陽気なギャングの日常と襲撃 (祥伝社文庫)

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著者 : 伊坂幸太郎
  • 祥伝社 (2009年8月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396335212

陽気なギャングの日常と襲撃 (祥伝社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 世の中では“勧善懲悪もの”が流行っているらしい。でも私は思うんだけど、絶対的な正義ってホントにあるのかな。絶対的な悪ってホントにそう言いきれるのかな。白黒があいまいな世の中だからこそ、せめてフィクションの中では白黒はっきりさせたい、っていう人々の願望が表れているのかもしれないけど、それは結果的に、正義と悪は表裏一体だということを証明しているようなもの。私たちの生きる世は、そんなに単純明快じゃない。

    私の根底にそういう心理があるからこそ、伊坂幸太郎作品に深く魅了されてしまうのかもしれません。4人組の強盗団の“続編”を読み、その思いを新たにしました。彼らは強盗をはたらくれっきとした犯罪者であるけれど、自分たちの信じる価値観に基づいて、時に人助けに奔走したりする。そんな彼らを悪と言いきれるだろうか。とはいえ、正義だと言ってしまっていいのだろうか。白黒はっきりしないモヤモヤは、決して不快ではなく、むしろそれこそ人間らしいあり方じゃないかと清々しさすら感じさせてくれる不思議な存在です。

    第一章で4人が別々に出会う4つの出来事がそれぞれ短編の形で語られ、第二章からは再び4人がそろって強盗を行うシーンから物語が加速していきます。第一章の4本の短編はいわゆる“スピンオフ”的な性格のものかと思ったら、第二章から動き出すメインの事件とさりげなく、時に直接的にかかわってくるから面白い。「あぁ、あの人」とか「ここでこうつながるのね」とか、伏線の張り方とその回収の仕方がさすが伊坂作品だなと思わずにはいられない展開に目を見張り、引き込まれていきました。さらに、すっかり忘れていた伏線さえ回収されていて、その繊細さに驚かされたり。

    成瀬の賢さには感心するばかりですが、それもこれも、響野と久遠という愛すべき直情的なキャラクターが身近にいるからこそ、その性格が生かされているようにも思います。そして、雪子が彼らに与えるスパイス。絶妙なバランスで構成される4人組は、だからこそ彼らのルールにのっとった鮮やかな強盗が完遂できるんだろうなと、これまた感心するほどです。

    “A Bonus Track”の「海には、逃がしたのと同じだけのよい魚がいる。」では、響野の妻、祥子の人柄がうかがえるエピソードが。本編ではサブキャラクター的な位置づけですが、彼女の存在もまた、ストーリーに欠かせない存在。すべての登場人物が絶妙なバランスをとりながら日常を回している。そのことに気付いたとき、白黒はっきりしない世界の中で、自分もまた世の中のバランスを保つための一本の軸なのかもしれないと思い、ささやかな栄誉を感じたりする次第です。

  • やっぱりシリーズ物は読めば読むほど好きになる。

  • 文庫版を買って正解だ。第一章の初出は小説NONで、成瀬たちギャングのそれぞれの日常を描き、第二章の壮大な伏線になっている。第二章は新書版書き下ろしで、銀行襲撃時に居合わせたドラッグストア経営者の令嬢が気になるというだけで、裏社会の連中と対決することになるのだが、この漫画的展開は嫌いではない。そして映画公式ガイドブックに収録のボーナストラックありと、満足な一冊。次はデビュー作をよみたいな。

  • 前作、陽気なギャングが地球を回すの続編!

    第1章はギャング達四人の短編4作品!
    一人一人が持っている能力を使い小さな事件を解決していく。
    全作品よりも一人一人が頼りになる感じに満ち溢れています。

    第2章で全員合流!今度も銀行強盗をするのですが今度は誘拐事件に巻き込まれてしまう!?

    ふと気がつくと第1章の短編がストーリーに巧妙に絡んでくる。



    主人公達がとても頼りになるので安心してみれます。

    田中:①日本で4番目に多い名字②田んぼの中③困った時に成瀬達を助けてくれる。便利な道具を作ってくれる。『−は本当に頼りになるなぁ。まるでドラえもんのようだな!』

  • 『陽気なギャングが地球を回す』の続編。

    そもそもスピンオフ企画として、主人公4人それぞれを主役としたあっさり短編があり、それらを絡めて作品としたものだそうで、構成が普段の伊坂作品とは異なっている。

    短編の様相を呈している一章は、特に彼らの能力や魅力が色濃く出ていて、陽気なギャングシリーズがひとつのブランドとして確立される決定打となっている気がする。

    これからもこのギャングたちが活躍する姿を見続けていたいと思う伊坂幸太郎ファンは少なくないはず。

  • 一作目が良いと続編への期待度は上がる。
    その意味で満足できなかったので☆3つだけど、『…地球を回す』を読んでなくて何の期待もせずに読んだらもっと高評価になったと思う。
    決してつまらないということではない。

