15歳からのファイナンス理論入門―桃太郎はなぜ、犬、猿、キジを仲間にしたのか?
- ダイヤモンド社 (2009年4月17日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (180ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478008256
感想・レビュー・書評
-
モルガン・スタンレー・キャピタルという会社に勤務している慎さんという方が27歳の時に書かれた本。
タイトルにあるように、ファイナンス理論の触りを、誰にでもわかるように噛み砕いて説明されています。
内容はあまり多くないですが、まぁわかりやすい。
といっても、当たり前のことが多いです。
内容
・リスクとリターン
・リスク分散
・現在価値と将来価値
中身はこれらの説明のみです。
著者が述べたいのは、ファイナンス理論の考え方は、日常のあらゆる場面で使えるものであるということです。
リスクとリターン
①同じリスクで高リターンを得られる
リスクとリターンは表裏一体だが、リターンはリスクを負うこと以外によってもあげられる。
簡単にいうと、訓練して同じリスクを追ったときに得られる成果を上げるということ。
(書籍内では、航海に関して、素人とプロが同じ海に出るリスクを追っても、成果が異なることを例にしている)
②追加的に何かを得た時に得られる満足感が減ってしまう人ならば、確実な方を選ぶ
前提:1本目のジュースを飲んだら喉の渇きがある程度収まるので、
2本目に飲むことで得られる満足度は一本目の時より低い、3本目に関しても同様。
選択肢1:コインを投げて表ならジュース3本、裏なら1本
選択肢2:コインを投げずに2本もらえる
このときは、多くの人は「不確実性を避ける」選択をします。
すなわち、何かに慣れてしまう人は、平均的に同じミカエルを得ることができるのであれば、確実な方を選びます。
リスク分散
リターンを減らす事なしにリスクを下げることを言う。
リスク分散には、相関の低い組み合わせを選ぶことが必要である。
RPGでナイト・白魔道士・黒魔導市・… という組み合わせにするの同じで、
ある状況ではナイトが活躍するけど黒魔道士が活躍できないが、
別の状況ではその逆であったり、白魔道士が活躍する、という組み合わせが、
最も正しい選択になる。(ファイナンス理論的には
これを、負の相関のあるものを組み合わせるという。
ただし分散できないリスクもあり、これこそが本当のリスクである。
この分散できないリスクの低いものこそが価値がある。
例えば、電力の供給が止まっても、自家発電によって不都合を免れることが出来る家庭は、他の家庭に比べて分散できないリスクを持っている数が少ないと言える。
このように、分散不可能なリスクが低いことを、「ベータが低い」という。
ベータが低いことを目指すのは重要なことである。
現在価値と将来価値
現在価値 = 将来価値 - 不確かさの対価 - 待つことの対価
明日もらえる10000円と、1年後のもらえる12000円はどちらが良いかを考えるときに、この式を用いる。
不確かさの対価:確実にもらえるかわからないから、その分の価値をマイナスする
待つことの対価:本当にもらえるのか不安になりながら待たなければならない、この分は価値からマイナスする
上記を込みで考えて、どちらが良いかを考える。
以上をゆっくり説明しているのが本書です。
ファイナンス理論は何事にも用いられることをサクッと説明した感じでした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中学生でも理解できるようにと書かれたファイナンスの入門本です。
世間一般には間違って理解されている「リスク」の意味や
(この本では不確実さ、と説明されています)
現在価値の話(今のリンゴ10個と1年後のリンゴ10個の価値)など、
分かり易いたとえ話を交えてファイナンスの考え方を解説しております。
副題の猿キジ犬(桃太郎)は「相関関数」の例えですね。
同じようなタイプを集めても最良の結果は得られないなど。
入門書・概説書は本当に理解していないと書けないと思います。
大人でも金融の専門家では無い方、金融でもリテール営業で
理論的な話は苦手な方にも一読をお勧めします。