかりだ。
どんな内容なのかジャンルすらも全くわからないまま読み進めたが、それが良かったかもしれない。
物語自体はそこそこ楽しめた。
調査・取材がよくなされているようで、起こりうる一つの可能性としての怖さがあった。
最近アスペルギルスの名前も聞くし。
この名前をご存じない方で、本書を読むつもりの方は調べないでおくことを勧める。
しかし、著者がこの物語で伝えたかったことは何だろうか?
「温暖化ダメ、絶対。」か?
主張が強すぎるのは問題だが、メッセージ性が何もないと、著者が昨日見た夢の話を聞かされているような気分になる。
表紙帯にあるような「涙する」ということもありえない。
感動する類のものではない。
恐ろしすぎて涙を流すということも……恐らくない。
群像劇で描かれているため、感情移入しづらいのだ。
加えて序盤はとても読みにくい。
私が苦手な形式というのが大きいかもしれないが、登場人物も場面もどんどん入れ替わっていって、追いつかない。
複数の視点から見ることで徐々に明らかになっていく面白さはあるかもしれないが、研究員の一人称視点の方がわかりやすくまとまるのではないだろうか?
物語の主軸とは違うベクトルの暗さを持つ真紀子のエピソードなどは必要ない。
文章はときどき変だ。
接続詞とか、文と文のつながりがわかりづらい。 -
短さの割りにはしっかりした文章と展開で大変面白く読めました。
パンデミック、実際起こるかもしれない未来。
もし、自分がそんな現実を生きることになったら、どうするだろうか。 -
よくある感じの、人類が、地球が危機に立たされる感じの本だけど、実際にあり得る話だなこれ、ってほんとに感じながら一気に読んだ。
でも泣かなかったなぁ。 -
【書店の「どんでん返しフェア」的なポップにつられて買った直後に夏風邪で倒れ、寝込んでいる間に読んで若干後悔した3冊の本その③】
実はこの小説には後悔させられていない。他の人のレビューを読むと、後悔させられた人は少なからぬようだが。
パンデミック系の小説の何が好きって、個々の罹患から発病そして大流行に至る科学的な機序についての詳細でマニアックな描写ほど面白いものはない! 私はそういう読み方をする読者なので、この小説がパンデミック系にしては淡々としすぎているとか、結末が簡単に予測できてしまうとか、涙なんか全然出てこないという点は全く気にならない。むしろ大げさなパニック展開よりも、淡々とした描写のほうがひしひしとリアルで怖い感じがして悪くない。
コバルト時代の『おかみき』以来、この人の作品はほとんど読んでいないが、バリバリ少女小説の『おかみき』でもけっこうこってりとウンチク描写をしていたっけ。あの小説に出てくる「ねこり」こと「稲子さま」こと「菅原稲子」ってのが筆者の本名だと知った時は、その歪んだ自己愛に大爆笑したもんだなぁ。 -
帯に騙された。つまらない。
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帯に騙された!
ポップ騙された。
読後なにも感じない。 -
「読み終えて初めてわかるこのタイトルの本当の意味にあなたは必ず涙する!」
函館の蔦谷書店で、帯の惹句にひかれて衝動買い。
ええ、こういう惹句に弱いんです。
アタリもあればハズレもありますが。
ジャック・アタリ…なんちて。
タイトルから、ハートウォーミングな恋愛小説かな、と想像しましたが、帯の裏を見ると
「この作品は科学的に裏付けされた本当に起こる可能性のある終末の物語です。そして本編を読み進めていった先に待っている『いつか海に行ったね』という言葉。この言葉の重さそして切なさを知った時涙を流さずにはいられないでしょう。」
とあり、読んでみると、果たしてこの世の終末の物語でした。
新潟の海で野鳥が大量死しているのが見つかり、都内のマンションで次々と住人が死に、それがどうやら特定のカビが原因で起きる感染症らしいということが分かって来ます。
その致死率は何と95%。
治療法は皆無です。
では人類はどういう選択をとるのか―というのが物語のおおよその流れです。
最後に出て来る、「いつか海に行ったね」の言葉が痛切です。
ただ、正直なところ、涙を流すまでは…。
でも、たとえば登場人物の一人である守口真紀子が、抗いがたく人生の坂道を転がり落ちていく描写などは迫真もので息をのみました。
久美さんは「小説ジュニア」でデビューして30年以上のキャリアですから、さすがに読ませますね。
ちなみに惹句にもありますが、本書は現実に起こり得るパンデミックなのだそう。
専門家の協力も得ており、「パラサイト・イブ」で一躍文名を馳せた瀬名秀明さんにも助言をいただいているそうです。
興味のある方はぜひ。