神に愛されていた

著者 :
  • 実業之日本社
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本棚登録 : 1863
感想 : 94
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408538402

作品紹介・あらすじ

木爾チレン、待望の最新書き下ろし長編! 才能と嫉妬、深い闇に蠢くそれぞれの類稀な人生。愛と憎しみのヒューマンミステリー!

感想・レビュー・書評

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  • ゴミ箱の中で住んでいたと語る少女が、唯一楽しいと思える時間は、本を読んでいるとき。
    文字だけが彼女の心を救ってくれた。

    そんな少女が、やがて小説家となり一躍人気作家となったが、後を追うように同じ高校から京大卒までいっしょの後輩が、瞬く間に作家となり追い抜いていった。
    それから書けなくなった彼女は…。


    小説を書くというのは、かなりのエネルギーを消費するもので、そう易々と生まれてくるものでもないことが、痛いほどにわかる。
    そのなかで、自分の小説をどれだけ愛して読んでくれているのか…その《雨》さんが実は。


    小説を読めないことが、死ぬよりも悲しい。と
    それほどの愛はどこにもないだろう。


    希望と絶望、羨望と嫉妬…と帯に書かれてあるが、もっと違うものを感じた。
    今までに感じたことのない重くて深い何かを。
    喩えられない何かを。






  • 読みやすくて一気読み!
    著者が「私はこの小説がとても好きだ」と、あとがきで書かれてたけど、私も好きだった〜\♡︎/
    せつないけど、面白かった!

    羨望、嫉妬、焦り、、才能ある若い二人の女性作家をめぐる愛憎劇。
    物語を生み出すって、ほんとに身を削るほど大変な事なんだろうな。

    物語は前半は冴理の視点で語られ、終盤は天音の視点で語られる。
    視点が変わると今まで見てきた景色が変わる。

    どちらの気持ちも分かるとこあるな〜。
    もし素直な気持ちを伝えれてたなら、とタラレバを思わずにはいられないけど、思いが強いほどこじれてしまうんだろう。
    それにしても、結婚までとかやり過ぎだけど笑
    女ってそういう狂気じみたとこあるよな〜。

    こんな風に書くとドロドロ激しい話を想像してしまうけど、全然そんな事なく、むしろ穏やかで静かなる狂気といった感じ。
    最後、せつなさが後引くけど、とても良かったです♪♪


    ✎︎____________
    装画が素敵。
    木爾チレンさん初読み
    木爾→きなと読むらしい
    あとがきが良かった〜




  • 2人の女性小説家の感情が生々しく描かれており、そのストーリー展開に魅せられ、一気読みでした。

    本作は2人の女性の小説家、「冴理」と「天音」の物語。2人は歳は少し離れているが、同じ高校、同じ大学、そして同じ新人文学賞を受賞するという経歴を持つ。そんな2人の間には、お互いの知らない感情が渦巻いていて…という物語。

    本作を読んで思ったのが、非常にドロドロしたお話しだなぁという印象を受けました。もともと、木爾チレンさんといえば、「みんな蛍を殺したかった」や「私はだんだん氷になった」のような女性視点の作品が多い印象でしたが、今回は特に女性特有の羨望と嫉妬の感情が出てて、より印象に残りました。

    正直、男性かつ若輩者の私からすると、人を殺したくなるくらいの才能への嫉妬や、自分の人生を捧げるまでの他者への羨望という感情は経験がありませんでしたが、なぜか妙にリアルに感じました。

  • この物語は2050年から始まります。
    平成の回想を中心とした内容や少女小説を感じさせる文体に懐かしさを感じるのに、スピーディーな展開とセンチメンタルになりすぎない潔さが、むしろ新しいイメージの作品に仕上げていました。
    近未来からのスタートの謎も最後に納得。
    多少強引なストーリー展開ではあるものの、甘いのに、どこか苦味も感じさせる本作品はとても好みでした。

  • 木爾チレン|note
    https://note.com/kinachiren/

    木爾チレン lit.link(リットリンク)
    https://lit.link/chirenkina

    日下 明 | Akira Kusaka
    https://akirakusaka.com/

    神に愛されていた|実業之日本社
    https://www.j-n.co.jp/books/?goods_code=978-4-408-53840-2

  • これはなかなか借りられなかったので、やっと。

    嫉妬、妬み、羨望。
    私は歳をとったのか、今はこういう感情って全く無いのだけれど。
    若い頃はこういう思いでいっぱいだったと思う。
    ただ、純粋な思いは切ない。

    内容はシンプルだけど、私はけっこう好き。

    あとがきが、なんだかうるっとした。

  • 初めて読む作家さん。題名に惹かれたので手に取った。まず、装画がとても素敵!パラパラめくると字が少ない!

