ピーターの法則 創造的無能のすすめ

  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478760857

作品紹介・あらすじ

そうだったのか!ピーターの法則-階層社会では、すべての人は昇進を重ね、おのおのの無能レベルに到達する。ピーターの必然-やがて、あらゆるポストは、職責を果たせない無能な人間によって占められる。仕事は、まだ無能レベルに達していない人間によって行なわれている。禁断の真実を暴く"階層社会学"の奇書。

感想・レビュー・書評

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  • 「ピーターの法則」で知られる階層社会学の創始者ローレンス・ピーターによる著作。
    原著は1969年に発行。

    ピーターの法則とは、「なぜ世の中には(職業的)無能が溢れているのか?」というピーターの個人的な疑問から生まれた、
    「階層社会では、すべての人は昇進を重ね、おのおのの無能レベルに到達する。ゆえにやがて、あらゆるポストは、職責を果たせない無能な人間によって占められる。仕事はまだ無能レベルに達していない者によって行われている。」
    とする理論のことである。

    つまり、序列・職位のある組織においては、現時点の職位で評価された人だけが昇進する。
    その人が新しい職位でも高い評価を受けた場合、さらに上の職位に昇進する。反対に、新しい職位で評価されなかった場合はその上には昇進できない。
    こうして「昇進が止まっている人=その職位に対して無能レベルに達した人」という構図となり、一定の時間を経るとすべての階層が無能で「詰まる」ことになる。
    同様のことがあらゆる組織、あらゆる階層で起こっているとするのである。

    これはそこそこ有名な理論らしいが、私は今まで知らなかった。たまたま知る機会があって非常に興味深い理論だと思い、詳細を知るために本書を手に取った。

    本書の文章は平易なもので読みやすい(ピーター教授の論文とインタビューを基に作家のレイモンド・ハルが非常に読みやすく書いているため)。
    ピーターの法則の原理、先行研究、例外となるケース、関連するコラムが紹介され、理論の詳細はよく理解できた。

    しかし、1番知りたかった「ではどうすれば法則から抜け出せるのか?」というところが明示されなかった。
    本書はピーター教授にとっても第一作目の著作であり、研究は後年も続けられているためこのあたりの内容が薄いのかと考えられる。

    なので読後、私が調べたこと・考えたことから自分なりにこの対策を講じたい。

    ・対策1: 昇進する条件にその階層における成果だけでなく、上層で求められる能力も含める
    冷静に考えれば当然の話ではあるが、現在の階層での目立った能力や成果のみで昇格させるのではなく、次の職位で求められる能力も加味して昇格させることで、昇進してから無能になってしまうことを防ぐことが重要である。
    そのためには各職層の職務能力的要件定義を行い、必要となる能力を明示化することが求められるだろう。

    ・対策2: 無能レベルに達した者を降格・配置転換させる
    これも当たり前の話だが、JTCでは明らかにパフォーマンスも評判も悪い幹部が長年放置されているケースが散見される。昇進して無能レベルに到達してしまった人はちゃんと降格なり配置転換することで組織の人材活性化を図るべきだろう。
    米コンサルティング・ファームがカルチャーとして持つ「up or out」がまさにこれに該当する。
    そのためには正確にマネジャーのパフォーマンスを測る指標が必要。

    本書ではピーターの法則を弱めるためには、組織内に閉じた階級制度があれば良いと言及されている。つまり、支配階級と被支配階級のように先天的な固定的階級があれば、被支配階級で有能な者が階級の壁を越えられないために、その有能さを残したままポストに留まることになる。
    そしてこの階級制度は現代でも「学歴」という形で存続している。
    これは興味深い説ではあるが、学歴社会ゆえの弊害も多いと考える。

    本書は内容が濃いわけではないが、ユニークで興味深い理論をよく理解できる。

  • なんとなく。という理解はできるのだが、具体例が具体例になっていなくて、恣意的に法則に則った架空話が多いので、ほんまかいな?と思ってしまう。

    まぁ。想像を膨らますにはよい本だと思います。

  • イマイチ分からなかった

  • 期待ハズレ

  • 『本を読む人だけが手にするもの』(藤原和博/著、日本実業出版社)の巻末ブックリストで紹介されていた本。
    私たちの暮らす社会において、例外なくあてはまる1つの法則を提示しています。
    その法則とは「階層社会において、すべての人は昇進を重ね、おのおのの無能レベルに到達する」ということ。
    あてはまる事例が次々に頭に浮かぶくらい説得力のある、けれど少し薄ら寒いような怖さもある説でした。

    有能か無能か、という二択が尺度になっているせいか、私にとってはやや極端な話に感じられました。
    書いてある内容はおもしろかったですが、いろいろな状態や状況にいちいち「ピーターの○○」と名前をつけるのには少しうんざりしたと言うのも本音だったり。
    著者なりのユーモアなのだと思いますが…

    時折この法則を思い出して、「自分はどうか」と省みるようにはしたいです。

  • この本はカナダ生まれの方の共著で、お二人とも1990年までにお亡くなりになっています。オリジナルが書かれたのは、昭和時代末期の頃と思われますが、日本語訳は2003年に出されている有名な本でタイトルだけは知っていました。

    先日ある本を読んでいてこの本を知り、読書記録を見ようと思ったら、読んでいなくて慌てて近所の図書館に問い合わせしました。名著だけあって、図書館に在庫してあり早速読むことができ良かったです。

