春雷

著者 :
  • 祥伝社
3.55
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本棚登録 : 251
感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396634612

感想・レビュー・書評

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  • 鬼隼人の生き様がなんとも言えない、感慨深い気持ちにさせられた。最後迄どうなるか分からないドキドキ感があった。

  • 蜩ノ記から続くシリーズ第3作目。この作品も一本筋が通った生き様を堪能することができた。清々しいというよりは痛々しいまでにまっすぐ。

  • シリーズ三作目。申し訳ないが、蜩とどうしても比較してしまう。

  • 武士道小説として読むもよし、
    心学の書として読むもよし、
    哲学の書として良し、
    経世済民の書として読むもよし、
    思いっきり
    娯楽自体小説として読むもよし

    葉室麟さんの時代小説を
    読む時に
    いつも 思うことです

    だから 再読ができる

  • ・世のため人のために尽くした者は、それだけで満足するしかない。この世で、ひとに褒められ栄耀栄華を誇るのは、さようなものを欲してあがいた者だけだ。ひとに褒めれれるよりも尽くすことを選んだ者には、何も回ってこぬ。望んでおらぬものは、手に入らぬということだ
    ・ひとは他人を語るとき、おのれを語るもののようだ
    ・世の中には忠義の皮をかぶった不忠の臣がまことに多い
    ・人は善人にも悪人にもなりきれぬものだ
    ・おぬしの正義はおのれの正しさを言い立て、ひとを謗り、糺すものだ。何も作ろうとはせぬ
    ・この世は罪のない者ほどひどい目にあうのだ
    ・「風 蕭々と易水寒し 壮士ひとたび去って復た還らず」中国、戦国時代の刺客である荊軻が詠じた詩句
    ☆守るもののために権力を恐れず信念を貫く男の物語

  • 復讐を孕みながらも、一途な生き方、憧れますねえ。
    こんな風に強くなりたい。
    側で見ているのは、ちょっと辛いけどね。

  • 面白かった。一気読み。
    名君の体面だけを気にする藩主。浪費し過酷に税を取り立てる。それにおもねる家老。君側の奸。
    鬼と人食い、大蛇。皆に嫌われる者だけが自分の正義を持っていた。
    「大願成就」と死んでいったけれども、本当にそうだったのか。哀しいなぁ。
    上意討ちした藩主と筆頭家老を幕府が隠居、失脚させたことは救いだった。

  • しんみり、な感じ。
    強いなぁ。

  • 孤独だけど自分の意志をどこまでも貫く人たちが本当にかっこよかった…
    兼清が名君と言われつつ全然そんなことないところに愕然とした…

  • 2017.03.22
    人々に鬼と言われても将来の民のために動く家老。何もなさず、民衆や他の者たちを煽るだけの輩。どんな評価を受けようとなにも動かない(汗を流さない、嫌われることはしない)者は、大層に言うことは出来ない。すぐに底が知れる。しかし、それを評価する上役がいるのはいつの世も同じ。反省しなければ主君をも許さない武士。それをもっと外から大きな目で見ている名君もいる。

  • 豊後の架空の羽根藩シリーズ第3弾。

    時代小説としてはハードボイルド風で面白かったです。
    任侠映画やウェスタン映画、藤沢周平ものを彷彿させるものがありました。
    ただ、歴史好きの自分としては、この時代背景がどの将軍の時代かと気になりました。
    あと、暗君とすぐ見破れたと思うので、むしろ、長年かけて緻密に失脚させるための罠をかけた形にするともっと爽快な物語になったと思いますが、それでは葉室さん風ではなくなってしまうかな・・・。

  • 幼い娘と妻の腹の子を、新しい殿様お国入りの際馬の蹄で殺された男が、果たす復讐。

  • 本当にあららそうなるのーでした

  • 6月-4。3.5点。
    羽根藩シリーズ第三弾。
    鬼隼人と呼ばれる役人が主人公。
    主人公は昔、殿に仕える前に因縁があるが、仕官する。
    本当の狙いは何か。

    骨のある役人の物語。さすがに一気読み。
    残された女性達が、かわいそう。
    次作も期待。

  • 蜩の記から始まる羽根藩シリーズ第3弾だそうで。
    ・・・あぁ、結局そんなふうになってしまうのね。

  • 読書心をくすぐられた感じで一気に読んだ。
     主人公は鬼と呼ばれた男、でもその鬼の裏に男のどんな想いがあったのか。他人からなんと思われても良い潔さ。カッコよかった。

