私の財産告白

著者 :
  • 実業之日本社
3.88
  • (81)
  • (94)
  • (87)
  • (10)
  • (2)
本棚登録 : 870
感想 : 107
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408395821

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • かなりの資産を築きあげた本多静六ストーリー。

    山林はその時代そんなに化けたのか…と驚く。
    税理士に言わせると、山林の申告はかなり手を焼きその専門は少ないと言う。
    時代が時代であり、そうして化けに化けたものをポンと自治体に提供したり出来るあたり、普通のお金持ちではないしなかなかできる考えではない。かなり度胸がある。

    投資も独自の方法を編み出しておられる。

  • 慶応生まれ、明治、大正、昭和を生きた大学教授であり産業振興に生きた本多静六。前半はお金の作り方、貯め方、そして運用。後半は生き方。
    資産運用については、基本的なことを説いていて、商品の種類も多くテクニックに走りがちな現代人が求めるものはこの著にはないだろう。でも、多くの経済人がこの本に学んでいるということは、基本が大事で、あとがきにあるように、多くの人はその基本を踏むことさえ難しいからなのだろう。とても謙虚な人だ。若かりし頃は血気盛んでうぬぼれたところもあったと反省しておられるが、そうかなあ?と思う。
    ・苦しくても月給の25%を貯金する。
    ・「2割利食い、十割半分手放し」投資は2割儲かったら売る、2倍以上になったら半分売る。
    ・卵を1つの籠に盛らない
    ・好景気は勤勉貯蓄、不景気には投資。

    後半の人生指南にも学びは多かった。
    ・仕事に謙遜は不要
    ・まずは本業に勤しめ。本業が楽しくてしょうがないくらいに極めろ。名利を目的にしてもすぐはがれる。名利は与えられるもの。
    ・保証人にはなるな。
    ・自分が明るくない事業には出資するだけ、経営するな、オーナーを儲けさせろ。それが周り回って事業を設けさせ、自分にもリターンをもたらす。
    ・政治家なんて、余裕のある金があれば、それで人に食事をふるまっていれば数年後にはなれるだろう。

    印象的だったのは、寄付した金額が高額だったため、誤解と因縁を付けられ辞職勧告に追い込まれた時の話。相手の誤解と因縁に他ならないと思うのだが、彼自身、これまで相手を「打ち負かそう・自分の方が上」という態度をとっていたからだ、と分析。なかなかできる反省ではないなあ。私も実は今、似たようなことを振り返っている。
    これって日本人の謙虚さの良いところかな。アメリカでは自己主張、競争を生き抜くことを徹底的に教えるけど、調和すること、負けて勝つ、そしてそれが全てうまくように導くコツなんて。

    また、恥ずかしながら、普段聞くことのない熟語の勉強にもなった。
    吝嗇 りんしょく 義理人情を欠いてまでも欲張る事。倹約とは違う。
    煩悶 嘆き苦しむこと。
    卑近 身近でありふれている事、高尚ではなくわかりやすいこと
    鼓吹 吹き込み 繰り返し教え込む 
    通有性 つうゆうせい 同類のものに共通して備わっている共通性
    剣突を食わせる(けんつくをくわせる)荒々しくしかりつける。とげとげしく拒否する。

    今の私にとってとても学びある著だった。

  • 人生即努力、努力即幸福、がすべて。貯蓄術としての天引きの有効性を唱えている財産告白の編も面白いが、社会体験記も相当参考になる。人付き合いには雅量を以て対峙すること、本業に集中すること、など、当時のものとは思えない、現代的な内容に、普遍性、一般解を感じさせる内容。

  • 本多式貯金法は、収入の4分の1を貯金し、臨時収入は全て貯金し、家計簿をつけ、これを投資していくという方法。

    マネーフォワード代表の辻庸介さんがオススメしていたので読んでみたが、日本人が金を持つものを品性下劣と決めつけていることを非難し、金稼ぎを非難する人に対しての対処法を始め、議論をしている際の立ち回り方、部下への立ち回り方などは面白いと思った。

    本多さんは、木材に投資をしていたが、今の時代ビッグトレンド入りしているもの、例えば情報通信技術などの専門知識を持っていないとなかなか投資に入り込めないような複雑化しているものに投資するしかないので、これを機に投資についても軽く触れておきたいと思った。

