ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質

  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478001257

感想・レビュー・書評

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  • 洋書に多い実験や検証の結果を長く書くものと違い、理論を事例やメタファーを混ぜて説明する(が、長い)、珍しい展開の書籍。

    ブラックスワン(思ってもない予想外の出来事)ってのが存在するんだから、予測をするんじゃないと。
    それよりも疑って実証していけと。

    予想なんてできないし、複雑な物事をフレームワークに当てはめて単純化して理解する(プラトン的、と本書で言われている)のも間違っている。
    自分は知らない、ということを知るべきだと。

    うん。だとして、複雑な事象とか世の中をどう理解すればええんだ?というのが率直な感想。
    冒頭から触れられている「懐疑的実証主義」ってのを実践せよって話の結論かなと「予測」してみる。

  • 金大生のための読書案内で展示していた図書です。
    ▼先生の推薦文はこちら
    https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=31081

    ▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
    http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BA90388141

  • 上は心理について、



    男性身長をランダムに100人調べると
    平均身長170センチ
    に230センチが加わると
    平均身長170.5センチ
    ➡️大きな衝撃ではない


    【月並みの国】
    拡張不可能
    典型的なメンバーは凡庸
    先祖の環境で見つかりやすい
    勝ち馬は全体の一部を

    どんぐりの背比べ

    【果ての国】
    巨人or小人
    現代の環境で見つかりやすい
    勝者総取りの世界

    経済格差が大きい 現代

    七面鳥は1000日までいままで美味しい食べ物をくれていたけど突然殺される。
    Aがある証拠がない、というだけでないと決めつけてしまう。

    法則がない、ストーリーっぽいのは想像してしまう宝くじ。
    テロ保険。普通より高い金額で払う保険。
    ストーリーが出来上がる事でありそうになる。

    大成功した投資家
    〜したから成功できた。
    失敗した人の声は表に出る事はない。
    結局は運。  生存者バイアス
    因果関係を作りたがる。理由、説明をつけたがる。

    強いランダム性や説明不可能な突然の事【ブラックスワン】に思考を巡らせることができなくなってしまう。

  • タレブの経験と知識が詰め込まれた最高の本。
    ブラックスワンという概念を始めて知る事ができた。金融トレーダーとして不確実性と常に戦っていた彼が綴る物語は面白いだけでなく、啓蒙的である。
    ブラックスワンを予測するべきでもなく、後付けで考えるべきでもなく、分かった気になるべきでもない。
    タレブの言説を本当に理解するにはまだまだ時間がかかりそうだなぁ。

  • 「リスク」とはどのような意味でしょうか。
    コロナで「第六波になるリスクがある」、「この金融商品は元本割れのリスクがある」など言いますね。
    ネガティブな意味で使われるので、「危険性」という意味にとらえれることが多いです。

    しかし、リスクの本来的な意味は「変化」です。
    「この商品を投入すると損益が変わるリスクがある」というと、
    損益が改善する可能性もあるし、悪化する可能性もある、という意味になります。

    ブラックスワンは、簡潔に言うと「予想できない大きなリスク」を意味します。
    なんとなく、ずっと働き続けられる、家族がいる、会社がある、と思っていませんか。

    健康状態が悪化して働けなくなるかもしれません、自然災害や不慮の事故で家族を失うかも。
    今時会社が倒産することも珍しくありません。

    リスクを恐れて現状維持に努めるべきではありませんが、
    自分が予見できているリスクが全部と盲信せずに、
    ”見えているリスク”と”見えていないリスク”を区別しながら、
    「取れるリスク」をしっかりとっていく、ということをこの本は言っていると思いました。

    ただ、この本、洋書で元々表現が独特なのか、非常に読みづらいです笑

  • 9.11テロを予測した投資家ナシーム・ニコラス・タレブが書いた本。人間がいかにして目の前のことだけを見て、世界を理解した気になってしまうかをユーモアを交えたエッセイで紹介する。やや冗長な内容なので、コンパクトに学びたい人は行動心理学の本を読む方が効率が良い。

  • キッカケに気づける本。

  • ■黒い白鳥の3つの特徴
    ①異常であること。過去に照らせば、そんなことが起こるかもしれないと示すものは何もなく、普通に考えられる範囲の外側にあること。
    ②とても大きな衝撃があること。
    ③異常であるにもかかわらず、私たち人間は、生まれついての性質で、それが起こってから適当な説明をでっち上げて筋道をつけたり、予測が可能だったことにしてしまったりすること。