  • ▶︎購入2016/05/17
    ▶︎2016/06/03-/06/04
    ▶︎「人は他人を語るとき、己を語るようなものだ。」「おぬしの正義はおのれの正しさを言い立て、ひとを謗り、糺すものだ。何も作ろうとはせぬ。」心したいものである。
    ▶︎ヤマモトマサアキ氏の表紙画も良い。

  • 多聞隼人の生きざまが日本チック。いやなお役を受けて、鬼と言われても使命を全うしたはやとがさいごに自分の願いをいうところは圧巻だった。

  • よかった。泣きました…
    鬼隼人、大蛇の臥雲、人食い七右衛門…玄鬼坊。そして、太吉かな。
    楓とおりう。

    【友】【正義】

    〜わかってもらおうなどとは思わずに尽くすのが鬼隼人の志〜

  • 爽やかな読後感である。
    葉室麟の作品はこうなることが多いが、そう思ってもやはり読んで良かったと感じさせるものがある。

    大願成就。

    いまの苦しみよりも先の希望をとる、それを理解できるのは当事者だけであり、周りが理解・行動するには難しいのだろう。ましてや食べ物に関わる今日の苦しみは、子供をもつ親であれば尚更、超えるには大きすぎるものだ。そういうことを知っていても実行し、結果、将来、人の役に立つ人がいるものであるし、亡くなってからそう呼ばれる人の多いことも皆、知っているのである。
    逆にならないようにしたいものだが、これもまた難しいのかもしれない(七右衛門は中間くらいかな)。

    人であり、人のために生きる、日頃忘れている中で、こういった小説を読めることが心地良い。他の作品も、と手を伸ばさせてしまう著者・作品である。

  • 暗愚な兼清をもっと早くに見抜いていなければ・・・・。

  • 一気読みした
    終わった後 なんか悲しい気持ちになったな
    口先ばっかりじゃなくて、仕事ができる 結果を残す
    目先の欲だけで生きてちゃダメねって思いました

  • 面白くて一気に読んだが、結末には少しばかり不満が残る。武士が政治をつかさどっていた時代は、窮屈な生き方を強いられていたようだ ことをなすには、尋常ではなく鬼にならなければならないようだ 

  • 豊後羽根~羽根藩の御勝手方総元締・多聞隼人は15年前に仕官した者であるが,年貢の取り立て・禄の半知借り上げなどで鬼隼人と嫌われている。出入りの商人・白金屋の若い女房が女中として入っているが,隼人が通う元筆頭家老の旧隠居宅である欅屋敷の女人は元妻ではないかとも噂されている。何度も計画が頓挫している黒菱沼の干拓を命じらると予想した隼人は,大庄屋の七右衛門の訪問を受け,重い菓子折を貰うが,干拓に一枚噛ませろとの意向だ。幾つも新田開発を成功させた七右衛門は,百姓をただ働きさせ,開発地は自分のものとして身代を大きくしている,人食いと綽名される。干拓の絵図面を引くためには,酔って暴れた千々石臥雲を牢から出す必要がある。当然,農民の反対も予想される。家老の末席に加えて貰わねば改革はできないと,名君の誉れ高い藩主・兼清に掛け合うが,藩主は筆頭家老・勘右衛門の了解を取れと云う。隼人は,15年前の出来事を持ち出して了解を得るが,新参者が出しゃばることを嫌い,正義を振りかざす儒者・白木立斎とその弟子の修験者を遣って脅し,殺害も企てる。剣のみならず柔術の達人である隼人は,これを撃退し,首領の玄鬼坊を捕らえ,鉄砲で口封じされそうな処を助けて脇腹に傷を負うが,玄鬼坊を現場の差配補助として手に入れた。干拓事業が始まるが,妨害も本格化。白金屋太助が播磨屋に訴えられ,播磨屋から買ったはずの土地を取り上げられそうになるが,店を畳み,七右衛門の番頭になることで,立ち直りを図る。勘右衛門は博打打ちを遣って一揆を起こさせ,七右衛門を殺して財産を取り上げ,隼人を失脚させて干拓事業を棚上げ,秋成物の銀納を軽減することで自らの権勢を保つことを考えた。一揆が起こりそうな気配に,七右衛門は覚悟を決め,欅屋敷が隼人の大事な場所だと考えて襲わせ,沼の作事小屋の焼き討ち計画が進む。太助と屋敷に帰った七右衛門は大坂の店の権利を太助に譲ると書状を認め太助を作事小屋に帰すと,襲ってきた一揆衆の前に姿を現し,博打打ちが差し出した脇差しの前に胸を突き出した。欅屋敷は鬼火が出たと騒ぐ孤児たちに大木に上らせ,油を染みこませた布や紐に火を付けて,欅の枝も燃やして,一揆の勢いを止めた。作事小屋では,臥雲が捕らわれ,隼人に引き取りを命じてきた。隼人は山の神社に一人で出向き,家老として年貢減免を約束した上で,七右衛門を殺害した博打打ちを袈裟懸けで打ち倒した。証拠もないまま領民を殺したことを咎めた筆頭家老の切腹の沙汰に,隼人は15年前の出来事を持ち出し,初のお国入りの際に峠で乗った馬の蹄に掛けて殺した娘に詫びろと迫り,閉門蟄居の沙汰は受け入れた。翌朝,切腹の上意を伝えた立斎を殺害し,討っ手を数名返り討ちにした後,鉄砲の前に我が身を晒した。一揆を鎮めた家臣を殺した藩主は隠居に追い込まれ,百姓の中にも隼人を鬼ではなく,世直し様と呼ぶ者が現れる~主人公は剣の達人で,正義感溢れる人物であるが,守旧派に妨害される…そんな人物が,このシリーズでは三名。「蜩ノ記」も読んだはずだが,内容を覚えておらず,その次のタイトルは何だったっけ…「潮鳴り」で襤褸蔵だったね。祥伝社は山本一力の深川駕籠シリーズを読んで呆れたが,この物語は構成がしっかりしているのか,後の加除訂正が効いているのか,丁寧だわ

