落陽

著者 :
  • 祥伝社
3.60
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感想 : 62
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396635022

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  • 初・朝井まかて。
    明治神宮造営がテーマ、
    明治天皇に思いをはせる記者が主人公。
    やや、食い足りなさを感じるけど、
    もう少し、まかてさんを読んでみようかな、
    という気にはなった。

  • 浅井作品にしては、ユーモア封印してるね。非常に興味をそそられたテーマだった、そうか、明治神宮って、明治天皇崩御のあとで人工的に作られた森なんだね。ながいながいあいだ、京の都で系譜を紡いでいた天皇が、はじめて東に移ってきたのも明治天皇なんだよなあ、歴史を学んでいればわかっていたようで、あらためて思い知らされることも多く、考えさせられた。予備知識がないからいろいろ調べながら読んだら、明治天皇までは側室がいたんだねえ。大正天皇は皇后の実子じゃなかったんだね。そんな近い歴史も知らず。
    天皇という日本独自の存在、じぶんのなかにある敬意、これもいったいどうして持っているんだろう?私はなにを以ってこの敬う気持ちを培ったんだろう?究極の滅私の存在だからだろうか?それをいつ想像理解できるようになったろうか?
    けして大手ではない俗新聞の新聞記者、という主の目線から語られる物語なので、皇家側だったり、造園事業側だったり、偏らずに距離感を持って読めるのは狙いでもあるんだろうけどでも、ちょっと“ドラマ”が終わらないまま頁が尽きたかなという消化不良感が残った。上原くん目線の外伝書いてほしいなあ。
    でも、激動の明治という時代を、神宮造営というこの視点から描くのは斬新だとおもう。役者揃えば映画になりそう。

    「ただ、かくなる上は、己がすべきことを全うするだけです。明治を生きた人間として」

    この台詞は痺れた。ちょっと時代背景とか歴史を不勉強なまま読んでしまったので、予習してから読むともっと深く味わえたんだろうな。いつかもいちどリトライしたい作品。

  • 明治神宮の造営を通して明治という時代と明治天皇の視線を想像する。新聞記者の主人公は途中から性格が大きく変わってしまうように感じた。でもこれを読んで明治神宮にもう一度行ってどんな木が植わっているのかみてみたくなる。

  • 冒頭の一文だけで心ひかれた。完成は150年後。明治神宮に行ってみたくなるなあ。

  • 明治天皇と神宮の森をテーマにまかてさんの筆によって壮大な舞台が開演する。幼くして京より東下された天皇、自我を没し君主としての生涯を貫く。されどその胸中に思いを馳せる時、歌に託された御意を思えば涙は止まる所を知らず。天皇を偲び感謝して 神宮の森に国民が持ち寄った十万本の木々が百五十年後の日々に備えて静かに息づく。古代より天皇と杜は人の崇めの対象、この二つを見事に融和させた本作品は、読み物としての魅力だけではなく我々の心に宿る畏怖尊敬の念を新たに打ち鳴らしてくれる。

  • 明治神宮という題材が良かった。
    ストーリーとしては、さほどでもない。
    明治ものよりも、時代小説が向いている。

  •  明治神宮の創建をめぐる、当時の世相を三流新聞記者の目から描いた作品。
     日光東照宮のような荘厳な針葉樹の杜を求める政府に対して、当時の林学者たちが東京の地質にはスギやヒノキは向いていないと真っ向から反対し、150年後の完成を目指してさまざまな樹木を計画的に植林していった話には以前から興味があった。

     本書はそのような、東京に人工の森林と神社を建設する、という壮大な計画に挑んだ人間の苦労をもっと描いた作品かと思ったが、結局、天皇とは何かを問い続ける市井の人々の心模様に焦点をあてており、期待と違った。

  • 『明治の杜』の話でなく、杜の主:明治天皇のお話でしたね。緑や木々の匂い立つ物語をイメージしていたが、ちょっと違った様だ。新聞記者の視点から、明治〜大正へ移りゆく時代背景もうまく描写されていたが、“杜造り物語”への期待ギャップがどうしても払拭出来ずに読了。

  • 明治神宮建立、また明治という時代について新聞記者の主人公目線で書かれた小説。
    淡々と進められる話の中に熱い思いが時折混ざり、ぐっとくる。
    女記者の響子、かっこいい!
    まかてさんお得意の、切ないけど温かい感じ(?)は今回は少なめ。

  • 明治神宮が出来るまで。
    名称から考えて当たり前だけど明治天皇を追慕する御陵だったのね。小さい頃何回も言ったけど何にも知らんかった。渋谷から歩いて行ける距離に鬱蒼とした森が有るのも考えたら凄いこと。
    完成は150年後だから、まだ50年掛かるんだ。
    昔の日本人って凄いわ。

著者プロフィール

作家

「2023年 『朝星夜星』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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