- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396338909
感想・レビュー・書評
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真実かどうか曖昧な、何やら公にできない事情がありそうな罪により、10年後の切腹を命じられた武士の生き様を描いた作品。
色々な事件が周囲では起きるが、全体的なトーンとしては大きな抑揚なく進んでいき、武士の一分を貫いていくストーリーは、武士を美化していると言えなくもないが、それでも読者の期待を裏切らない生き様は、日本人はやはり好きですね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
3年後に切腹することが決められた武士。運命に抗わず凛として生きる姿に深く感動する。
季節、気候の描写も絶妙。登場人物は少ないが次第に明らかになる反応負の歴史。
時代小説として屈指の作品、名作中の名作だろう。 -
初めての葉室麟氏の作品。心が洗われるような読後感。人としての凛々しく信念のある生き方。素晴らしい作品に出会えたなと思えた作品でした。
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人格者が嫌味なく描かれていて、本当に最後までずっと冒頭の川の音が聞こえているような本。清い気持ちになる。
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先輩に勧められて読み始めました。清々しい生きざまでさした。
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じんわりする物語です
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「命を区切られたとき、人は何を思い、いかに生きるのか」蜩ノ記より思い巡らす|白田|雑記note @srtmsr #note #読書感想文 https://note.com/srtmsr/n/nbdd02f9dd4ec
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すごく良かった。某所で借りて暇すぎて一度読んでからパラパラと各シーンを再確認して2.5回分くらい読んだ。源吉がこいつは大人物になるだろうと思ってたら殺されるあたりがクソ辛くて、読者の感情を鷲掴みにしたままそこからの展開が一気に魅せる。美しい。無駄がないかと言えばそうではなくて活かされなかった種もある気がするけど、ラストに向けて収束していくのは見事。秋谷の死が覆って欲しいと読者は祈りつつ、そうならない事をみんな知っているんだよな。死へ向かう物語なのに全体的に爽やかな印象で救いもある。蜩と日暮らしを掛けているあたり自分の境遇を考えずにいられなかった。この作家はすごい。
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生きていくことは、死に向かっていくことでもある。
庄三郎が出会った時の秋谷は、3年後に切腹することが決まっていた。それまでの間を、どう生きるか、秋谷はぶれることなく、己の信ずる道を真っ直ぐに見据えて歩んでいた。
秋谷の潔さ、格好良さに対して、己の保身ばかりを画策する人たちの何と浅ましいことか。自身の利益ばかりに目を取られ、武士として人として忘れてはいけないものを失っているように感じられた。話の登場人物としては「悪者」として出てくるけど、現実だと「地位のある人」「成功者」になるのだろう。
人として大切なことは、そういう「成功」とは違う次元にあるのだろう。
夏の終わり、蜩(ひぐらし)の鳴く情景に、この話全体に通じる切なさがあった。 -
味わい深い物語
武士とは 不思議