    ■歴史と不透明の三つ子
    ①わかったという幻想。世界は実感するよりずっと複雑(あるいはランダム)なのに、みんな何が起こっているか自分にはわかっていると思い込んでいる。
    ②振り返ったときの歪み。私たちは、バックミラーを見るみたいにして、後づけでものごとを解釈する(歴史は、人が経験する現実よりも、歴史の本で読んだほうがわかりやすい)。
    ③実際に起こったことに関する情報を過大評価する。権威と学識ある人は不自由になる。特にものごとの分類を始めたりすると、つまり「プラトン化」すると、それに縛られてしまう。

     果ての国では格差が大きい。データの一つが集計量や全体に、圧倒的に大きな影響を及ぼす。  だから、体重や身長やカロリー摂取や月並みの国の産物だが、財産はそうではない。

    ■黒い白鳥を見るのに不自由だと起こること
    ①最初から目に見える一部に焦点を当て、それを目に見えない部分に一般化する。つまり追認の誤り。
    ②はっきりしたパターンをほしがる自分のプラトン性を満足させる講釈で自分をごまかす。つまり講釈の誤り。
    ③黒い白鳥なんていないかのように行動する。人間は生まれつき、黒い白鳥に向かないようにできている。
    ④目に見えるものんが全部だとは限らない。歴史は黒い白鳥を隠し、黒い白鳥の起こるオッズを見誤らせる。つまり物言わぬ証拠の歪み。
    ⑤私たちは「トンネル」を掘る。つまり、私たちは素性のはっきりした不確実性の源のいくつかにばかり集中する。しかしそれらは、黒い白鳥のリストとしては具体的すぎるのだ(その結果、なかなか思いつかないそのほかの黒い白鳥は無視してしまう)。

     …七面鳥の最初の1000日を観察した(しかし1001日目の衝撃は見ていない)人なら、大きな事象、つまり黒い白鳥がいる可能性があると示す証拠はないと言うだろう。まったくそのとおりだ。でも、よく注意していないと、この命題と、黒い白鳥がいる可能性はないと示す証拠があるのとを混同してしまう。

     反例を積み重ねることで、私たちは真理に近づける。裏づけを積み重ねてもダメだ!観察された事実から一般的な法則を築くと間違いやすい。通念とは逆に、私たちの知識は裏づけとなる観察結果を積み重ねても増えていかない。七面鳥の例がそうだった。疑い続けたほうがいいものもあるし、間違いないと考えていいものもあるが、観察して得られるものは一方に偏っている。そんなに難しい話ではない。

     知識の問題の核心は、確証なんて生き物はこの世にいない

    ■講釈の誤り
     私たちは講釈が好きだ。私たちは要約するのが好きで、単純化するのが好きだ。ものごとの次元を落とすのが好きなのである。
     …
     講釈の誤りは、連なった事実を見ると、何かの説明を織り込まずにはいられない私たちの習性に呼び名をつけたものだ。

     
     あなたのお子さんは、学習障害には見えないのに、いっこうに喋るようにならない。学校の先生はあなたに、「ほかの選択肢」を検討しろと圧力をかけてくる。治療を受けさせろということだ。いろいろ反対したが無駄だった(先生は「専門家」だから)。ところが突然、お子さんは手の込んだことを語り始める。彼の歳にしてはちょっと難しすぎるような話だ。もう一度言う。一直線に進歩するなんていうのはプラトン的な考えであり、普通はそういうものではないのである。

     …「私たちはそうやってきたからこそ、ここまでになった」のを理由に、行きすぎた楽観主義を正当化する根底には、人間の性質に関するはるかに深刻な誤解がある。私たちには自然や自分たちの生まれついての性質が理解できるとか、行き先は自分の意志で選ぶものだとか、実際私たちはそうしてきたとか、そんな誤解だ。私はそりゃ違うと思う。私たちはものすごくたくさんの本能に動かされている。
     二つ目の点は、一つ目よりももう少し気がかりだ。進化による適応をいつももてはやし、ありがたがり、福音みたいに思っている人がたくさんいる。黒い白鳥を生み出す強いランダム性がわからない人ほど、進化は最適な答えを出すように働いていると信じ込んでいる。彼らの頭からは物言わぬ証拠が抜け落ちている。

     浅はかなことやプラトン的なことは目につくところに現れる。これは知識の問題を単純に拡張したものだ。

  • 神を信じて遭難を生き延びた信者と、溺れて海底に沈んだ信者

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