微笑む人

著者 :
  • 実業之日本社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408536071

感想・レビュー・書評

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  • 「本を置く場所が無くなった」という理由で妻子を殺した男。
    作家の男が、その真実を探ろうと関係者に話を聞いたものを文章化したというスタイルを取る。
    妻子を殺した心の闇に迫るのかと思ったが、それは期待外れだった。

  • 「本を置くスペースがなかったから」


    という不可解な理由で妻と子を殺した男。
    それが何不自由ない生活をしていた男の本心なのか
    小説が彼の姿を追うルポルタージュ、

    という体裁。


    結局はっきりとした結論は出ないまま。
    それを妙味とみるか、放り出しとみるか。

  • 真相が最後まで分からないのは嫌いだけど、この本はこれもありかな。
    誰にも他人の本当の気持ちは分からないってのがテーマだろうから。
    もしかしたら人を殺すような人は自分でも自分が分からないのかも。
    あんなにいい人が…のパターン、怖い( ̄▽ ̄)

  • 読みはじめて、続きが気になってサクサク読んでいったものの、結局最後真実はわからずじまいか~。
    いまいちスッキリしないなぁ。
    おもしろかっただけに。

  • この人はかなり実験的な作品が多いけれど、これもまたかなり異色の内容で、賛否両論に分かれるだろうと思う。
    表現したいことは理解できるけれど、私はちょっと感性が合わなかった。展開はなかなか面白く、読ませる内容ではあるけれど。

  • 結局、真実はわからないまま終わるのだけど、
    いわゆる犯人探しの物語風でいて、わかりやすいドラマを
    求めてしまう人間の真理を批判している話。

  • 「ぼくのミステリーの最高到達点です」
    貫井徳郎氏は語った。なるほど。本作を読み終えて確信したことがある。
    これはある意味"ミステリーの到達点"の一つであろう。

    貫井氏は刊行に寄せて、
    「『微笑む人』は当初の凡庸な構想を大きく超え、異様な真実の姿を現した。その結末には、ぼく自身が驚いた。作者が驚くぐらいだから読者も当然驚くだろう。人によっては、唖然としすぎてただ戸惑うかもしれない。それほどに、既存のミステリーとはまるで似ていないのだ」
    という、最大級の太鼓判を押して本作を世に送り出した。
    確かに本作の読後感は他のミステリでは類を見ないし、既存のミステリーの枠には押しこめられないだろうと思う。

    しかし、これは"最高到達点"であり"最高傑作"ではない。
    なぜなら、僕には結末が見えていたからである。
    もちろんディテールに至るまでを予見していた訳ではないが、作者が何をやりたいのかは最初の30ページで分かってしまった。
    たぶん貫井徳郎氏のインタビューを何度か目に通した方なら気が付くはずだ。
    貫井氏は常に新しいことを貪欲に求めている。既存の作品を好むファンを失う覚悟をしてでも、何か新しいものを生み出そうと苦労しているようである。そんな彼だからこそ、この結末には何にも驚かなかった。貫井氏の最大の誤算は、この作品を「彼」が書いたという事にあるだろう。
    ネタバレになってしまうから詳しくは言えなくてもどかしいのだが、いわゆる"どんでん返し"も、別段の驚きはなかった。

    そうは言っても、読者を引き込む手腕は流石だと感じたし、最後の数行にはやはり鳥肌を禁じ得なかった。作者の腕が光った一作であろう。
    ミステリーファンとして、貫井氏の勇気と手腕を高く評価したい。

    だが貫井徳郎ファンとしては「新月譚」や「後悔と真実の色」のような作品はもうお腹いっぱいなので、そろそろ「さよならの代わりに」や「夜想」、「追憶のかけら」、「悪党たちは千里を走る」のような作品を読みたいなぁと思ったり。
    複雑な心境だ。次作への期待を込めて星は低めで。

  • 人は他人のことをわかったつもりになって、どんな人間であるかを枠の中に当てはめようとするが、わからないままの状況では気持ちが悪いからスッキリしたいだけであり、本当は何もわかっていないのかもしれない。
    長年一緒に住む家族のことでさえ、妥協し合っているだけで理解とは違うのだ。
    事の顛末が明らかになろうとした最後の最後で、思わず愕然とすることになろうとは予想もしなかった。
    しかし、ある意味、多くのことを考えさせられ、読み応えも充分であった。

  • わからない。すっきりしない。納得できない。
    簡単にわかりやすく理解できることばかりではないのに、わたしたちは自分たちが納得できる範囲でまとめようとしてしまうのではないか。真実は納得できるものばかりではないのに。

  • 図書館にて。
    途中、怖くてしょうがなかった。
    文中にも出てくるが、わからない、ということが一番怖いということだろう。
    理解できない、得体の知れない人がうっすら微笑んでいるって本当に怖いし気持ちが悪い。
    わかりやすいストーリーを求めているとはその通りで、そういうものがあると何となく安心できる。理解できたような気がする。
    そんなもののない、理解できない心理世界があるということを、このぶつ切りのラストは表しているのだろう。
    え、ここで終わり?の後にぞぞー。
    いまだに、結局本当はどうなの?と気になって仕方がない。

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著者プロフィール

1968年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒。93年、第4回鮎川哲也賞の最終候補となった『慟哭』でデビュー。2010年『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞受賞、『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞受賞。「症候群」シリーズ、『プリズム』『愚行録』『微笑む人』『宿命と真実の炎』『罪と祈り』『悪の芽』『邯鄲の島遥かなり(上)(中)(下)』『紙の梟 ハーシュソサエティ』『追憶のかけら 現代語版』など多数の著書がある。

「2022年 『罪と祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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