  • まさか、やっぱりの展開。同工異曲かな。

  • 羽根藩シリーズ第三弾の本作でしたが、鬼隼人と呼ばれた士官を主人公に過去のいわくつきの事件を背景に、人から恨まれようとも、ある目的を持ちながら一心不乱に殿に仕えて政事に励むのですが、それを陥れようとする人たちとの対峙や、逆にそれを支えようとする人たちとの絆が対象的に描かれながら展開していき、最後には、鬼隼人的には大願成就した!という結末に繋がっていきます。
    羽根藩シリーズの結末は、どれも切なさが残るものが、この作品も含め、どれもですが、それはそれで、このシリーズの面白さなのかもしれません。

  • 葉室さんらしいと思いました。鬼と謗られようと自分の信念を貫いた男達。家老となり、藩の借銀返済の為、沼地の干拓をやり遂げようとする“鬼”隼人。そしてその干拓工事に関わることになった大庄屋の“人食い”七右衛門。どちらも人には理解されない生き方かもしれません。でも人の為といいながら己のことしか考えない善人に見える人達よりは、正直で筋の通った生き方をしているのだと思います。そして、凛とした女性楓や、おりう。これもやっぱり葉室作品の必需品でしょうね(笑)
     久々に葉室作品を読んだと思わせる本でした。

  • うーん、前2作に比べて主人公への感情移入が困難、かな。筆致はいいんだけど。。。

    • yuujiwashioさん
      文章のキレは最高なんだけど、前2作に比べて主人公への感情移入がちょっと
      文章のキレは最高なんだけど、前2作に比べて主人公への感情移入がちょっと
      2015/05/17
  • 「男は黙って、結果を出せばいい」

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著者プロフィール

1951年、北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年、「乾山晩愁」で歴史文学賞を受賞しデビュー。07年『銀漢の賦』で松本清張賞を受賞し絶賛を浴びる。09年『いのちなりけり』と『秋月記』で、10年『花や散るらん』で、11年『恋しぐれ』で、それぞれ直木賞候補となり、12年『蜩ノ記』で直木賞を受賞。著書は他に『実朝の首』『橘花抄』『川あかり』『散り椿』『さわらびの譜』『風花帖』『峠しぐれ』『春雷』『蒼天見ゆ』『天翔ける』『青嵐の坂』など。2017年12月、惜しまれつつ逝去。

「2023年 『神剣 人斬り彦斎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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