- Amazon.co.jp ・本 (257ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396633448
作品紹介・あらすじ
"さくらの丘"を満ちるたちに遺す-。遺書には、祖母が少女時代を送った土地を譲ると書かれていた。一緒に渡されたのは古びた鍵がひとつ。祖母の二人の幼なじみも、同じメッセージをそれぞれの孫たちに伝えていた。なぜ、彼女たちは孫にその土地を遺したのか。鍵は何を開けるものなのか。秘密をさぐりに三人の孫は、祖母たちの思い出が詰まった地を訪れた-。三人の少女たちの青春が刻まれた西洋館、そこを訪れた私たちが見た光景は-二つの時代が交差する感動の物語。
感想・レビュー・書評
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春には、いちめんに花をつけた桜の木がどの部屋からも見える、丘の上の洋館。
この美しい洋館に眠る秘密を、戦争直後の少女時代から
おばあちゃんになって亡くなるまで60年以上ずっと
手を取り合って守り続けたミッちゃん、きりちゃん、はなちゃんが素敵です。
この3人が、洋館をなぜ孫娘の満ちる、沙代、香織3人に共有財産として遺したのか、
それぞれの孫娘に1本ずつ託された鍵には何の意味があるのか。。。
昔なつかしい少女小説を彷彿とさせるような謎が
おばあちゃんたちが少女であった昭和初期と、孫娘たちが謎を追う現代と
時を行きつ戻りつしながら解き明かされていきます。
洋館に纏わる秘密が悲痛なものであるだけに、
戦争の影がどんなに目をこらしても見えなくなる孫の世代まで
静かに秘密を胸に抱き続け、孫娘がやさしく健全に育つよう心を砕き
実は4本あった鍵が、心ある人たちの手でちゃんと4本揃えられた時にだけ
秘密が明かされるよう準備したおばあちゃんたちの真意が
孫娘たちにちゃんと伝わったことに救われます。
村はずれの洋館でけいこさんとロンさんが過ごしたささやかな幸せの日々と
悲し過ぎるその結末に込められた小路さんの戦争根絶の願いが
甘すぎる、絵空事だと言われても、まっすぐに胸に届く物語です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今と戦後をつなぐミステリー。
3人のおばあちゃんの残した洋館の謎を、
3人の孫娘が解明する。
素敵な洋館の隠し部屋、3本の鍵、というだけで、十分な素材。
哀しいお話でもあったけれど、
安らかであってほしいと思う。
戦争は嫌いだ!という赤川警察官の存在がよかった。 -
3人の女性が孫に託した想い。
戦争でも被害を受けずにいたさくらの丘の西洋館。
素敵なお屋敷を舞台に、戦後と現代を綺麗に
結んでいます。
章毎に祖母の娘時代と現代の孫たちの行動が
タイアップされていて、やさしく謎解きされていきます。
大きな盛り上がりはありませんでしたが、
心安らかに読める一冊でした。
死んで尚結ばれる本が続いています。
表紙も飾りたい位にステキ☆ -
小路さんの本はフワッと優しいので読みやすい。
これはお祖母ちゃん達が、それが秘密で無くなっても大丈夫な時代になるまで、大事に慎重に隠し続けた謎を、孫たちが知る物語。
洋館の中庭の桜、きっときれいなんだろうな。
戦争の中で、敵味方で殺しあった敵国の人間。でもその人だって戦争に巻き込まれた一個人。
その人が殺したわけじゃないけれど、自分の肉親を殺した国の軍人だった人。戦争を憎んで、個人を憎まない。それだけでも当時は難しいことだっただろうと思う。 -
「男たちが戦いに行って、世界中が殺し合うようなことになっても、私たち女性は〈命を産む〉存在として、平和を願い合うのだと。「それが、綺麗になる、〈心の美しい人間〉になるたったひとつの条件だって、話してくれましたよね」」
戦争は憎む。でも、人は憎まない。
という小路さんなりの平和論が優しい人たちが織り成す物語の中で展開されている。
戦争とか平和とかももちろんなのだけど、おばあちゃんたちの持つ西洋館の秘密とはなんだったのか、その部分も気になって一生懸命読んでしまった。
面白かった。
私も気付いたら4人目の孫となって一緒に謎を解いているような、気にさせてくれた。
相変わらずあったかいなぁ…。
【12/4読了•初読•市立図書館】 -
なくなった祖母からおくられた古びた鍵が、祖母と古い洋館の隠されたお話をつむぎだす…
ノスタルジックなお話。 -
やばい、そろそろ飽きが…
他にも似たような話がなかったか?
