影踏み (祥伝社文庫 よ 5-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (395ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396333294

感想・レビュー・書評

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  • ネタバレ(間違った深読みをし過ぎてしまった妄想)を含みます



    主人公、真壁修一の中耳(脳内)に、十数年前に火事(母親による無理心中)で死んだ双子の弟である啓二が入り込み、読者は最初から最後まで二人の会話を読まされる。

    そんな不思議な設定は、冒頭からすんなり納得して受け入れてしまったのだが、私は更に深読みをしてしまった。

    (以下、私の間違った推理)

    本当は十数年前の火事で、母親が双子の我が子を間違えて殺してしまい、それが優秀な大学生だった兄修一の方で、生き残った方が啓二(久子と京都に居た。当時久子と付き合っていたのは啓二ということ)なのではないかと私は疑っていた。
    親戚や周囲には、死んだのが啓二で残ったのが修一ということにしたが、本当のところは、その後大学を辞めて泥棒稼業に就いたということになっている人物が啓二で、中耳の中(つまり亡くなっている方)で抜群の記憶力を発揮する啓二こそが、当時優秀だった修一なのではないかと。
    自分と間違われて母親に殺された兄に対して申し訳ないから、ずっと脳内に彼を一緒に置いているのではないか?
    脳内の啓二は、所詮は生きている啓二の脳内で作り出されているわけだし、または、間違って殺された側の修一が優しいから相手のことを「修兄」とずっと呼びかけているのではないか?(死んでるけど、弟に忖度するような人なのでは?←考え過ぎ)
    久子は生き残っているのが啓二だとわかっているのではないか?(久子にしてみれば、兄弟間で乗り換えたわけでもなく、ずっと好きな相手は同一人物であるわけだし)
    …という推理(今となっては妄想)をして読んでいたものだから、最後にその大どんでん返しが明らかにされるのだろうと思ってずーっと読んでいた。
    結果、全くそんなことはなく、文字のままの設定であった。
    深読みし過ぎた。
    ただし、私と同じような勘違いをしながら読み始めた人が万が一にも途中で私のレビューを見てしまったとしたら、「それは間違っている」というネタバレになってしまうため、慎重にネタバレ扱いとしておいた。

    まあ、こんなにも偏屈な深読みをする読者は私の他にはあまり居ないとは思うが。

    ちなみに、私が子供の頃、何組か双子が同級生に居て、ちゃんと区別できていたから、母親が間違えるわけはないとは思うものの、なんとなく本書はそういう設定なんじゃないかと思ってしまった。
    終わり近くには、別の双子兄弟の入れ替わりトリックも出てきたし…

    とにかく疑わず普通に読めば、充分面白い内容である。

  • 映画化のニュースを知り、気になって読んでみた。
    泥棒なんだけど、一本筋の通った人。
    でもやっぱり泥棒だからなぁ。。

  • ノビ師(夜中に忍び込む泥棒)の話。
    双子の弟が頭の中に共存しているのが面白い。
    連作の構成になっており、一つ一つの話が重厚で丁寧である。
    一気読みだった。

  • 面白かった。雰囲気はハードボイルド。
    色々あったとはいえなぜ主人公が泥棒になったのか、心の動きがよくわからない。けれどハードボイルドな感じはすきです。
    一つ一つの短編もよくできている。ラストはなんか切なかったな。

  • 主人公の泥棒が各章で謎を解いていく。

    記憶力、推理力、腕力、度胸があり、
    泥棒にしておくのはもったいない・・・

    サクサク読めて
    単純に謎解きを楽しめるだけでなく、
    心がほっこりする章もある。
    また、全章を通して自分の影と向き合う姿もある。

    色んな種類の楽しみ方ができた。

  • 真壁修一には、双子の弟 啓二がいた。
    啓二は、悲惨な事故に巻き込まれて、死んだが
    修一の耳の中にいた。

    修一は、ノビカベと言われる 泥棒稼業を
    していた。
    修一の疑問から、事件は 展開する。
    たかが、泥棒であるが、
    修一は 筋を通そうとする。

    保育園の先生 久子が 好きなのだが
    なかなか 折り合いがつかない。
    ちょっと切ない ラブストリーかもしれない。

    小さな街の小さな事件が
    思わぬ展開を 見せたりする。
    こういうオトコを 主人公にするのが
    横山秀夫の 特徴なのかな。

    なぜ 泥棒をするのか?
    その問いかけが 解明されないまま すすんでいく。

  • 「三つ四つ背負ってやってもいい」

    この台詞を読んで、買ってよかったと思った。
    実際どうするかはさておき、かっこええ。

  • 主人公「ノビカベ」こと真壁は、2年前刑務所に入るきっかけとも言える事件に疑問を抱き、出所後調査を始める。

    「ノビ師」(=忍び込んで泥棒を働く。)である真壁の侵入シーンが細かく描かれており臨場感溢れる。

    母親に無理心中で殺された双子の弟が意識の中(中耳)で同居しているオカルト的面もある物語。
    「横山作品の異色作」
    色々な面から楽しめました。

  • 泥棒が主人公なので、他の横山秀夫の警察小説とは趣を異にするが、これはこれでハードボイルドな雰囲気がよかった。短編集だが、主人公が共通で話も微妙につながっているので、長編小説の読了感もありちょっとお得な感じ。

  • 双子の兄弟の話が短編集でまとまっている。横山秀夫らしい話。
    最後の終わり方がちょっと残念な気がしましたが全体的には期待通りの面白さでした

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著者プロフィール

1957年東京生まれ。新聞記者、フリーライターを経て、1998年「陰の季節」で松本清張賞を受賞し、デビュー。2000年、第2作「動機」で、日本推理作家協会賞を受賞。2002年、『半落ち』が各ベストテンの1位を獲得、ベストセラーとなる。その後、『顔』、『クライマーズ・ハイ』、『看守眼』『臨場』『深追い』など、立て続けに話題作を刊行。7年の空白を経て、2012年『64』を刊行し、「このミステリーがすごい!」「週刊文春」などミステリーベストテンの1位に。そして、英国推理作家協会賞インターナショナル・ダガー賞(翻訳部門)の最終候補5作に選出される。また、ドイツ・ミステリー大賞海外部門第1位にも選ばれ、国際的な評価も高い。他の著書に、『真相』『影踏み』『震度ゼロ』『ルパンの消息』『ノースライト』など多数。

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