シフト――2035年、米国最高情報機関が予測する驚愕の未来
- ダイヤモンド社 (2015年11月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478026540
感想・レビュー・書評
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著者は、米国大統領が指針とする、中・長期的予測を行う国家情報会議(NIC)に所属し、15年先を予測する「グローバル・トレンド」を主筆ていた著者が、辞任後、20年後の2035年後の世界を予測した本です。
2015年に公開されたものなので、まだトランプが大統領になる前の予測が書かれているのですが、現実は描かれている楽観的な予測と正反対の方向に進んでいます。トランプが進めているような悲観的なシナリオ通りになった場合、アメリカの衰退が現実のものになったら、恐ろしさを覚えますね。
しかし、アメリカは日本を守らない、と書かれていますが、実際この本全体に感じることですが、日本では日米同盟といっても、アメリカから見れば日本は世界のある多数の国の一つであり、日中が衝突した場合、アメリカにとって最も有利な戦争とならない決着になるのは目に見えてます。
私にとっては、そういった視点も得られる貴重な本でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
メガトレンドは、個人へのパワーシフト・多極化する世界・神を超える技術・人口爆発と気候変動。ゲームチェンジャーは、中国・テクノロジー・紛争。
個々の指摘はどこかで見聞きしたようなこと、それらを全体として捉えるのはなかなか難しいが。それと、日本の場合は、地震が大きな要素になると思う。 -
「シフト」このタイトルと「個人は最大の脅威となる」という帯のコピーを見て、従来の国家なような巨大な既成集団から、個人が国家でも手に負えないいう大きな力を持つ、という視点での個人の力が起こすリスクの詳細な分析、というようなものを期待して手に取った。しかし内容は、「個人の力」の強大化ということを詳細に分析した本ではない。すでに多くある近未来の世界情勢分析本、という範囲から出ていない。これは肩透かしであり、出版社の帯のコピーも「詐欺」といえるのではないかw。
なので、もしそういった未来予測本を読んでいるのであれば、本書は得るものが多くはない。初めて読む未来予測本であれば、まとまっているのでオススメかもしれない。その未来予測だが、類書と基本的な違いはない。ただアメリカのもと国家情報会議の部長であり、大統領に報告する「グローバルトレンド」の作者である。そんなアメリカの官僚の一般向けレポートといった趣もした。また分析の背後に西欧的民主主義価値観の優位性という基本的考えが見え隠れする。
筆者は2013年に退官したようだが、中国についてはG2として対応しており、初期のオバマ政権の中国感と似ているように思える。その後、アメリカの中国感や対応は変化しており、そういった意味ではこの中国感は古さもある。(何故か邦訳では掲載されていない章ではアメリカと中国の首脳が秘密裏の会談で危機を回避する物語があるそうだ。おそらく日本国内の反発、反論が予想され、出版社は掲載を見送ったのではないか)
著者の視点で面白いと思った視点をいくつか列挙
◾️少なくとも先進国では、20~40年後にはほとんどの赤ん坊が体外受精で生まれるようになるだろう。親またはだれかが、生まれる子にもっとも受け継いで欲しい遺伝子をを持つ胎芽を選ぶ。そんなことが現実となる。
◾️人口増加に対応するため遺伝子組み換え食品、さらにはバイオプリント肉(これは再生医療の技術を使って培養下職肉で、動物を飼育したり、殺したり、輸送する必要はない)の登場もありうる
◾️いくつかの中国への分析
◾️アメリカの相対的な低下はアメリカの勝利でもある。アメリカ的価値観の輸出が各国の富の上昇を生んだからだ。→新興国の富の上昇+先進国化は西欧的価値観に同化する、という考え。 -
未来予測の本。
トレンド
個人へのパワーシフト、台頭する新興国と多極化する世界。ポストヒューマンを実現するテクノロジー シンギュラリティ・ビッグデータ・ロボット・ゲノム。人口爆発・気候変動。
波乱要因
中国、テクノロジー、戦争、アメリカ。
2035年
核、生物兵器テロ、オキュパイシリコンバレー
パッと読んだのでも一度じっくり読みたいかも。 -
中国の生産年齢人口 2016 9.94億人でピーク
独はイギリスより先に没落する
金持ちになる前に老いる中国 -
読了
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シフト
2035年、世界はどうなるのか?
米国最高情報機関が予測する驚愕の未来!!
非常に興味深く一気に読みました。
この本はお薦めです。 -
世界の社会階層に、産業革命以来の重大な再編”シフト”が起きている。最貧困層は泥沼にはまり込み、それ以外の貧困層の暮らし向きはよくなった。新興中間層の所得は伸びているが、西側諸国の中間層のそれは、伸び悩んでいる。上位1%の所得は著しく増えて、ダントツの勝ち組になっている。それによって、格差はますます広がっている。
未来への大転換の予兆として
①「個人」へのパワーシフトにより、国家までをも解体する
②新興国が台頭し、世界は多極化する
③人類は、生命の根幹を理解し、潜在能力を高め、寿命を延ばす、ことで神を越える
④人口爆発と気候変動により、食糧不足、エネルギー問題が起きる
といったことが起き始めている。
現実になったら、得るものも失うものも非常に大きな波乱要因は、
①中国経済が新たな成長段階に移れないこと
②戦争の可能性が高まること
③テクノロジーの暴走が起きること
④アメリカが複雑化した世界のトップから転落すること
であり、小さなことに執着せず、これらの大きな問いに目を向けるべきである