と思ってしまったので、今回は辛口。
全体的にふわふわしていて、結局なんだったの?という話でした。
でも、応援してます。
2010.10.13〜10.22読了 -
小さな町に建てられていた西洋館。それは戦後、三人の祖母たちからその孫に引き継がれた強い想いの込められた西洋館だった。孫たちは何故、引き継がれたのかその紐を解いていく。解けるにつれ切ない想いと、謎が解けた事で心が温かく又、受け継ぐ事を強く思うのだった。一言、いい話でした。
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読みやすくて一気読み。なにより切ない話もちりばめられながら、結果は心があったかくなる結末だった。
時代を超えて再開する意志と想い、ちょっと泣けてくる。 -
“さくらの丘”を満ちるたちに遺す―。遺書には、祖母が少女時代を送った土地を譲ると書かれていた。一緒に渡されたのは古びた鍵がひとつ。祖母の二人の幼なじみも、同じメッセージをそれぞれの孫たちに伝えていた。なぜ、彼女たちは孫にその土地を遺したのか。鍵は何を開けるものなのか。秘密をさぐりに三人の孫は、祖母たちの思い出が詰まった地を訪れた―。三人の少女たちの青春が刻まれた西洋館、そこを訪れた私たちが見た光景は―二つの時代が交差する感動の物語。
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話の筋とは関係なく、「墓標」のイメージがある。
さくらだからなのか。
さくらのしたには、モノクロオムの記憶と素敵な物語が眠っている。 -
切なくも美しい話。
章ごとに、現代と戦争終結直後の時代と入れ替わりますが、めまぐるしいという印象はなく、絡まった糸が解けるように、というのでもなく。
なんと言えばいいのか。流れる川のように、とでも言うのでしょうか。
戦争なんか大嫌いだ。
ほんの数年前まで口にできなかったその言葉に、誰もが共感していた。
なぜ、戦争なんか起こるのだろう。
なぜ、戦争なんか起こしたのだろう。
戦争で、何が残るのか。
戦争で、何が失われるのか。
それを回復させるには、どれだけの時を重ねるのか。
別に戦争反対を声高に訴えたいわけではないのです。そもそも、私はそういうことに興味を持っていないので。
ただ、誰もがなんらかの犠牲者で、それは戦争が終わってもなかなか消えない傷であるのだと。 -
祖母が少女時代を過ごした想い出のつまった洋館を、遺言で譲り受けることになった三人の孫娘たちは、祖母たちの思い出の地を訪ね、洋館の秘密を紐解いていくことになる。心温まる秀作。
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3人の祖母から洋館とその鍵を譲られた満ちる、紗代、香織は洋館に秘められた物語を解き明かすために、洋館の建つさくらの丘へと赴くのだった。
現代での孫たちの行動を記す章と、戦後間もない祖母たちの娘時代を記す章が交互に配置されて、さくらの丘に建つ洋館の秘密が明かされていきます。そこには戦争がもたらした悲しみがありました。直接的な戦争の描写はないのですが、直接的ではないので余計に生活の中に沁み入る戦争の悲惨さを感じます。しかしその中でも未来に向けて進む一歩もありました。
さらっと書かれて情景が流れるような印象があります。どちらの章も主となる人物の一人称で書かれているため、他の人々の感情はその人物の目を通して見ることになります。なので想像させる余地があるのですね。そこに色々な想いが垣間見れます。物足りなさも感じますが、その部分が想いを膨らます余地なのかなとも思えます。 -
3人の祖母が3人の孫娘に託した西洋館の鍵。
なんと言ってもロケーションが良い。
隠された謎を解き明かしそれぞれ祖母の意志を継いでゆくだろうことは喜ばしい。
現代と戦後まもなくの祖母達の暮らしが交互に出てくる書き方は小路さんお得意だろうと思うが、随所で情景が目に浮かんでくる筆致は流石としか言いようがない。 -
2013 9/12
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We hate the WAR. i like cherry.
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小路幸也さんの本は。。。
小路幸也さんは、今好きな作家さんなんだけど、この作品は私は面白くなかったなぁ。。
警察の赤川さんとロンさんの存在がなかったら、もっとこの作品は低評価(*_*)
赤川さんと、ロンさんの人柄とそれに関わる「戦争」の所に星ひとつ。
それと、昭和時代の物語のみに星ひとつ。
「祖母が孫に託した」ってトコが物語の軸なんだと思うんだけど、現代の物語がなんだか邪魔。
現代は、昭和の添え物のような、もっとシンプルな方が良かった。 -
ある田舎の村の丘の上に建つ洋館を舞台にした切ない物語。
昭和25年の三人の少女とその孫である現代の三人の女性の話が交互に語られる。
まだ戦争の記憶も生々しい時代に、三人の祖母が守りたかったもの、そして、長い年月隠し続けた秘密を孫たちが解き明かしていく。
大きな時代の波の前には、個人はあまりにも無力だが、だからこそ一人一人の思いが大切だと感じさせれられる一冊。