夏の塩 (クリスタル文庫 27 魚住くんシリーズ 1)

著者 :
  • 光風社出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784415087917

感想・レビュー・書評

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  • テンポのよい話運びに、どんどん物語に引き込まれていく。
    わかりやすい明瞭な表現が、安っぽさと親しみやすさのちょうど狭間のラインを辿り、夢の世界の登場人物たちを隣の家の住人のように感じさせる。

    BLの魅力のひとつに、男女間の恋愛では描きにくい心の交流を形にできるということがあるけれど、この話もそういうはかない香りを漂わせている。

    同時に、人を好きになるときの気持ちを思い出させてくれる。
    だれかを好きになるにあたってさしたる理由はないのだが、そこには確たる必然性が横たわっていて、どうしても引き寄せられてしまうのである。
    そういう恋は苦しいが、血の通った感情であり、目を背けなければ生きる力を与えてくれる。

  • シリーズで全5冊あるらしい。
    じりじりじわじわとくっついていくのか?・・・あの二人は。

  • 「救えないわよ。魚住に限らないけど、他人を救うことなんか出来るわけないじゃない。多少の手助けは出来るかもしんないけどさ」
    「そんなものかな」
    「人間が人間を救えたら神様いらないでしょう」


    内容紹介です。

    学生時代からの友人・魚住に勝手に居候を始められた会社員・久留米。心因性の味覚障害に陥ったり拒食症で倒れたりするなど問題多発で、顔はイイが不運三昧の男・魚住の世話を不満タラタラで仕方なく焼くうち、無自覚で芽生え始めた感情があった・・・。鈍すぎる男達・魚住と久留米の人気シリーズ、第1弾!!


    これが、榎田さんのデビュー作、かぁ。
    初めからこの人こんな風に書く人だったなぁってしみじみ思いました。
    まあ誤字脱字がものすごく多いですけど。

    このお話はBLにあるまじきことに、そーゆー関係になってないんです。
    このお話のラストでようやく魚住が久留米への恋愛感情に気付く。
    久留米に至っては頑なに拒みますからね。
    まあ、普通はそうだろうよ。
    今までヘテロだったのに突然…!なんて誰がすぐに受け入れられるもんですか。
    ましてや相手はあの魚住…。
    とか勝手に久留米の心情を慮ってみましたが(笑)

    『魚住くん』シリーズは、魚住の成長物語です。
    久留米やその他の人たちと触れ合うことで、彼が少しずつ痛みを伴いがら、『心』を取り戻すお話です。
    その過程は正直云って、痛すぎることが多々あります。
    けれど、それを乗り越えた先には、きっと今まで彼の世界にはなかった極彩色の世界があるんだと思います。

    上記の台詞は魚住・久留米の友人、マリちゃんの物ですが、これは私とは真っ向から対立している考え方です。
    私は人を救えるのは、結局人しかいないと思っています。神なぞ信じてはいないから。
    きっと、神様の存在を当たり前のように口にする彼女は、もしかしたら過去に祈ったことがあったのかもしれないなぁとか、いろいろ思っちゃうんですけどね。
    『神』という信じられる人間はきっと、何よりも強いんだと思います。

  • 魚住くんシリーズ開始から、互いが微妙に無自覚に意識し始めるまで。
    登場人物は響子ちゃん・濱田さんくらいまで。
    キャラクターがきらきらして生き生きしている、それだけでなく生きているからこそ存在する痛みや血までも鮮やかに表現しきる。このひとはすごいなあ。
    マリちゃんのスッパリしているところが大好きです。他の登場人物もみんな好きだが!

    夏の塩、この豊かな日本で、ラフィンフィッシュ、制御されない電流、鈍い男 収録

  • 全5巻
    唯一好きなBL小説です。
    もう読めるBL小説読めなくなったな。
    もうBL小説とは思えない話でした。
    魚住くんと久留米のゆーっくりと進んだ恋愛が歯がゆいというか、それでも、可愛かった。
    出てくる登場人物が全員愛しかった。
    あと、魚住くんが最終的にちゃんと一人で立てるようになってよかったです。

  • この本がBL初読でよかった。

  • むずむずする、2人の関係が絶妙。
    早く読めばよかった!

  • 告白していちゃいちゃしてというBLではない。人と、生きることについて胸が苦しくなるほど考えさせられるBLです。

  • ※非腐女子が読んだため、意見・感想に偏り等があるかもしれません!※

    私は今まで読んできた(あまり多くないけど)BLの中で、魚住くんシリーズはずっとてっぺんに君臨するんじゃないかな、と今のところ思っています。これは本当によかった!こういうのが好きなんですよw初めからガチだとちょっとね!

  • 当時、小説ジュネの投稿作で掲載されてて、絶賛されていたのを覚えています。
    BLなんですが、勿論ドキッとするシーンもあるんですけど、それよりも、しっかりした話のつくりに感動しました。
    マリちゃんの生き方が哀しくも格好よくって、憧れましたねえ…。さちのちゃんの話は痛くて辛くて今でも読むのに勇気がいります。ヒジュラというひとたちがいることを、この小説で知りました。本当に、色々なことを教えてくれた本です。

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著者プロフィール

東京都出身。2000年、「魚住くん」シリーズ第1作となる『夏の塩』でデビュー。以降、多彩なテイストの魅力的なボーイズラブ作品を世に送り出している。代表作としては「交渉人」「漫画家」「Nez〔ネ〕」各シリーズなど多数。榎田ユウリ名義でも「宮廷神官物語」「カブキブ!」「妖き庵夜話」「死神」各シリーズなどを発表し、読者から熱い支持を得ている。

「2022年 『threesome』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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