- Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
- / ISBN・EAN: 9784469212105
作品紹介・あらすじ
言語学からの新しい提言です。アリストテレス以来、未だ定説を見ていない"メタファー"の分析、ベルクソン、フロイトたちが追究してきた"笑い"の本質-これらの永遠のテーマに、今世紀最強の武器をひっさげて、挑む。
感想・レビュー・書評
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ジョークとレトリックのつながりをもっと論じてほしかった。ジョークの方は面白いが、そのぶんレトリックがいまいち。
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笑い
アリストテレス 優位論
相手を笑うことによって当方が優位に立つという意識を持つ
ベルクソン
躍動する人間においては、緊張と弾力の欠けた機械を思わせるものを間違ったものとして矯正すべきであり、その間違いをとがめ、除去しようとするのが「笑い」である
カント 緊張解放説
笑いとは蓄積された緊張を解放する手段である
ジョークは鋭い知性によって、ある事件から対立を組立て、上から下に転移させる能力が必要である
直喩と隠喩それに提喩を合わせた比喩では、異なる事物の間に類似性を嗅ぎ出す鮮明な感覚が活動している -
<閲覧スタッフより>
コトバを科学する。
私たちは日常会話の中で、どのような状況で言葉を用い、それがどういう意味を生み出すのか?というように、
言語を科学的に研究する学問を「言語学」と言います。
そんな「言語学」の基礎知識について学べる資料をご紹介します。
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所在記号:801||KOT
資料番号:20051386
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「ジョークは鋭い知性によって、ある事件から対立を組み立て、上から下に転移させる能力が必要である。
直喩・隠喩、それに提喩を合わせた比喩では、異なる事物の間に類似性をかぎ出す鮮明な感覚が活動している。」
前半は様々な例を示し笑いを誘いながらジョークについて考察し、後半はレトリック、主に比喩について構造を詳しく分析している。
論理学とかそういった表記を少し学んでいればもう少し読みやすかったかも。 -
笑いの優位説
「滑稽は醜態であり、おかしさは醜さによるが、苦痛を与えない醜さである」アリストテレス
「人は他人の中に弱点を見つけたときに笑う」「笑いは他人を軽蔑し、見下すことから生じる快感」プラトン
「他人の欠点、または以前の自分自身の欠点との比較によって、自分の優越感を突如として認識することから生じる突然の栄光以外の何ものでもない」ホッブス、マルセル・パニョル
緊張緩和説
「笑いはある張り詰めた期待が突如として無へと変わることによって生じるひとつの情動である」カント
「笑いとは、蓄積された緊張を解放する手段である」スペンサー
不一致説
「概念と、何らかの関係においてこの概念によって思考された実存の客観とのあいだのとつぜん認められる不一致、笑いはそれ自身、まさにこの不一致の表現にほかならない=ある概念とこれに関連して考えられた事物とが一致していないということが突然分かったとき笑い出す」ショーペンハウエル
「緊張と弾力の欠けた機械を思わせるものを間違ったものとして矯正すべきであり、その間違いをとがめ、除去しようとするのが笑いである」ベルクソン ex.チャップリンモダンタイムズ
・繰り返し 所作の機械的な繰り返し
・ひっくり返し ペテン師がペテンに引っかかる
・取り違えから生じる系列の交差
・移行 荘重なものから卑近なものへの上→下への移行、不真面目な考えを真面目な言い方で表す、下→上への移行
「周囲の状況からからすれば、当然起こるはずの興奮を起こさずにすます=感情の消費を節約することで、ユーモアによる快感を覚える→周囲の期待に対する反発、緊張の解放」フロイト
・ 圧縮 一つの言葉が二様の意味を持つ(同音異義語、造語、二重の意味)
・ 転移 思考法の転移、アクセント(手段と目的)の転移、思考の欠落=詐欺、詭弁
・ 統一 対立による説明
常識と無知を対比させることによって笑いを誘発させる
アブナー・ジッブ
三段落ち
①背景説明→②導入部(ベクトルを作る)→③落ち
グレマスの「構造的意味論」
2つの異なる読みの対立 「よくない」→体調がよくないという意味と性的によくないという読みができる
ラスキンの「ユーモアの意味的メカニズム」
ネットワーク意味論…いずれの語も関連した他の語と意味的に鎖の輪で結ばれている。各語は意味のネットワークすなわち網状組織の中にあって、隣接する項目と関係づけられた形で意味が構成されていると見なされる。
意味内容=スクリプト(意味総体、百科事典的知識) 医者の百科事典的知識、恋人の百科事典的知識
ジョークについての仮説
1)テキストは2つの異なるスクリプトが全般的もしくは部分的に適合していること
2)テキストに適合するような2つのスクリプトが対立していること(対立は、善と悪、生と死、卑猥と非卑猥、金銭と非金銭、高と低、精神的と肉体的..)
