- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784408537078
感想・レビュー・書評
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目のつけどころが面白い本。「舟を編む」を書かれた三浦しをんさんが色々な博物館を巡って、興味津々で取材して、愛情たっぷりに作り上げた本。
土器やら石炭やらボタンやら、いくらなんでもマニアックすぎないか?という分野の博物館が並んでいておいおい、となりましたが、著者の熱心な書き振りの文章を読み進めていくと、最終的には「こういう分野もアリなんだなぁ」と何となく納得できるのが不思議。
読了して感じたことは、面白がれるのは才能だ!ってコト。
何でも批判的、シニカルに捉えるスタンスも時によっては必要なんだろうけど、著者のように明るくポジティブなエネルギーとリスペクトを周囲に振りまいていくスタンスのなんと素敵なことか。
特に、著者の場合はこの面白がり力+取材力+文章力等々の組み合わせで素晴らしい作品をいくつも生み出しているのが凄い。
あぁ、人として常に色んなコトを面白がれるようでありたい。。
個人的には、博物館のような存在よりも実際に使われているものや人の生活に近いものに親近感があって、それは本著を読み終えた今でも変わらないのですが、真摯な博物館の学芸員の皆さんへのリスペクトが増したのは間違いない1冊でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
こちらでおすすめされて読んだ。
元から博物館は好きだが、ますます行きたくなって困る!
今がコロナじゃなければ、すぐにでも行ったのに。
特に鯖江の眼鏡の博物館に行ってみたい!
前に用事で鯖江に行ったのに、その時には眼鏡も恐竜も行けなかったからなぁ。
眼鏡の歴史とか、眼鏡を作る苦労とか、戦時中の悲しい眼鏡とか、ツルが上しかない眼鏡のレンズがどうやってくっついてるかとか、知らなかったことがいっぱいだ。
展示をこの目で見てみたい。
それに自分で眼鏡を作るの、大変そうだけど三浦しをんさんがとても楽しそうだったので、私も作ってみたくなった。
あとボタンの博物館も行ってみたかったのに、東京に移転なんてショック! -
普段は意識しない呼吸とか鼓動とか時間とか。
それらを(あ、ある。)と強く実感できるのは
なにか強く惹かれる物事にとっかかっている時じゃないだろうか?
例えば研究でもコレクションでも創作でも、何でもいい。
とにかく一秒前より自分の手を加えて刻々と進化してゆくものと出会えた時から、自分時計の針が動いている事を意識できる様になる気がする。
そんな誰かの集大成をお披露目する場こそ、博物館ではないだろうか。
私もしをんさん同様、そんな博物館が大好き。
好きでたまらない人の元へしか絶対にやってこないレアアイテムや、ここに来なければ、一生のうち一秒も考える事すらしなかったであろう知識とか、自分の人生に興味も関わりも無い別次元の空間に扉を創り、人々の出入りを自由にさせてくれた方々に感謝だ。
しをんさんが巡った博物館もバリエーション豊か♪
親玉の国立科学博物館から、
石やめがね、ボタンや風俗など隅々(?)まで網羅。
ちょっと気になってた秘宝館をしをんさんの面白ガイドで巡る事ができて楽しかった。 -
博物館や美術館はその展示物(テーマ)そのものに関心があるかどうか(好きかどうか、ではなく)が重要で、絨毯に興味のない人が絨毯展へ行ったところで「絨毯最高…!」となる可能性は低い気がする。部屋に合うかどうか、とかは「インテリア」に興味があるのであって、絨毯自体に興味があるわけではないし。ということを学んだ本だった。内容にまったく不満はなく、新しい扉を開ける…かもしれない。
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いろんな博物館をしをんさんとめぐる、
いえ、めぐったしをんさんの文章を読む。
楽しかったぁ!!!
さっすがだしをんさんの好奇心と
しをんさんの勘所が
もう、ツボ。
ボタン博物館は行ってみたいけど、
大阪はなくなっちゃったんだね。
残念。
いつか、東京で行ってみよう。
めがねミュージアムも行ってみたいなぁ。
藤岡陽子さんの「おしょりん」を思い出すねえ
で、やっぱり、
国立科学博物館だわねぇ
謎めく、美しいあの建物。
行ってみたぁい。
と思わせる、楽しい楽しい本でありました。 -
「舟を編む」や「風が強く吹いている」で有名な小説家三浦しおんさんが博物館を巡るエッセイ集。
三浦しおんさんって、小説もおもしろいのだけど、エッセイを書かせてもこんなにおもしろいのか! と思ってしまうほど、最後まで飽きさせない一冊でした。
土偶、仏教、石炭、石ノ森章太郎、風俗、めがね、ボタン、etc...