    作者が途中で改心したように、やっぱり彼らは個人行動よりも寄ってたかってた方が魅力的なので、最初の短編×4はちょっと消化不良だった。
    でも、そこが伏線となってるのは、伊坂さんらしいし、回収されない伏線もどきもあったりして、作者対読者の騙し合いみたいな感じで読んだ。

    個人的には成瀬の仕事っぷりが垣間見れて嬉しかった。

  • 陽気なギャングシリーズ第2弾!
    今度のロマンは人助けだ。
    誘拐された社長令嬢を助け出せ!
    個性派4人にはありきたりな日常は物足りない。
    コミカルな会話とテンポ良い展開が気持ち良い伊坂ワールドを満喫できる物語。

    嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、精確な体内時計を持つ女
    の四人の天才たち。
    その天才強盗4人組が巻き込まれたバラバラな事件。
    これが「社長令嬢誘拐事件」に連鎖していく。

    序章は、ギャング4人にまつわる4人の視点で始まる。
    前作と異なり、戸惑いながら読み進める。
    ここでのキーワードや伏線が後につながってくる。
    だまし絵的な展開にニヤリとさせてくれる。

    社長令嬢の誘拐が、なんと、さらに別の誘拐に展開。
    ドラッグストアのワンマン社長とカジノのドンの対決のドサクサに紛れて、
    令嬢を助け出す。

    教訓のような訓示のような、あるいは、罠なのか?
    「巨人に昇れば、巨人より遠くが見える」
    「ガラスの家に住む者は、石を投げてはいけない」
    「卵を割らなければ、オムレツを作ることはできない」
    「毛を刈った羊には、神も風をやわらげる」

    クライマックスは、カジノに乗り込んだところ。
    響野と久遠をダシに強盗計画を垂れ込んだ成瀬が憎いくらい楽しい。

    司令塔・まとめ役な成瀬がいるからこそ計画遂行できるんだけれど、
    響野という、とぼけ役がいるから、まとまるんだ。
    4人の持ち味を出し合った展開が気持ち良い。
    鬼怒川は、今頃、あの国でゆっくりしてるのかな?

  • 陽気なギャングシリーズ第二弾。
    これまた発売当初に読んで以来なので7,8年ぶりくらい。
    正直、一作目に比べると勢いも話自体の面白さも劣るというなんとなくな印象が残っていた。なのでわりかし低めのハードルで読むことができ、「なんだ、意外と面白いじゃん。」といった感想だった。
    最初のほうには4人の日常が描かれていて、4分の2くらいからがみんな集まるんだけど、やっぱりこの四人が集まって楽しく話しながらどんちゃんやるのがこのシリーズの面白さなんだなと確認することができた。

    一回目に読んだときは新書版なのでついていなかったおまけの短編がとてもよくできていた。4人の特技が生かされていてかつ気持ちよく話が終わるきれいな短編だった。
    いよいよ、シリーズ3へ!

    (2016.01.10読了)

  •  『陽気なギャングが地球を回す』の続編で、4人の「日常」が短編として描かれた後、その4人が集まってある事件に関わっていくという構成。前作を引き継ぐ部分もかなりあるので、前作を読んでないと、これ何のことだろうというのが多くなるかもしれない。
     短編でちりばめられた伏線が、1つに繋がっていくという構成で楽しめる。前作では久遠というキャラクターについてあまり思い入れはなかったが、今回読むと、結構頼れる奴だな、とか動物好きの下りなんかも面白いと思った。(15/05/04)

  • 面白かった!どちらかと言うと前作の方が好きだけど相変わらずキャラクターが良かった。成瀬さんの日常が見られて楽しかったー。響野さんと久遠の会話が好き。

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陽気なギャングの日常と襲撃 (祥伝社文庫)の作品紹介

嘘を見抜く名人は刃物男騒動に、演説の達人は「幻の女」探し、精確な体内時計を持つ女は謎の招待券の真意を追う。そして天才スリは殴打される中年男に遭遇-天才強盗四人組が巻き込まれた四つの奇妙な事件。しかも、華麗な銀行襲撃の裏に「社長令嬢誘拐」がなぜか連鎖する。知的で小粋で贅沢な軽快サスペンス!文庫化記念ボーナス短編付き。

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