    題名から重厚な文章を期待したけれど、文は割とポップだった。ライトノベルのよう。なので、若い作家さんなのかな?とも思ったけど、登場人物の名前やキャラ設定が、割と平成初め頃な感じの雰囲気だったので、ちょっとパンチの効いた中堅の作家さんという印象を受けた。

    筋は面白く、どんどん先を読みたくなった。作家さんが本を書く大変さが少し垣間見れたので、小説を書いたこともない一読者が、あーだこーだ感想言うのはなんか申し訳ない気がした。ミステリーとは言えない気がした。

    ドラマ化すると良さそう。天音役は、恒松祐里さんが直ぐに浮かんだ。冴理役は今ひとつぴったりくる方が思いつかなかったけど、鶴田真由さんとか?若い時代は別の俳優さんを起用してもらって。
    嬰役を柄本佑さんのような色気あり、雰囲気あり、そして演技上手な俳優さんに演じてもらったらしまっていいなぁ、なんて一人で楽しく考えてました。

    読者の感想なんて、お気楽で申し訳ないなぁと思いつつ…

  •  なんて切なく優しさに溢れた物語なんだろう。2人の天才作家、冴理と天音の物語がそれぞれの章で綴られていくわけだが、冴理の章を読み終え、天音の章を読むと、今まで自分が描いていた事実が一変し、なんで、どうしてと、もどかしく思わずにはいられなかった。

     天才作家、冴理は人気絶頂期の中、突然筆を絶ってしまった。30年後、冴理の元にもう一度小説を書いてほしいと編集者が訪れる。編集者に語る冴理の物語は、もう1人の天才、天音の存在に苦しめられ、天音を殺したいとまで思わせるものだった。

     そして、編集者の花音から語られる天音の物語は、冴理が想像もしていなかったものだった。

     誰しも苦手な人はいると思うが、もしかしたらその人は自分のことを誰よりも愛してくれる存在なのかもしれない。

     天音にもう少し勇気があったなら、冴理がもっと天音のことを分かろうとしていたならと思わずにいられない。

     この物語の中で『冷静と情熱のあいだ』を取り上げ、冴理と天音が共作を描くわけだが、この物語自体がそのような作風になっているなど、心理描写だけでなく、その技巧にも唸らされた。

  • 初めて読む作家さん。
    表紙の雰囲気に惹かれて借りてみた。
    本を開いたら、文字間隔広め、会話多めの
    すっきりしたデザインで、一日で読了。

    ミステリーのカテゴリーに入れるには
    その謎が分かりやすすぎたので、
    これは二人の女性のすれ違いの物語かな。
    うまくいっていればお互いを高め合い、認め合える
    最高の関係を築けたかもしれないのに。。

  • 小説に限らず、何かを創造して世に送り出す仕事をしている人は、こんな風に身を削りながら作品を創り上げているんだろうな。
    『最終楽章』を読んだ時の衝撃が凄かった。
    ぜひまた読み返したい。

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著者プロフィール

チレン(きな・ちれん)
京都府出身。大学在学中に応募した短編小説「溶けたらしぼんだ。」で、新潮社「第9回女による女のためのR-18文学賞」優秀賞を受賞。美しい少女の失恋と成長を描いた『静電気と、未夜子の無意識。』(幻冬舎)でデビュー。その後、少女の心の機微を大切に、多岐にわたるジャンルで執筆し、作品表現の幅を広げる。近著に、引きこもりの少女の部屋と京都が舞台の恋愛ミステリ『これは花子による花子の為の花物語』(宝島社)がある。黒歴史と少女の淀みを描いたミステリ小説『みんな蛍を殺したかった』に続くのが、本作『私はだんだん氷になった』である。

「2022年 『私はだんだん氷になった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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