美姫血戦 松前パン屋事始異聞

著者 :
  • 実業之日本社
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408534787

感想・レビュー・書評

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  • 話があちこち行くがその場その場での見せ方はうまかったと思う。今年新たに読み始めた作家さんの中ではダントツによかった。来年は現代作にも挑戦してみたい。

  • パン作りを命じられた松前の和菓子職人と、親の仇に燃える姫様剣士の視点から、函館戦争を描く。
    戦争歴史モノでもあり、恋愛モノでもあり、パン作りの物語でもあり、サラリと読めるくらいの厚さではあるものの、いろいろな要素が含まれてて面白かった。歴史モノなので、最終的に敗北に終わる結末は分かってはいるものの、幕末志士たちが明るく爽やかに描かれ、悲壮感はほとんど感じられず良かった。
    函館戦争3部作の一つのようなので、他のも読んでみたい。

  • ■明治元年(1868)12月15日、旧幕府軍は箱館を掌握。松前藩軍を一蹴、五稜郭にて榎本武揚を総裁に蝦夷政府を立ち上げた。海軍奉行荒井郁之助、陸軍奉行大鳥圭介、箱館奉行永井玄蕃、松前奉行人見勝太郎らと並んで元・新選組副長・土方歳三の姿もあった。鳥羽・伏見の戦以来、彼の戦振りをよく知る榎本は、歳三に陸戦の指揮権を委ねていた。その傍らには殺された両親の復讐に燃える美しい娘がいた…。必死の戦が迫っていた。戦の携行食としてパン作りを命じられた松前の和菓子職人が見た箱館戦争とは!?北の大地を揺るがした幕末維新期の凄絶な戦いを描いた、富樫倫太郎渾身の傑作歴史小説。

    ■■箱館三部作のうちの一つ。この話の裏側で「箱館売ります」のドタバタが行なわれているんでしょう。
    何気にパン作りの話が面白かった。そうか、この時代はパンを作るも一苦労か。
    人見さんがいい味で伊庭さんも出てきます。二人の恋愛模様が可愛い。本気の恋には純です。そして相変わらず土方さんがかっこよい。けど出番は少ない。カレーやビフテキやコーヒーが苦手な土方さんが読めます。最後はやっぱり切なかった。全体的に読みやすいしさらりと進めます。でも内容が内容なだけに悲壮感は・・・あるようでないかもしれない。全体的にテンポがいいしキャラが明るいから。もしあの時代、彼らが本当にあんな明るさで死地に挑んでいたというなら、やっぱり泣けてしまう。凄いなぁ。

  • 松前などを舞台とした作品です。

  • 蝦夷政府からパンの製造を命じられた松前の和菓子屋藤吉と,
    松前藩の重臣だった父の敵討ちのために蝦夷政府に身を寄せる山下蘭子をとおして箱館戦争が描かれる。

    こういうちょっとしたきっかけで和菓子屋がパン屋になったりするんだろうなあ。

  • 祝賀会の描写がえ、コピペ?と思ってしまうほど「箱館売ります」と似てたのが気になったり。
    そしてやっぱりモテ男な土方さん。

  • 「美姫血戦ー松前パン屋事始異聞」は、函館戦争の側面を描いた物語としては平凡だが、日本人がはじめて取り組むパン作りの物語として興味深かった。

    日本にパンが入ってきたのはいつなのか調べてみたら、1543年鉄砲と一緒に伝来したらしい。南蛮文化で栄えた長崎や平戸では盛んにパン作りがなされたが、一般には普及せず、その後鎖国になってパン作りは出島のオランダ商館でだけ作られていたようだ。

    幕末近く、「兵糧」としてパンに着目した人がいた。
    幕府から江戸湾の警備を銘じられた伊豆韮山代官・江川太郎左衛門だ。
    1842年には、製パン所を作り、長崎からパン職人を呼び寄せて本格的にパンを焼かせたという。この時のパンは今の乾パンのようなものだったらしい。
    日本人のためのパン作りの父はなんと、あの江川太郎左衛門だった。
    江川太郎左衛門と聞けば「未完の多摩共和国」を読んだ人ならピンとくると思うが、あの多摩地域を治めていた開明的な代官だ。佐藤彦五郎や小島鹿之助のような優秀な名主を育成し多摩独自の文化と自治力の基礎を築いたとも言える人だ。
    江川太郎左衛門は、砲術家の高嶋秋帆とも面識があったようなので、兵糧としてのパンの利点は案外長崎出身の高嶋秋帆あたりから聞いたのかもしれない。「美姫血戦ー松前パン屋事始異聞」のなかで、人見勝太郎が兵糧としてパンを考えたのは、この江川太郎左衛門の事例を知っていたからだろう。
    ヤマザキパンのホームページには、「パンの祖」江川太郎左衛門が国産第1号のパンを焼いた日は1842年4月12日、これを記念して毎月12日を「パンの日」にしていると書かれている。

    ちなみに、韮山代官所で国産第1号のパンが焼かれた年、土方歳三は7歳、前年におかあさんを亡くしている。沖田総司は生まれたばかり。

  • 1706.初、並、カバスレ、帯なし。
    H.21.7/8.松阪BF

  • 父を倒幕派に殺された松前藩重臣の娘が主人公の話。
    なんちゅうか、この作者、よっぽど人見さんが好きなようで、最初っから最後まで出張っております。
    前回出張っていた大鳥氏が出てこないのが、少し残念ではありますが、人見&伊庭のほのぼのとできるやりとりは微笑ましかったです。
    戦いのシーンの二人の会話など、本当に信頼しきっている関係なんだということが、すっごく分かります。恋の相談とかしてるしね★ 
    人見さんが松前の和菓子屋に「パンを作れ」と命令することからこの物語は始まるのですが、人見さんのキャラの濃さに脱帽でした。
    はっちゃけた気の良い兄ちゃんって感じなんですが、やるときはやる男!
    それが人見勝太郎です!!
    新選組は土方くらいしか出てこないです。松前攻めのシーンで土方さんが
    活躍するのですが、ミニマム星隊長と渋沢さんなんかも出てきます。
    でも、星さんの性格に疑問が…。慎重で積極的でないなんて…そんなの
    星隊長じゃないもん(泣)。
    書かれる作家さんによって登場人物の性格は変わるもんですが、土方がこれでどうだ!!ってくらいに格好良いのは変わりませんよね。
    この作品の土方も、文句なしの男前で、そして、例にもれず登場する女は皆、土方に惚れるのでした。

  • パン屋がパンを作り上げる話と、労咳の勇ましいお姫様と、腕を振り回す元気な人見さんと、おいしい土方さんがおります。個人的にブリュネ氏と土方さんのコンビが好きです。いや、土方さんがおいしいからだよ?

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著者プロフィール

1961年北海道生まれ。98年に『修羅の跫』で第4回歴史群像大賞を受賞しデビュー。以降、時代小説や警察小説を中心に活躍。本書はドラマ化もされた「生活安全課0係」シリーズの主人公・小早川冬彦が、警視庁本庁から日本各地へ活躍の場を広げていくシリーズ第2弾。著書に「SRO 警視庁広域捜査専任特別調査室」「スカーフェイス」「警視庁SM班」などのシリーズ他多数。

「2023年 『スカイフライヤーズ 警視庁ゼロ係 小早川冬彦Ⅱ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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