ブロックチェーン・レボリューション ――ビットコインを支える技術はどのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのか
- ダイヤモンド社 (2016年12月2日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478069967
感想・レビュー・書評
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新聞紙上で知ったブロックチェーンによる技術はいかなるものか知りたくて本書をとりました。ビットコインのベースになっているだけでなく、中央集権、ヒエラルキーの否定といった政治体制への変革もブロックチェーンを通じて見えてくる点はスケールの大きさとともに、未来への期待を抱かずにはいられない刺激が大きいものでした。
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土井先生オススメ
no2 -
ビットコインのコアテクノロジーとして世の中に知られるようになったブロックチェーンという概念。中央管理機構を必要とせずに所有権や信用情報の取引を保証するこの仕組みが、広い可能性を持つことは一部の人には認識されている。一朝一夕にブロックチェーンが敷衍して世の中が変わるということではないが、長期的には大きく世界を変える可能性を持っていると言われている。少なくとも、ビットコインの成功はその可能性を人々に強く意識させた。中央銀行を含む金融システムや不動産取引、音楽や映像などの流通システム、投票システム、などがブロックチェーンにより革命的に変わる可能性がある業界として挙げられている。ブロックチェーンは、VISAなどのクレジットカードやATM・送金などの銀行などの既存業界だけでなく、UberやAirbnbなどのベンチャビジネスにも大きな影響があると指摘する。
たいていの技術は末端の仕事を自動化するが、ブロックチェーンは中央の仕事から自動化する。だからこそ革命的と言われるのだし、同時にわかりづらいものとなっている。
経済学者のロナルド・コースによると企業の本質は取引コストの効率化であるという。取引コストとは、検索コスト、契約コスト、調整コストの3つがある。ブロックチェーンはある分野においてこの取引コストを取り除くことができるかもしれない。その帰結として、社会の働き方にも大きな影響を与えることになるのかもしれない。
著者は、この本に書かれていることは未来予測ではなく、実現すべき未来のビジョンであると宣言する。現在のブロックチェーンの状態は、1992年時点のインターネットのようだという。この本で挙げられた企業のいくつかが明日のAmazonやGoogleにならないとも限らない。本の内容は、それほどわかりやすくもなく、詳細でもないが、確かにこの分野をわかっていなければならないのだろうなということは感じることができた。
著者のドン・タプスコットは、『ウィキノミクス』や『デジタルネイティブが世界を変える』などの著作もある。目端が利くというか、流行にいち早く乗っかるというか、そういうポジションをしっかりと築いている。ちなみに共著者のアレックス・タプスコットは息子らしい。
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『デジタルネイティブが世界を変える』のレビュー
http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4798118869