- Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
- / ISBN・EAN: 9784418995097
作品紹介・あらすじ
世界に名だたる京都の老舗旅館「俵屋」を舞台に、一徹に貫かれる女主人と職人たちの志(こころざし)。京都だからこそ生きる、こだわりの技と感性とはなにか。「俵屋」の仕事人をとおして描く、その不思議の先に、京都の、そして日本の心が見える。
感想・レビュー・書評
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京都にある老舗人気旅館「俵屋」の魅力について、作家の村松氏が一年かけてそのこだわりや俵屋を支える職人衆を取材し、綴った一冊だ。
もともとは婦人誌『家庭画報』に連載されていた特集らしい。
槇で作られた風呂を洗う「洗い」の職人がいること、畳、簾、障子、それぞれがこだわりの品と技術で作られていること、俵屋を彩る生花や仕入れの食材も厳選されたものであること、などが書かれていて、これだけの旅館であればそうだろうなあ、と思いつつも、それにしてもやっぱりすごいなあ、としみじみ思う。
現在も人気の俵屋の石鹸はそんなに昔からあり、しかも花王が作っていたのか!ということも初めて知り、興味深い。
京都の老舗旅館というと、昔からのしきたりが多く古い文化を大切に継承しているのかと思いきや、やはり商売でもあるので、たとえば正月飾りなどはいいと思ったものはまったく京都に関係ないものでも取り入れたり、新しい取り組みをどんどんしている、というのもなるほどと面白い。生き残っていく企業というものはそういう変化に対する受容度が高い組織だよな、と納得もする。
佐藤年さんという主人の慧眼を多くの人が褒めそやしている本でもあるのだけれど、やはりそれだけの人なんだろうな。彼女の亡夫がアーネスト・サトウであるとこれも初めて知り、凄いな俵屋、と改めて思った。
バリ島のくだりは余計だったように感じるのだけれど、この時は『家庭画報』でバリ島特集でも組んだ時だったのだろうか・・・、などと勝手に想像するのも面白い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
装丁も写真も綺麗。願わくばもう少しこまめにトピックごとに合わせて写真も入れてくれたら嬉しかった。
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泊まってみたい宿。
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職人技を現代に伝承するという志と、日本の伝統を現代に表現する(談志が言ってたことも結局これか)という志。俵屋の主人と、それを取り巻く人達、高い志を持つ者同士による素敵な結晶の数々。いつか俵屋でそれを実感したいなぁと切に思いました。あと、伝統文化を大事にするこういう人達がどんどん増えていって欲しいなぁ…
松村友視の文章が、回りくどいわりに、突っ込みが今ひとつで、話に入り込みにくく、物足りなく感じたのはさて置き。 -
素敵な不思議がたくさんでした。
予想外でしたね。
みなさん、素敵過ぎです。
ヒルサイドライブラリで見つけた本。この本を選んでいただいた選者に感謝です。 -
この本の感想は、最後に作者の奥さんのコメントにつきます。
フィクションのごとき空気間。
この旅館があり、歴史があり、職人がいる。
出版されたのが約十年前で、今現在どういう風な感じなのか、
とても気になります。
職人、絶滅危惧種のごとき扱いの人々。
淘汰されてしまうのは時代のせいなのか。
こちらの願望を背負わすだけなのは、失礼な話なんだけど、
でも、多分、変わらずに居てくれてるのではないのかと、
思ってしまう。 -
この本は、絶対俵屋に泊まってから読んだ方がいいと思う。
泊まる前に読んでもおもしろいけど、
実感が全然違うはず。
あのとき体験した数々のこと、素敵な記憶や体験の裏に潜む
様々なエピソードや情報を教えてくれる本。
高野槇 のお風呂を洗う職人さんの話がおもしろい。 -
H.20.11.11.TURUBF.265
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京都の名旅館。それを支える職人。写真も多く読み応えあり。
この中で綴られているオリジナル石鹸を、やっと手にする事ができました。とても優しい柔らかい香りです。