われ、謙信なりせば (祥伝社文庫 か 16-8)

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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396334451

感想・レビュー・書評

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  • 上杉景勝と直江兼続の関係性がとても良い。偉大な謙信の後継として、ストイックに勤めを果たす姿に感動。

  • 上杉景勝、直江兼続主従を描く。
    上杉景勝の父長尾政景は、謙信の命により、宇佐美定満により謀殺されたとする説があるが、本当なのだろうか。
    確かなことは、上杉景勝の生き方が、不識庵謙信に添い、追いかけるように、自身の武人としての生き方を貫いたこと。
    もし、自分の父を謀殺したとしたら、どのように謙信をみて、受け入れていったのだろうか。
    関ケ原の戦いで、何故上杉は、徳川を追わなかったのだろうか。

  • 秀吉が亡くなり次の天下人として台頭してきた家康との対決を鮮明にしていく。上杉追討令を受けたが上方で三成が挙兵すると戦う事なく退却して行く。兼続が追撃を考える中で景勝と義や天下に対する考え方の違いが浮き彫りになる。決断を求める人間と決断をする人間、仕える人間と率いる人間、景勝と兼続の主従関係が素晴らしく楽しく読めました。

  • 上杉景勝と直江兼続、ともに「義」の将として戦った上杉謙信の志を継ぐ者として描かれています。
    しかしあくまで謙信に倣ってその「義」を貫き、やがて謙信以上の義将に成長していく景勝と、謙信の「義」に疑問を抱く兼続が、次第に景勝とすれ違っていきます。

    関ヶ原の戦いでの上杉といえば、なぜ東軍を追撃しなかったのかが注目されます。この作品では、その場面で景勝と兼続の信念の違いが最も現れていて印象的でした。

    読了日 2011年9月

  • 「あの二人が欲しい」慶長三年(一五九八)、太閤秀吉が没し、天下盗りに王手をかけた徳川家康が呟いた。あの二人とは、故上杉謙信の跡を継ぐ上杉景勝と軍師直江兼続。家康が最も恐れた男たちである。が、家康が老獪に足場を固めつつあるとき、真っ向から対立してきたのがこの二人だった!“義”を重んずる謙信たらんとする景勝と兼続の超然たる生きざまを描く。

  • 関ヶ原直前期の大谷刑部の動向がかなり史実に即しているというか、徳川方として動いている+直江がそれをどう受け取ったかに触れられていたことに驚喜。

  • 兼続と景勝や正信、三成との絆がふんだんに描かれてます。兼続の心が謙信から離れているのが今まで読んだ本とは違うところでした。

  • 主役は兼続ですが、景勝の描写が非常に興味深かったです。
    「謙信の上澄みを〜」のくだりや家康の上杉への心情描写など、独自の視点が面白い作品でした。

  • 兼続謙信稚児説とか長尾政景暗殺説とか日本史のタブーに容赦なく触れています。

    あと直江が華渓院と情を通じていたり、暗殺は景勝も華渓院も薄々気づいていたり、
    読んでるこっちは落ち着かない設定がぽんぽん出てきます。

    東北関ヶ原では野心に取り付かれる直江とあくまで義を貫こうとする景勝とのすれ違いが起こり、内府を討つ事も北の覇権を手にする事も叶わず打ちひしがれる直江。
    その後の直江は義と愛のストイックな旦那様。晩年には関ヶ原の頃のすれ違いも解消されて救いがあった。
    読了後の感覚は非常に爽やかでした。

    清冽な上杉主従が読みたいならこれ。

  • あ〜なんつーか、この小説の兼続のぶっ飛んだキャラには驚かされました。
    あんた、ホントに景勝様のことが好きなんだねぇ〜。としみじみ思わされた。
    小説の内容は、私は面白かったです。が、読む人が読んだら気持ち悪いかも。
    謙信の裏側を知っている兼続と、謙信の表しか見ようとしない景勝。
    黒くて汚くて卑怯で弱くて、そんなどうしようもない謙信の性を兼続は継いでおり、清くて潔癖で勇ましい、そんな出来もしない理想の謙信の姿を、景勝は生まれ持った純粋さと意志の強さで己によって造りあげてしまう。
    兼続は景勝の姿を、謙信公が求めた『神秘的な伝説』とまで言ってます。
    そんな二人が求める未来が、少しずつ違っていることに兼続は気付き苦しみます。
    兼続は、自分が差し出す天下を景勝が受け取り、そしてその天下の采配を任される……という、妄想を抱くのですが、景勝は天下など欲してなどいないのですよ(無欲なので)。
    この二人のすれ違いが、私は読んでいてハラハラしつつもときめいていました。
    兼続と景勝の妹(景虎の妻)が男と女の関係なんですが、どう読んでも、景勝の変わりにしてませんか?おい兼続???と思ってしまう。
    だって、この小説の兼続、景勝の事が好きすぎる!!!
    関ヶ原の後、家康に「全ては自分がしたこと、咎を受けるのは自分だけだ!」みないな事を言って、景勝に責任が及ぶことを兼続はなんとか阻止しようとしてたしね。
    もう、あんた勝手に死ねよ…、とか思った。
    どの小説を読んでも思うのは、兼続って景勝がいないと生きていけない感じがする。もし景勝が先に死んだりなんかしたら、追い腹とか、直ぐ斬りそう…。(よかったね、史実の兼続は景勝より先に死ねて…)
    そうそう、この小説で景勝を怒らせた時に→「あなたに斬られるのなら本望だ!!」と本気で考えている兼続が笑えた。
    慕いすぎているだろう、お前!!!!!
    同人誌読むより、ある意味、楽しませてもらいました(笑)。

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著者プロフィール

かぜの・まちお
1951年生まれ。’93年「黒牛と妖怪」で第17回歴史文学賞を受賞してデビュー。主な著書には『わるじい慈剣帖』(双葉文庫)、『姫は、三十一』(角川文庫)『大名やくざ』(幻冬舎時代小説文庫)、『占い同心 鬼堂民斎』(祥伝社文庫)などの文庫書下ろしシリーズのほか、単行本に『卜伝飄々』などがある。『妻は、くノ一』は市川染五郎の主演でテレビドラマ化され人気を博した。2015年、『耳袋秘帖』シリーズ(文春文庫)で第4回歴史時代作家クラブシリーズ賞を、『沙羅沙羅越え』(KADOKAWA)で第21回中山義秀文学賞を受賞した。「この時代小説がすごい! 2016年版」(宝島社)では文庫書下ろし部門作家別ランキング1位。絶大な実力と人気の時代小説家。本作は「潜入 味見方同心」シリーズの完結作。



「2023年 『潜入 味見方同心(六) 肉欲もりもり不精進料理』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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