    内容はいまにも通じるもので、私の受け取ったメッセージは「優秀な人は昇進する、どんどん昇進して無能なレベルになった地位で、留まることになる。従って、会社には無能な人ばかりが残ることになる」というものです。ある意味、恐ろしいほど当たっていますね。似たよな表現として「名選手(名担当者)、必ずしも名監督(名管理者)ならず」でしょうか。

    この本は社会現象の分析だけではなく、ではどうすれば回避できるかを提案していて、それが「創造的無能」です。読めば読むほど、唸らされる内容でした。

    現在の自分、過去に決断せずにだらだら過ごしてきた場合の自分、今決断しない状態が続いた場合の未来の自分等を顧みて、考えさせられた本でした。

    以下は気になったポイントです。

    ・この本を読むメリットは、自分の無能を克服し、他の人の無能を理解することで、楽な気持で仕事ができるようになる(p16)

    ・有能さを発揮できていた地位から無能ぶりを露呈することになる地位へと昇進させられていた。これはあらゆる階級社会の、あらゆる人に起こり得る(p23、26)

    ・あらゆるポストは、職責を果たせない無能な人間によって占められる、そして、仕事は、まだ無能レベルに達していない者によって行われる(p27、28)

    ・無能レベルに達してしまった上司は、組織の自己都合という尺度で、部下が有能かどうかを判断する。つまり、無能な上司は、部下をインプットで評価する(p46)

    ・スーパー有能と、スーパー無能のどちらもが解雇の対象となる(p51)

    ・終点に到達したかどうかを見分ける方法として、何か有益な仕事を成し遂げつつあるかを見極めるのがポイント(p73)

    ・成功ほど悲惨な失敗は無い、つまり成功は無能レベルへの一里塚である。従って、創造的無能である、「成功しないことほど素晴らしいことはない」ということになる(p75)

    ・服従者としては申し分ない人物が、指導的地位に就いたばかりに、問題を起こす。1)指導力を発揮できない、2)部下の仕事効率を低下させる、3)上司の時間を浪費する(p78)

    ・従業員が有能かどうかを評価するのは、同じ階層内にいる上司。潜在的な指導力を持った部下とは、上司にしてみれば服従しない部下にほかならず、不服従とは無能を意味する(p82)

    ・階層社会は、職務を全うできず、これ以上の昇進も見込めない、しかしだからと言ってクビにもできない無能な労働者が溢れかえることになる(p90)

    ・身分境界線があるおかげで、多くの人々が無能レベルまで昇進することがないので、ピラミッドの下半分では効率のよい仕事が期待できる(p92)

    ・階層社会の効率を上げる唯一の効果的な方法は、上層部に新しい人材を登用すること。彼らが古株ではできなくなった仕事をしてくれるかもしれないから(p93、123)

    ・終点到達症候群に苦しむ人たちに効果があるのは、気晴らし療法である。何か仕事とは異なることを始める(p142)

    ・昇進を拒否するのではなく、昇進の話を持ち掛けられないように工夫することで、上のポストに昇るのを避ける、これば創造的無能と呼ばれるもの(p182)

    ・恐竜、トラ、翼竜、マンモスといった種は、それぞれが持っていた特質(巨体、翼、牙)のお蔭で繁栄した。初めのうちは彼らに昇進を約束したそれらの特質が、最後には彼らを無能へと導いた。有能さには無能の芽が潜んでいる(p191)

    ・卒業証書が証明するのは、その生徒が卒業までの年数を我慢して学校に通ったという事実のみ(p194)

    ・ピーターの特効薬は4種類ある、1)予防薬(昇進を回避):マイナス思考、創造的無能、2)痛み止め(無能レベルに達した人が、健康と幸福を維持する)、3)気休め薬(症状を抑える):実績をイメージで代用、4)処方薬(治療する)(p203、208)

    2015年11月15日作成

  • 最後は無能になる…

    センセーショナルな言い方であるが、
    言い方を変えると、能力の限界まで
    しか昇進しない、ということ。

    限界まで昇進した人は、その役責を
    十分に果たすことができないので、
    無能に映る。


    無能と言われないようにするため、
    若しくは役責のプレッシャーを
    感じないようにするためには、
    ちょっと手前の昇進で留まるように
    すべきである。

    仕事はあくまで最低限の収入のため、
    他にやりたいことがあるなら別ですが
    やりがいが生じない話ですよね。

    どこが限界か、なんて分からないですし。

  • ◇ピーターの法則
    →階層社会では、全ての人が昇進を重ね、各々の無能レベルに到達する。
    ◇ピーターの必然
    →やがて、あらゆるポストは、職責を果たせない無能な人間によって占められる。
    →仕事は、まだ無能レベルに達していない人間によって行われている。
    ※成る程と納得する事例がたくさん有り、読み進めると同時に自分の身の回りとダブってくるのが面白い。
    ・・・「創造的無能のすすめ」にて無能にならずに、有能レベルに留まる方策もまた実践するのも面白いが、ちょっと勇気がいる。

  • 解決策は見出しがたいですが・・・
    真理だと思いました。

    組織に所属する方には、必読の書です。

  • とにかく、おかしい(笑)
    「なぜ、組織の上層部には無能な人間ばかりがはびこっているのか?」それは「階層社会において、人は無能になるまで昇進する」からだという法則を延々と書き連ねているのだが、そこにはたしかな真理があると思う。
    古い本ではあるが、なかなか面白い本である(*^^*)
    組織と言う階層社会に依存している人間にしてみれば、ネガティブに感じるかもしれないが、無能の域に達したくなければ、会社といった階層社会に依存しなきゃいいんですよ!

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