語用論
発話行為 「これ私に似合うかしら」と言うこと自体
発話内行為 「これ私に似合うかしら」と聞き手に問いかけること
発話媒介行為 もしよければ勝ってもらいたいという「意向」
発話には、発話内行為(聞き手にある働きかけを行うこと)と意向が機能している。
意向の不一致と転移→「落ち」
共通の条件=形
医者の不在(形)=患者の意向:受診したい(正常、非性的)
→ 医者の奥さんの意向:不倫したい(異常、性的)
/上位項(正常)
形 ↓
\下位項(異常)
対立をなす上位項(正常)から下位項(異常)へ転移することが「落ち」の核心
異なった意味または価値領域に属する2つのもののコントラストにより起こる価値低下の現象(梅原猛「笑いの構造」)
ジョークとは、同じ形において対立する項目を上位から下位へ転移させる技法
取り違えは、前提と現実、もしくは、前提と前提の間で発生する
ダジャレ 語の意味:上位項の読み → 下位項の読み
前提と相違
推意
図から地への転移(ルビン型) ex.電球をはめるポーランド人
局所論理
異常性の量的小 → 量的大
協調の原則に基づく4つの公理(質の公理、量の公理、関係の公理、様態の公理)違反がジョークとなる
ジョークとは、鋭い知性によってある事件から対立を組み立て、上から下に転移させる能力
比喩とは、異なる事物の間に類似性を嗅ぎ出す鮮明な感覚
ジョークとは、共通する条件、すなわち形において、上位の項目と下位の項目が対立し、上位から下位へと転移させる話し方の技法
/上位項
形
\下位項
対立としては、生・死、善・悪、正常・異常、性的・非性的、金銭的・非金銭的、現実的・非現実的、上品・下品、可能・不可能..(下位項目では、大・小、大・中・小のような段階的対立を組むことがある)
比喩
直喩
暗喩
提喩 戦隊と部分という関係
換喩 主体と属性という関係
提喩ー量的関係\
全体と部分\
換喩ー質的関係/
比喩
隠喩ー根拠暗示\
類似 /
直喩ー根拠明示/
主旨(形)\
根拠(共通項)
媒体(形)/
ジョーク
/上位項
形
\下位項
「比喩とジョークは逆の配置構成をしている」
ジョークは鋭い知性によって、ある事件から対立を組み立て、上から下に転移させる能力が必要である。直喩と隠喩それに提喩を合わせた比喩では、異なる事物の間に類似性を嗅ぎ出す鮮明な感覚が活動している
グライス 会話における「協調の原則」
①質の公理 根拠のある事実の事柄を述べること
②量の公理 過不足なく情報を与えること
③関係の公理 関係ある事柄を伝えること
④様態の公理 明確に順序立てて話すこと
→公理の逆用によるジョーク
皮肉の定義
①意味されていること以外のあることを言うこと
②意味されていることの反対のことを言うこと