文化系女子という生き方~「ポスト恋愛時代宣言」! ~

著者 :
  • 大和書房
3.10
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本棚登録 : 238
感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479392552

作品紹介・あらすじ

腐女子とリア充は両立できる!文学、コミック、音楽、ファッション、アート…気がつけば文化系女子ばかり!!!文化系・肉食系バイリンガルの湯山玲子が間違った文化系女子に喝ッ!!!世にはびこる文化系女子図鑑。

感想・レビュー・書評

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  • 中盤から、「○○も知らないなんて」と他の何かを好きな人に対し優位性を誇示したがる感じや、「ただ好き」とか「詳しくないけど楽しい」を認めず知識の量や深さを正とする感じがひどかった。

    他者の好きなものやその姿勢を認められず、なおかつ悪口まで言う方に「文化系」など名乗らないでいただきたい。

  • 文化系マウントという生き方

    2014年冬、美大に入って1年目の頃に周りの同年代との文化レベルの差に打ちのめされたことと、美大という女子の比率の高さゆえ、文化系女子という生き物を知るのは大切だろうと期待して買った。

    あらゆるジャンルに精通していて、きっと何を話しても10倍で打ち返してくるだろう教授のような筆者。恐れ入る経歴だ。

    それから10年弱が経過して、当時よりさらに文化系コンテンツに溢れかえった今、守備範囲の広さよりも「自分の好きなものとその傾向をしっかり理解し、ただそれらが好きである」だけでも十分じゃないかと。だってSNSとアルゴリズムで、それすら難しくなってきているから

  • 2010年代を生きる青年女子は一読するべき。時代をかなり的確に捉えていて、その在り方でとうの昔から立ち回っていた人生の大先輩の姿をみて、自分も両方取りに行こう、と野心と自信が芽生える本。

  • 文化系一家に生まれ、カルチャー誌編集などに携わって来たという、文化系女子の大先輩ともいうべき著者が、
    昨今、世に溢れかえりはじめた文化系女子の正しいあり方、生き方について説く一冊。

    確かに、SNSの発達によって簡単に文化系アピールを出来るようになり、そのような安易なアピールに警鐘を鳴らしているのには納得した。また、ジェンダー・社会学的なアプローチで論じているのもよかった。

    しかしながら、やや説教くさく感じられ、読み進めながら、しっくりこない感覚を覚えたまま読み終えてしまった。
    著者のサバサバとした、迷いの無い口調はどうも空回りしているようにも思えた。

    「腐女子とリア充が両立する」という著者の言い分には多少の違和感を感じた。しょせん著者のような勝ち組のスーパーリア充だけが言えることなのではないか、と白々しく思った。

    まあ、そういうキャラの著者ってだけなんだろうけど。もっと若い人に寄り添ってほしかったデス。

  • ・「文化系女子という生き方」というタイトルの本ですが、読了して感じたのは、決して「文化系女子」の味方になってくれるわけでも肯定してくれるわけでもない本だな、ということ。「間違った文化系女子に喝ッ!」と本著の紹介文にあるが、つまりそういったニュアンスが含まれる本だった。
    張本勲でもあるまいし、喝を入れる、みたいなノリがちょっともう…ヤダヤダ…とはなった。「間違った」って何よ…とも。

    ・また、この本は全体的に、著者の文化系女子に対する”イメージ”で語られているという印象を抱かざるをえなかった。著者がそのイメージを形成するに至った、実在の「文化系女子達」は分母が少なそう。しかも、そもそも著者周辺の人々だし、つまりそれってあなたの偏見じゃない?と思ってしまう部分は否めない。そんな感じでだいぶバイアスがかかっているように感じる本。批評でもないし、といってエッセイでもないし…うーん。

    ・さて、著者はどんな「文化系という生き方」を勧めているかというと「リア充と腐女子を両立させる」というもの。「文化系女子、すなわち非リア充。(p254)」とした上で、「腐女子とリア充は両立できるんですよ!」と説く。

    「ここはひとつ、ファンタジーの王国の住人であることをやめずに、現実の「何の萌えどころもない男子」に対して、腐女子が言うところの「恋愛以外の
    感情」を自分の中に見出して、アプローチしてみてはいかがでしょう。」(p254)

    このあたりは結構興味深かった。まぁ、そうだよね、とも思った。大先輩からの、「より良く生きるためのヒント」でもあると思う。気になった方にはぜひ読んでいただきたい。
    とはいえ、なんというか、「まっとうですね」とも思った。「はい、正しいと思います、でも…うーん」みたいな…。文化系教養の世界で羽を伸ばしつつ、夢から覚めたら実生活でも人間と渡り合い、異性に対して自分から行動する……ま、真っ当すぎる…と思ってしまったのは自分だけ??と思わずキョロキョロしてしまいそうに。そして「それは文化系女子じゃなくて、ただのリア充なんよ!(CV:ノブ)」と思ってしまったのは自分だけ…??

