乙女の港 (実業之日本社文庫 - 少女の友コレクション)

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  • 実業之日本社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408550534

感想・レビュー・書評

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  • とても素敵な少女達の物語。女子校出身のせいかエスの関係はすんなり理解出来る。
    言葉遣い、気遣い、作法など学ぶ事が多い。
    少女達が清らかで美しく、時代背景を考えるとその後戦争に突入していくのかな、とふと考えてちょっとだけ切なくなった。

  • 昭和初期の横浜のミッションスクールを舞台に、女の子たちがお互いを「お姉さま」とか「私のすみれ」とか呼び合ったりしています。

    避暑に訪れた軽井沢で別のお姉さまと親しくなってしまったことを教会で懺悔しようとしたり、お姉さまのおうちの事業が立ち行かなくなったり、それでも健気にがんばるお姉さまを一層お美しいと思ったりしています。

    びっくりした…
    ただの少女向けライトノベルだろうが!
    でも好き。何が好きって、その文章の美しさ。さすが文豪。もし現代にこんなに言葉遣いのきれいな女の子がいたら…
    いないか。

  • お嬢からの借り物


    女子校独特のノリ(私は女子校じゃないけど)が、過剰過ぎると怖くなることがわかった。
    ドロドロ昼ドラ展開かと思ったら最後は後味良く終わったのでよかった。

  • 1937年に少女の友に連載された少女小説。実際は川端康成の作品とゆーより、中里恒子との合作だったみたい。とにかく、この頃の少女たちの愛らしいこと。主人公三千子を巡る二人の上級生の淡い人間関係を描いた少女小説の傑作。中原淳一の挿絵も素敵。

  • なんかマリみてみたい。エス小説。まあ当たり前か。

    戦前の作品なのに、読みやすい。

    私なら、2人のうちなら洋子がいいな。ああいうお姉さまが好みなのです。
    ああ、だけど克子に引っ張られて一緒に遊んじゃうかも。
    結局、三千子と同じだわ

  • 百合小説と言ってしまうと俗っぽいけれど、上品な味わいで良かった。
    良家の子女、男子校・女子校、同性同士の愛・友情、信仰…
    というキーワードから、なんとなくトーマの心臓を連想した。

    私は洋子派です。←

    ちなみにこれを川端康成の作品として出すことには疑問を感じる

  • 舞台は昭和初期。横浜のミッションスクールに通う主人公三千子と、
    上級生の洋子、克子の「三角関係」を主題とした川端康成の著書。
    当時の女学生は「エス」という甘美なまでの擬似恋愛関係に、これほど
    酔狂していたのか、というのが素直な感想。

    自由恋愛が主流の今日では、考えられないような世界観。

    好きな場面は、軽井沢で三千子と克子が水泳大会に行く場面。
    日本人の少女が西洋人に勝つ場面で、克子は三千子に、
    「でも、三千子さんが喜ぶの見てると、西洋人は日本人より偉くって、
    そのえらい者に、日本人が勝ったから、嬉しがってるのよ。そんなの
    わたしは嫌だわ。」という場面(169頁)

    おそらく、全国の読者乙女が「はっ」となったことと思う。
    今の時代だって、日本人の西洋への憧れはやむことがないのだから。

    さらに、次のページでは、
    「私たちはね、だから、世界の灯にならなければいけないと思うの。
    日本の少女は、もっともっと、誇りを持っていいのよ。」(170頁)

    雑誌「少女の友」を読む全ての乙女たちへの、川端康成最大の
    メッセージであるように思う。

    洋子は、日本の乙女。品があって、慎ましくて、どこか儚げな輪郭。
    でも、これからの時代を予感させる克子の明朗で、自信に満ち溢れ、
    太陽の光を燦燦に浴びたくっきりとした姿は、当時の乙女たちに、
    どんなふうに受け入れられたのだろう。

    でも、わたしは洋子のほうが好き。

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著者プロフィール

一八九九(明治三十二)年、大阪生まれ。幼くして父母を失い、十五歳で祖父も失って孤児となり、叔父に引き取られる。東京帝国大学国文学科卒業。東大在学中に同人誌「新思潮」の第六次を発刊し、菊池寛らの好評を得て文壇に登場する。一九二六(大正十五・昭和元)年に発表した『伊豆の踊子』以来、昭和文壇の第一人者として『雪国』『千羽鶴』『山の音』『眠れる美女』などを発表。六八(昭和四十三)年、日本人初のノーベル文学賞を受賞。七二(昭和四十七)年四月、自殺。

「2022年 『川端康成異相短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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