  • <この本に学んだ教訓>

    ・失敗は人生の必須科目
    ・お金は自己革新と努力の副産物であり、面白くてたまらないという道楽の粕である
    ・好きな仕事に一生懸命に取り組め、不得手でも好きなら熱意で上手になり、うまくいく
    ・本職の足しになり勉強になる複数の収入源をもつこと
    ・370作もの著作は、買い手の求めさえあれば、学問の切り売りでも良いスタンスから生まれた
    ・給与よりも投資や副業の収入が多くなれば、経済独立をする事で勤務にもますます励めること
    ・資産家への第一歩は、収入の25%・臨時収入の100%を容赦なく貯蓄し、その残りで苦しい生活を押し通し、質素に暮らすこと。ただし、義理を欠く出すべきものを出さないケチはダメだ
    ・貯蓄で富は築けない。富を築くには投資を行うこと。
    投資は比較的安全という相対的有利な時に行うことが大事で、不景気でリスクを取り、好景気でリターンを取ることが肝要。
    ・投資先は、国家社会の発展を先回りして資金を投下すること
    ・超富裕層になるためには「金が金を生む」スノーボールを手に入れること
    ・人生計画を10年ごとに明確に持ち、感ずるところがあればそれを新たに修正し続けること
    ・世の中をまるがままに見、自分の頭で考えて生き抜き、低姿勢で謙虚に感謝の気持ちをもつこと
    ・85歳になっても「老い」ないのは、新しいことに挑戦し続けるからである
    ・欧米に比べ、日本は金持ちに気持ち良く金を使わせてやる雅量に乏しいので警戒すること

    詳細は、
    http://www.richbooks.club/entry/2015/11/05/155417

  • 四分の一貯金をすること。
    好景気には貯蓄、不景気には大胆な投資。
    貸すな、借りるなの戒律。
    仕事を道楽化すること。
    凡人は本業に徹すること。
    仕事に追われるのではなく、仕事を追うこと。
    政治には金が必要。大きな成功を実現してから臨むこと。
    人生即ち努力、努力即ち幸福。
    人が知ってはいるができないことをいかに実行するか。
    自分に相応の実力があるならば、もらった地位は受け入れること。

  • 良い本です。生き方、姿勢みたいなものが特に印象深かった。

  • 難しいかも、と思いながら読み始めたけれど、ノンフィクションの自伝を読んでいる感じで楽しく読めた。
    今も昔も、お金儲けの方法は変わらないっていうのが分かっていたつもりだったけど、衝撃だった。両学長推薦のため読んでみたが、これはもう、昔の両学長なのではないか?と思える感じ。本物のお金持ちは皆器が大きいです。
    言っていることは大それたことではなく、とにかく苦しくても一定割合で貯金、元手が溜まったら投資、溜まり過ぎたら還元みたいな感じかな。まあ、これが大変なのよね。。。

    今と昔で違うなと感じたのは、銀行に預けて利息を考慮しているところ。あと、地方の山林が開発によって価値を生み出すであろうという予測。確かに100%現代には当てはまらない。とはいえ、きっと今は今で同じようにこれからきっとこれが来る!となんらかのモノを見つける事こそが大事と言いたいのだろうと思った。

  • 読んでいて共感できる内容でした。筆者の書いてある通りに実行すると、結果もついてくるのではと思います。『四分の一貯金』や、『二割利食い、十割益半分手放し』、『勉強の先回り』のお話が印象的でした。

  • 東京大学の林学博士である本多静六教授の本。
    お金と言えばこの著者の本を読めと友人の父親に進められた読了。

    70年前に亡くなられたにも関わらず、今でも通用する貯蓄方法を提案している。
    例えば、敷地を買い占めて地価が上がるまで保有する投資をしていたそうだが、現在の不動産投資に当たると感じた。

    この著者の一番有名な貯蓄論は月給4分の1天引き貯金だが、今でも十分に通用する。


全107件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1866(慶応2)年、埼玉県菖蒲町(当時は河原井村)生まれ。苦学の末、1884(明治17)年に東京山林学校(のちの東京農科大学、現在の東京大学農学部)に入学。一度は落第するも猛勉強して首席で卒業。その後、ドイツに私費留学してミュンヘン大学で国家経済学博士号を得る。
1892年(明治25)年、東京農科大学の助教授となり、「4分の1天引き貯金」と1日1頁の原稿執筆を開始。1900年には教授に昇任し、研究生活のかたわら植林・造園・産業振興など多方面で活躍するだけでなく、独自の蓄財投資法と生活哲学を実践して莫大な財産を築く。
1927(昭和2)年の定年体感を期に、全財産を匿名で寄附。その後も「人生即努力、努力即幸福」のモットーのもと、戦中戦後を通じて働学併進の簡素生活を続け、370冊余りの著作を残した。
1952(昭和27)年1月、85歳で逝去。

「2023年 『マンガ 本多静六「私の財産告白」 伝説の億万長者に学ぶ貯金と資産の増やし方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

本多静六の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×