記号の歴史 (知の再発見双書 39)

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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422210896

感想・レビュー・書評

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  • NDC(8版) 801

  •  フランスの言語学者による、古今東西の様々な「記号」について、豊富な資料とともに紹介した本。「資料編」では、ソシュールやロラン・バルトなどによる、言語や記号、コミュニケーション、象徴、哲学についての様々な論文の抜粋が読める。
     パラパラめくる分には面白いし、だから買ったのだけど、やっぱり読みにくい。なんか大学入試の英語の訳文をずっと読み続ける感じで、特に「資料編」を読み通すのに骨が折れた。日本人に同じ内容で書いて欲しい、と思ってしまう。
     気になったところのメモ。文字論?の中では書字方向の話が出てくるが、アラスカに住むインディアンの書記体系の話で、「右から左、左から右、あるいは行ごとに方向を変えるブストロフェドン(犂耕体と呼ばれ、エジプトやギリシアで見られる古代の書式)という三つの読み方がある」(p.30)という部分。「犁耕体」(りこうたい)なんて言葉を初めて聞いた。視覚的メッセージの役割について、つまり「スキタイ王は小鳥、二十日鼠、蛙、そして5本の矢を添えた贈り物を使者にもたせ、ペルシア王ダリウスに届けさせた」(p.32)という事例について、「ペルシア人は合理的な解釈をする余裕も与えられず、追われているような感覚に襲われる」(同)ので、脅しとしては言葉で言うよりもとても効果的、「非言語的記号の方が言語記号より雄弁である」(同)というのは、面白い。おれも自分がどういう形かは分からないけど、こういうメッセージに影響される時はあるかもしれない、と思う。「地図」を「記号の宝庫」という風に見たことがなかったので、色々な地図が4章で見れるのは楽しい。「地図は発見された大航路を記録する手段となった。船乗りや、彼らのために地図をつくる地図製作者たちは暗号を使用した。地図は人目を避けて保管された。」(pp.72-3)ということで、地図も天気予報と同じように軍事機密みたいな扱われるということが納得できる。p.87に「地図のアナモルフォーゼ(変形表示)」の例があって、「国の面積を国民総生産に比例させてある。それぞれの国の形は変形しているが、大陸の輪郭は、多少の不自然さはあるものの、もとの形を生かしている」というものが載っている。日本がとてつもなく大きく、中国が小さい、という「地図」が面白い。「浮標(ブイ)」も航路上の何かを示す記号で、ただ「1976年までは、世界中に30種類以上もの浮標の体系があり、濃霧の際や夜間など、混乱が起きる危険が無数にあった。航海者が突然、意味不明の浮標に出くわすこともありえたのである。」(p.100)という、なんかちょっと笑ってしまう。確かに何を意味するのか分からない記号に突然出くわしたら、困る。あとは宗教的な「象徴」とか「神秘学」とかになると、もうダヴィンチ・コードのラングドン教授状態で、深入りするととても難しそうだけど、とりあえず結婚の場面における「手が象徴するもの」(pp.112-3)の話は興味深かった。あとはその次のページの「結婚指輪」について。「婚約者たちは指輪を交換するとこによって、微妙な相互的弁証法-すなわち夫婦のそれぞれが、ある意味で相手の主人であり奴隷ともなるーを確立する」(p.115)ということらしい。他にも「世界の誕生を普遍的の象徴する卵は、エジプト、ギリシア、チベット、日本、ドゴン族(中略)など、実に様々な文明に見られる。」(p.118)だそうだ。日本で卵が世界の誕生の象徴として描かれているものって何?と思った。
     ということで、一つ一つのネタとしては面白いと思うものも多いものの、通読するのがやや苦痛になってくる、という本だった。
     ところで、最近あまりに多忙、というか疲れすぎて本を読むエネルギーがなかなか出てこない。この本も1か月くらい前に読んだ本。年内に1000冊目を迎える予定だったが、どうなるんだろう?でも記念すべき1000冊目は楽しく読みたいし、もう少し生活にゆとりが持てるようにしたい…。(19/10)

  • テーマ史

  • 象徴人類学の分野に足を踏み込もうとしているのだけど、入門書というよりは図鑑のような本で期待していたものとは少し違った。それでも、記号が果たす役割とその認識について書いてある点で、多分最初の一歩には良かった概論書。

  • 記号の歴史が大系的に割と深くサラっと読める。
    ただ、本文中の引用元がどこからとってきてるのか名前だけじゃ私にはわからなかった。
    たぶん、記号を研究してる人には当然押さえておくべきものからの引用なのだろうけど。それが不満。

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