- Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
- / ISBN・EAN: 9784473038661
作品紹介・あらすじ
〈ありそうでなかった、茶道の「効果的な学び方」を学ぶ本〉<br>〈茶の湯を一般教養としておさえたいすべての人に。ここらで一度、おさらいしたいすべての茶人に〉<br>「侘び」の概念を外国人にわかりやすく教えるには? 樂歴代の特徴を効率的に覚えるには? 読んでおくべき茶書は? など、茶道を習う人はもちろん、興味はあるという程度の人も視野に入れ、わかりやすい語り口でその効果的な学び方を伝える書。「真の教養人になるために必要なのは、茶の湯の知である」、というスタンスから、禅語、道具、建築などジャンル別に、学ぶ際のポイントがどこにあるのかを解説します。
感想・レビュー・書評
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再読。侘びの概念、道具の成り立ちや見どころ、各流派の特徴など、茶道の全体像をとらえるのに役立つ。言葉としてのみ知っていた事柄に、どのような人が関わり、どのような背景があったかを整理しながら知ることができる。
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茶道を9年習っているが、茶道って何だろうと感じる疑問を現代を優しく解いてくれる。ひとつ上の理解が深まりこれから進む方向を指南してくれる1冊だった。さらっと読めるが、自分の知識となるまで何度も読んで頭に入れたいなと思った。
歴史を絡めた道具の基礎的な解説
何かを一心に学ぶことで深まる教養
ファッションで言うフォーマルとカジュアルをMIXする感覚と、真・行・草の基本は捉えた上で道具合わせや建物の中で、侘びを取り入れる感覚が似ている。
以下なるほど!と思った雑学。
・茶入…秀吉の時代に褒賞として与える領土が足りなくなって、茶入が与えられるようになった。土地と違って妻子が落ち延びる際に持ち出せる、有名な茶入であれば持っている事で身分証明になる。
・楽茶碗…軽くて手どりが良い理由は、代々土づくりを行うことで2代前の土を使う事ができる。長い間発酵させた土には微生物が多く、焼いた時に気泡となり空気を含むためふっくらした形なのに軽い。持ったときに熱くない。 -
登録番号:0141898、請求記号:791/O42
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20221212038
茶と禅のリレーション、侘びのコンセプト -
茶人としてだけでなく、心理学者である著者だからこそ、茶道を手放しに賞賛するのではなく、客観的かつ体系的な視点で学べ、また「侘び」の精神性を論理的に追求している良書。
教養として茶道に興味があるが、習うほどまでではないという人がメインターゲットとのことだが、案外ニーズは多いのではないだろうか。
茶道の流派の歴史、道具の背景、「侘び」とは何か?など、学べば学ぶほど、茶道の手前や道具には一貫してそれをする理由、背景が存在しており、だからこそ「用の美」としての美しさがあると考えられる。また、「侘び」とは何か、という問いに対し、「imperfect beauty」「asymmetry of beauty」という記載がある。例えば、茶入の蓋の「す」や釉の垂れ、茶碗の底にある「目跡」は、通常であれば疵物として扱われるものであるが、それを逆に衒いのない作陶態度の表れとして、「侘び」であると結びつけ、ポジティブに捉え、見どころとしている。また、日常用として量産された安物の器の中から自ら価値のあるものを見出すことに、茶人の主体性が表現できることもまた茶人としての醍醐味の一つといえよう。
また、著者は利休が確立した草庵茶湯を楽しむ精神を、屋根裏部屋を楽しむ感覚と似ていると述べる。
草庵茶室は、長押がなく、壁は土を塗ったままという華やかさからはかけ離れた見た目ではあるが、「ないこと、不足していることを楽しむ」というゆとりのある洒落た感覚であり、これを不自由の現れと感じず、むしろ精神的自由の現れと感じる心性が、侘びの心性であるとしている。
なお著者は、シンプルに説明するときに、それをどう英語で説明するかを考えるとのことだが、これも教授である著者ならではと思うとともに、日本人であっても日本語よりもときに腹落ちする表現となると思う。
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茶道を教養という観点で捉えて、その歴史や、侘び寂びとは何か、禅と茶の関係とは何か、あるいは道具の鑑賞ポイントは何か、などを広範囲にわかりやすく説明した一冊だ。
こういう内容の本ってありそうでなかなかないな、と思う。まさに著者が最初に述べているように「茶道をやろうとは思わないけれど茶道周辺の知識を得たい」と思っている自分にはちょうどよい内容だった。
学生の頃は「茶道は品のいい習い事」という印象しかなかったが、知れば知るほど、茶の湯は、美術や建築、庭園、日本人の美意識と大きなくくりになるような漠然としたものにもなんらかの影響を与えているとわかる。
それについて知りたい、と思っても、それぞれの分野や、茶の湯の歴史だけにフォーカスした書籍はあっても、全体の考え方や通例などについて書かれている書籍は少なく、貴重だと感じる。 -
習い始めたばかりなので入門に良かった
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人間の「重さ」とは、教養の「重さ」です。人間は自分と教養の質の似ている人を深く信用するようになるのです。P10
尊敬する人から人格的な影響を受けることを「薫陶(くんとう)を受ける」と言いますね。ある人に教養の香りがあると分かるためには、その分かるべき人は、それに先だって、教養の香りというもんを知った人でなければならないのです。P14 -
茶道も奥が深い。茶道を習おうとまでは思っていないが、茶道の基礎的な内容に興味深く楽しく読めた。
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茶道知識のダイジェスト版です、という言葉どおり、この本をもとに茶道知識を深めていきたくなる内容。