情けの糸 取次屋栄三 (祥伝社文庫 お 21-11)

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396338756

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  • 情けの糸 ― 取次屋栄三シリーズの11作目
    2013.09発行。字の大きさは…小。
    親と子と猫、ひとり芝居、情けの糸、女剣士の4話。

    京橋水谷町で、子供たちに手習いを、その親たちに剣術を教える傍ら、武家と町人の間を繋ぐ「取次屋」の看板を掲げる栄三郎は、人と人を結び、人の悩みを取り除き、その笑顔が人をなごませ、人を癒し人間関係の潤滑油として機能して行く。

    「情けの糸」は、かつて山犬の捨吉といわれ血も涙もない貸金の取立を行なって来た捨吉が、医師の弟子として捨てられた母・おふねの刺し傷を縫合する様は、捨吉の想い、おふねの想いを聞くにつけ涙が出て来る(涙) 

    【親と子と猫】
    栄三郎は、吟味方与力・鮫島文蔵の妻・夏江から養子の千吉(第4話千の倉)が屈託を抱えているようなので調べてほしいと依頼される。千吉の妹・おはるは猫を飼いたいが、文蔵が、小さなときに陰嚢(ふぐり)を風呂場で猫に掻きむしられてから猫を怖がっていたが、養子の千吉が剣術試合で勝ったら猫を飼うことを許すこととする――。
    千吉は、鮫島家に養子に入って1年半になるが立派な武士の子息として成長している。

    【ひとり芝居】
    栄三郎の剣の弟弟子・岩石大二郎こと河村文弥は、本業の芝居小屋での役者をそっちのけにして、火事で焼け出された人達の居る御救小屋で色んな役を一人でこなす「一人狂言」を無償で演じて廻っている。
    人気役者の師匠・河村直弥は、心配になり栄三郎に相談すると。説法四郎兵衛という坊主崩れのいかさま野郎の辻元恭四郎が、岩石大二郎をそそのかして悪事の片棒を担がせようとたくらんでいることが分かって来た。

    【情けの糸】
    捨吉は、10才の時に捨てられた母・おふねに路上で会い、棒立ちとなった。母に捨てられたあと貸金の悪辣な取立をし、山犬の捨吉と呼ばれるほど恐れられた捨吉が、栄三郎の世話で岸裏門下の医師・土屋弘庵の弟子となり、確実に一歩ずつ人の情を知る医師への道を進んでいる。息子に会ったおふねは、身を綺麗にしょうとして破落戸に刺された傷を捨吉が縫合する……。

    【女剣士】
    剣客・栄三郎の弟子・お咲は、始めての試合に臨み見事勝利する。相手は、並木一刀流の道場主の妹・並木留以(るい)である。試合のあと栄三郎は、留以に「女のままで剣をとられよ。それが上達の近道でござる」と諭す。お咲は、女ゆえに足捌きでうまくかわして柔らかな体のしなりを使って打つように心がけておりますと……。
    お咲の父・田辺屋宗右衛門によって、かつての岸裏道場と同じものが出来た、あとは、岸裏伝兵衛が受けるかどうか……。

  • 『千の倉より』の後日談を含む4編が収められている。『千の倉より』はとても良かった記憶があるが、今回は可もなく不可もなく普通という印象。慣れてきてしまったのかな。このシリーズは「狭竜蔵」シリーズとかぶるところが多いが、栄三の方が深みがあるように感じるのは、町人とのかかわりが深いためか。だからこそ、もう少し「ぐっ」とくる話を読みたいものである。

  • 岸裏道場再開?

  • この作品は以前の登場人物が次々と
    新しい物語を紡ぎだしていく
    忘れやすい読者は・・・(笑)

  • 第十一弾
    短編四話構成、元孤児で現在与力の養子千吉、弟弟子で現役者の河村文弥、元不良で現医師見習いの捨吉、新兵衛を慕うお咲とよくも廻りに事件?が
    栄三と萩江の仲は?、その時お染は!

  • L 取次屋栄三11

    1親と子と猫 ありがちな内容だがほっこり。いつもよりも取次ぎらしさが出ていたような?新兵衛が新たな道場を貰い受けて次巻進展が?

  • 201310/お馴染みの世界が心地よいシリーズ。今作は強引に感動路線にもっていこうとしてるのがややハナについたけど、今後も楽しみ。

  • 取次屋栄三シリーズ 第11弾 過去の話のキャラが再登場し後日談的な話が多く、気になっていたので興味深かった。相変わらずの饒舌的な語り口でテンポが悪いところもあるが読み味は安定している。各話とも話としては可もなく不可もなくサプライズもなく普通かな。無理に感動を盛り上げようとしてるのが気になるがこれが持ち味とも言えるし、マンネリとも言えるし、もっと違う展開も見てみたいと感じる。そう言う意味では最終話は今後の変化を予感させるものがあるが、女の事では煮え切らない男たちのことでどうなる事やら。

  • 岡本さんの取次屋栄三、[情の糸]今回も期待を裏切りませんでした。
    栄三の周りがだんだん落ち着いて来そうな気配が・・・。
    栄三の想いの行方は、出たばかりですが次回作品が待ち遠しいですね。

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著者プロフィール

一九六一年、大阪市生まれ。立命館大学卒業後、松竹入社。松竹株式会社九十周年記念新作歌舞伎脚本懸賞に「浪華騒擾記」が入選。その後フリーとなり、「水戸黄門」「必殺仕事人」などのテレビ時代劇の脚本を手がける。二〇一〇年、『取次屋栄三』で小説家デビュー。他に「若鷹武芸帖」「八丁堀強妻物語」「仕立屋お竜」などのシリーズがある。

「2023年 『明日の夕餉 居酒屋お夏 春夏秋冬』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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