なぜこのセレクトだったのか? はともかく、読んでいると、どこも言ってみて確かめたくなっちゃう。
好奇心のスイッチを押してくれること間違いなしです。
三浦しおんさんの人柄も伝わってくる、とにかく楽しい一冊。
お勧めです。 -
作家の三浦しをんさんのルポエッセイ。
全国各地の専門博物館10館を見学した様子が収録されています。
実業之日本社創業120周年記念作品と聞くと、なかなか重みを感じますが、著者が気になる所をピックアップしていったという、気ままなチョイスで選ばれたようです。
紹介されているのは
茅野市尖石縄文考古館(長野)
国立科学博物館(東京)
龍谷ミュージアム(京都)
奇石博物館(静岡)
大牟田市石炭産業科学館(福岡)
雲仙岳災害記念館(長崎)
石ノ森萬画館(宮城)
風俗資料館(東京)
めがねミュージアム(福井)
ボタンの博物館(大阪)
寄り道編として、
熱海秘宝館
日本製紙石巻工場
岩野市兵衛さん(越前和紙職人)
の13カ所。
それぞれが真面目に専門性を極めており、きちんとそのテーマとパッションを受け止め、しおんさん独特の感性でレポしてくれています。
一人でふらりと訪れたら、素人には良さがわからず退屈に感じるかもしれない場所も、専門家からのわかりやすい解説を受けたしおんさんがクリアに報告してくれるため、博物館の持つ情熱がそのまま読者に伝わってきます。
静岡の奇石博物館での「日本で空から降ってきた隕石を拾った人は、神様として大切に祀ったため、きちんと保存されているものが多い」というエピソードには納得しました。
石巻の石ノ森萬画館には、いつか行ってみたいものです。
またしおん氏が秘宝館を訪れた時のルポは必読。突き抜けた明るいアホらしさが、絶妙な塩梅でおもしろおかしく報告されています。 -
博物館が大好きだ!
上野の国立博物館、科学博物館などは何度行ったかわからない。
科学技術館、ガス、船......。
どこも夢中になったのを覚えている。
しかし本書で扱われている十館のうち、私はまだ一館しか行ったことがない。
まだまだ知らない場所だらけ、ぜひ行きたい!
行くまで死ねない!(は大げさ)
尖石縄文考古館は縄文土器を見られる。
石棒だって!
きっとこれは五穀豊穣を祈られて作られたに違いない!
と思ったら違った!や、ら、れ、たぁ!
そんな私にぴったりなのは熱海の秘宝館!
以前熱海旅行に行った時に、ここを曲がれば秘宝館という近くまで行ったのに見られなかったのだ。
なにぶん家族旅行。
お子様と一緒に入るところではない。
でもいつか行ってやる、その日までなくならないで!
奇石博物館も魅力的!
300年前の水が入ったメノウ!
コンニャク石!
本当にそんなものがあるの?
鉱物博に行ったこともないニワカ野郎だけれども、行ってみたいぞ!
雲仙岳災害記念館も火山国に生きている以上一度は見ておきたい。
正直行って怖い。
だがそれを知ることで、なくなった方々の弔いとなるのでは、と思うのだ。
災害において大事なのは、「自助、共助、公助」。
自助、共助を実践するためには何か、それを学ぶには、悲しきことではあるが、過去からでしかないのだ。
草津、御嶽、箱根と、火山の脅威は決して過去のものではない。
先人たちの道しるべがあるのなら、私たちにも明日のために何かできるはずだ。
日本にはたくさんの博物館がある。
もし次巻が出るのならばぜひ読みたい。
楽しみは多い方がいい。 -
学芸員さんがマニアックであればあるほど、博物館は面白いのです。
博物館大好きな著者が、全国の博物館をレポートする本。
旅行本とかじゃなくて、博物館そのものと、さらにそこで働くひとたちに焦点をがっつり当てた一冊です。
紹介される博物館も「国立科学博物館」(日本の科学博物館の総本山みたいなところだ)な超メジャーどころから、「石ノ森漫画博物館」や大阪の「ボタンの博物館」みたいな超マニアックな博物館まで多種多様。
マニアックな人々を描くことに定評のある小説家・三浦しをんさんが、いろんな博物館に携わる人にインタビューしながら博物館の魅力をレポートします。
そう、この本の魅力は、博物館に関わる人にスポットを当てたことだ。
博物館を作るには、めちゃくちゃなエネルギーが必要だ。
博物館の存在意義である資料を、収集して、保管して、展示して、そして深く調査することは膨大な時間と労力がかかる。
それを実現させるには、学芸員さんはじめ博物館さんの情熱と努力にかかっている。
だから、学芸員さんがマニアックというか、偏狂というか、いっそ変態であればあるほど、魅力的な博物館ができる。
本書でも出てくる変な石ばっかり集めた「奇石博物館」みたいな、なんでそんな博物館作っちゃったの?なユニークな博物館ができるのだ。
本書を読むと、そんなマニアックな学芸員さんを見ることができる。
ぜひ、著者さんとともに、そんな変態な皆さんに恐れおののきながら〜〜
「風俗資料館」(東京)をレポートした著者の感想
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これほど専門的な図書館があっていいのか!私が犬だったら、地面に寝転がって腹を見せ、降参のポーズを取りつつ「うれション」をしているところだ。いずれは蔵書を元にBL(ボーイズラブ)図書館を作り、愛好家が集える場所を持ちたいと夢想する身としては、風俗資料館はまさに夢を具現化した先輩である。(p171)
変態じゃないか!
著者も十分に変態じゃないか!!
博物館が好きな人も、変態な人も、博物館に行く前に読んでほしい一冊です。