    (こんな感じで、いわゆる「世間的に真っ当なんだろうな」ということを文章にされたものを読むと、王道な生き方に対する理解が自分の中で一気に進む発見はあった。)


    ・2014年に書かれた本というのもあり、著者もかなりベテラン的な年齢の方というのもあり、「多様な生き方があるよね」「それでいいよね」という受容というよりは「やっぱり恋愛もする生き方の方が幸せじゃない?ね?」みたいな提案の圧は感じた。著者が自分や自分の生き方、自分の身につけてきた文化教養に自信があるがゆえの「両立のすすめ」。

    まぁそうなんだろうなぁ、そういった生き方は実生活に向き合っているよな、と思いつつも、「文化系」と「女子」が組み合わさって結局、いや案の定というか、「現実・実生活での恋愛」が取り沙汰されることには変わりないということに「??」と混乱する気持ちも正直なところある。

    著者自身が「文化系なのにリア充というバイリンガルです(p91)」
    とのことだから、ご自身の生き方(恋愛至上主義時代を生き、文化教養も摂取してきた)を勧めている気持ちがベースにある本とも言えると思う。(まあ、その「バイリンガル」になかなかなれなくて、もがいている人が多いのが今の現状だと思いますが。)
    だから、タイトルに惹かれて手にとった「文化系女子」の中には「そのままの生き方でいいのよ」と言ってくれなくてゲンナリする人もいるかも。2014年に書かれた本だからそこはしょうがないとも言えますが。



    ・また、気になったところとして、著者は男と女のオタクの違いとして、女オタクは同好の士の中でマウンティングしない、男はする、と言っているのですが、著者自身がめちゃくちゃマウンティングしているように思えます。。笑 
    例えば、出会った「日本酒女子」に対して「日本酒は知っているかもしれないけど、日本酒文化として通るはずの開高健も読んでなかった!知らなかった!話にならなかった!」みたいな。こういう描写は頻繁に出てきます。勝間和代さんに対しても「誰かが言ってた」として「一冊の本も読んでなさそう」みたいなディスりも…。ご自分のお眼鏡にかなわないと、ダメなんだなぁ、という印象は受けた。
    全体を通してやや「名誉男性」っぽさを感じました。「文化系女子」達が「自分達の王国」で誰にも迷惑をかけずに楽しんでいるところに、「あなたたちは文化系女子ではない」「全然知識が足りない」と古参オタクが突然侵攻してくる感じも。
    タイトルに惹かれて手に取った私だが、その辺りもモヤモヤした。

    ・少なくとも2022年現在、今読むと「ありのままでいさせといたれよ/ほっといたれよ」と言いたくなってしまった、そんな感じが全体的に満載でしたね。
    そもそもですが、「文化系”女子”」ってなんだよ…ってところ。(本当にそもそもだけど)



    ・「リア充と腐女子を両立させろ」というようなことが書かれているし、BLに対する章もあったりして、サブカル研究、BL研究している人にはサンプルの1つとして興味深く読める本かもしれません。


  • 人生

  • 文化とまともに向き合おうとするならば、生半可な気持ちではいけないのだ。常に思考し続けなくてはいけない。
    「文化」にたいする自分の関わり方を考えさせてくれる良い本だった。

    アート系を自称してきた自分にとっては、痛い箇所がいくつも…。

    たとえば、ちょっと見聞きして好きだなと思ったものを、SNSの自己紹介文なんかでタグ付けして、自分を演出するアクセサリーとして使ってしまう人のことを「黒文化系女子」として挙げている。本当にその作品のことを深く知っているわけでもないのに、そんな浅はかな行為を知らず知らずにやってしまっている。

    あとは自分の「文化」への接し方の傾向として、好き嫌いばかりで判断して、そのものを歴史のタイムラインの中に位置づけて考えてみるという視点が抜け落ちていたことに気づいたのも、目からウロコでした。

    さらに、自分の考えをアウトプットする時に「紋切り型にならないように」という視点を持つことも大事。
    などなど。

  • 367.2

  • 状況もあいまって非常に救われた

  • 「文化系女子」の来し方行く末を紐解く一冊。

    ド田舎で鬱屈としていた元・文化系女子。『向上心と知性を持った瞬間にマイルドヤンキーの楽園から追放され』るも、文化系で飯が食えるような覚悟も才覚もなく、東京に出てきてようやく少なからず同好の士に出会い、世の中には生まれ落ちた時から文化教養に理解ある家庭で育ち、ある程度レベルの偏差値と家庭環境の子女が集まる学校で、早いうちから文化度の高い同級生や先生との出会いに恵まれた、文化が当たり前のように身近にある「都会の文化系女子」という存在を知る。
    著者の育った環境はまさしくそれで、地方の圧倒的少数派から見れば羨望の的。ハンデが違い過ぎる。

    でも、確かに湯山氏が言うように、ハンデの多少はあれ、文化系の源流は『尋常じゃないハマり方をある時期にした』かどうか。
    アクセサリーとして教養を振りかざし、男社会に切り込むため文化系を利用する「なんちゃって」知識浅薄黒文化系女子に喝を入れる。
    文化系を標榜するならば、思考停止禁止。一生考え学び続けなければいけない十字架を自ら背負っていくのだ。

    文化系としての生き方とは、プレイヤーでなくとも観客でいるためでも努力研鑽は必要なのである。が、好き好んで選んだ道。
    まだまだ遠くはあるが『今の自分の内部にないものに出合っていく』道のりであるのだ。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。著述家。出版、広告の分野でディレクター、プランナー、プロデューサーとして活動。同時に評論、エッセイストとしても著作活動を行っており、特に女性誌等のメディアにおいては、コメンテーターとしての登場や連載多数。現場主義をモットーに、クラブカルチャー、映画、音楽、食、ファッション等、文化全般を広くそしてディープに横断する独特の視点には、ファンが多い。
クラシックを爆音で聴く「爆クラ」等のイベント、自らが寿司を握る美人寿司などの活動も続行中。著作に『女ひとり寿司』(幻冬舎文庫)、『クラブカルチャー!』(毎日新聞出版局)、『女装する女』(新潮新書)、『四十路越え!』(ワニブックス)、『ビッチの触り方』(飛鳥新社)など。メールマガジンも刊行(http://magazine.livedoor.com/magazine/37)。(有)ホウ71取締役。日本大学藝術学部文藝学科非常勤講師。

「2012年 『だって、女子だもん!! 雨宮まみ対談集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

湯山玲子の作品

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