- Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396634841
感想・レビュー・書評
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【恋する超能力者たちの青い春】
キャッチをつけるならこんなとこか。
6篇の短編集。
●少年ジャンパー
引きこもりの男子高校生は、トン! と、「ジャンプ」で瞬間移動を繰り返すうちに。
もっとも乙一さん、いや、中田永一さんらしい作品。
九州の方言はかわいいな~。
●私は存在が空気
意識して自分の存在を消すことのできる女子高生は、好きな人のために能力を使う。
「ケーキ?」
「うん、宝石みたいなケーキだよ」
「いいところのやつだ」
「いいところのやつだよ」
なにげない会話なんですが関係性がじわじわきて良いです。
●恋する交差点
量子トンネル効果? によって出会った男女は、そのせいでなぜだかつないでいたはずの手がいつも外れてしまう。
わずか6ページの作品ですが、けっこう好きです。
――見失っても、さがしだして、手をとりあえるはずだった。そのことを証明しなければならないのだ。わたしたちにはそれができるのだということを。何回でも手をつなぎあえるのだということを。決しておたがいを一人にしないのだということを。(中略)だから、だいじょうぶだ。わたしたちはだいじょうぶなんだ。
●スモールライト・アドベンチャー
ひょんなことから「ドラえもんのスモールライト」のような道具を手に入れた男子小学生は。
最後がいいな~。動機がスカートの中を覗くことだったなんてさすがに言えないよね。男子小学生なんてそんなもんです。
●ファイアスターター湯川さん
男子大学生が管理人を務めるボロアパートに入居した美人の湯川さんには発火能力が。
派手な発火能力に加えて珍しくバトルまである作品。短編アニメにでもしたらいいかも。いろいろあるが
最後は心地よく終わる。
●サイキック人生
見えない手で物を動かすことのできる女子高生は、霊魂の存在を信じたい男子と出会う。
短編うまいな~。短い話の中にバタバタする見せ場あり、キャラクターもいい、最後はじんわり。これもアニメにでもして欲しい。
どれもおもしろくて堪能しました。でも、「百瀬、こっちを向いて」のほうが少し上かな。
次は「吉祥寺の朝比奈くん」か「ダンデライオン」か。 -
収録作のうち一作はKindleで100円、もう一作はWebで無料配信というわけで、本って高いね…というのが第一印象(笑)。
内容的にはいつもながらの乙……じゃなくて中田さんで好み。 -
最初の「少年ジャンパー」はたいへん良かった。軽やかで、福岡弁の会話も生き生きしてて、「ジャンプ」自体はラノベ的な感じではあるが(SFやファンタジーって感じではない)ちょっと切ない成長小説で、才能あるなあと感心したのだが、他はそうでもなかった。
乙一名義の作品とは違って中田永一は爽やかな青春小説というイメージだったが、学校で人気者の先輩が強姦魔で、しかも後輩を襲ったり(「私は存在が空気」)、少女がヤクザに始末された人の遺体処理を行ったり(「ファイアスターター湯川さん」)、結構ダーク。
おかしいことには違和感を感じる才能のある少女が、憧れの先輩が強姦魔だということに気づかないのも変だし、配偶者(になる人)には自分の特殊能力を知られてもいいが、それ以外の人に知られたら殺さなければならないって(「サイキック人生」)、離婚したらどうするのさ。ありえない能力の物語なんだから楽しめばいいのかもしれないが、そういう「ほつれ」は気になる。
乙一(中田永一)はうまい作家だと思うけど、これはいまいち。「少年ジャンパー」だけ読めば十分。中高生は喜ぶだろうけど、大人の鑑賞に堪えるものではない。 -
乙一さん大好きな人沢山いますよね。僕も結構好きです。追いかけはしなかったけれど暗いところで待ち合わせ読んだ時なんて感動感動また感動でした。天才だなと思いました。いつしか本でないなと思っていたら変名で出していたんですね。
この本はとっても漫画的でするする読めます。するする読める事が褒め言葉かどうかは分かりませんが、それだけ整理されて読みやすいし一本道の話というのは頭が疲れなくていいですね。
ほぼ超能力者の話の短編です。一個一個の話が全て変化があるしそれぞれに感情移入させる力があるので大したもんだと思いました。自分がこの能力だったらどうだろうかと考えながら読んでいましたね。
その分特に引っ掛かりが無いので読んだこと忘れちゃうかもなあとも思いました。 -
タイトルに惹かれて読んでみました。
超能力があるからと、大それたことを考えるでもなく日常を送る人たちとちょっとした恋のお話でした。
少年ジャンパーと私は存在が空気、サイキック人生が面白かったと思います。 -
瞬間移動、存在を消せる人間、サイコキネシス、パイロキネシス、これでもか、というくらいベタな超能力者たちが登場する、なのにどこか気の抜けた短編集だ。
だって瞬間移動できる能力があるのに引きこもりって・・・世界を悪の組織から救う活躍もなければ、逆に世界征服を狙うようなワイルドさもない。
この作家らしい気の抜けた、でもちょっといいな、というゆるゆるふわふわとした世界観が楽しい。 -
2015/1/30
超能力を持った人たちの不思議で可愛い短編集。
爽やか要素が強い乙一といったところ。
「少年ジャンパー」が心温まった。
登場人物が未成年で恋をしていたりすると親目線になってしまうのでわたしは対象年齢から外れてしまったのかな、とも思う。 -
中田永一名義はひたすらさわやかな白乙一なんだと思ってたけど、これは一般文芸というよりライトノベルレーベルで出すべき作品。タイトルもしかり。角川スニーカー文庫で出していた乙一名義の路線。ちょっと不思議な力を手に入れた人たちのおはなし。
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中田さんのイメージとは違った作品でした。
というのが気になる!
土瓶さんが抜き出した数行がまるで詞のようで、グッときました
というのが気になる!
土瓶さんが抜き出した数行がまるで詞のようで、グッときました