「愛されたい」を拒絶される子どもたち―虐待ケアへの挑戦

著者 :
  • 大和書房
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479792109

作品紹介・あらすじ

虐待された子どもの心と体をどう癒すのか?ベストセラー『凍りついた瞳』から10年。虐待ケアの現場を追った渾身の書き下ろし。

感想・レビュー・書評

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  • 連日の児童虐待のニュースで、虐待から救われた後が、それ以上に多くの人達の協力と長い時間の支えが必要なんだと痛感しました。

  • 具体的な事例で構成されていて面白かったです。
    虐待児童一人のケアにかかるコストと
    それを乗り越える児童の苦労を想像すると
    子どもを普通に育てるってすごいことなんだなぁと思います

  • 児童虐待に関する本です。
    親子の関係とは愛情に基づいており、美しくあってほしいものですが、多くの現実はそのことを裏切ってしまうようです。それでも虐待、暴力の連鎖をとめるよう努力しなければならないのが、オトナの努めなのだと思います。

    ▲育児に苦しんでいるお母さんはよく「私の何が悪かったのでしょうか」と言います。これ以上できないくらいにがんばっているのにね。本当の母親でも同じことですが、子どもたちの行動は、自分の子ども時代を思い出させるでしょう? 預かっているお子さんからのアピールを自分自身の子ども時代と重ねてしまうと、保育ではなくて自分の葛藤になってしまうこともあります。▲

    読了 2007/9/16

  • 虐待を受けた子どもたちを受け入れる施設での取り組みについてのレポート。
    保育士、教師、心理士など関わる人がたくさんいるが、それぞれの子どもたちに対する粘り強さや愛情の深さに感動した。
    子どもにとって、親から愛され認められたと感じられないことが与える影響はとてつもなく大きい。ひどい虐待のニュースを知ると、胸が痛くなっていたが、虐待を受けた子どもが安心感を持って暮らせるような取り組みが行われていることは希望になると思った。

  • 虐待を受けた子どもがどんな反応を示すか、
    どう育てなおすかについて、実例をもとに
    知ることができた。
    素晴らしい描写で、子どもの様子や関わる側の心情がありありと伝わってきて、不謹慎かもしれないが、一編の小説を読んだ気にさえなった。しかし、リアルはもっとシビアで混乱したりイライラしたり絶望したりして投げ出したくなるような気持ちにさえなる事もあるのだろう。関係者間での意見の相違で歯痒い思いをするなどもあるかもしれない。ただ、それを覆すような成長の可能性を感じる感動、見届ける充足感もあるのかなと思った。

  • 虐待が子どもたちに残す傷の深さを目の当たりにして、涙をこらえるのに必死でした。
    保育士、その他子どもに関わる仕事の専門性の高さと関わりの難しさを改めて感じました。

  • 児童虐待防止運動が一般市民の大きな関心を集めるきっかけとなった本の一つに、ささやななえ の コミック「凍りついた瞳(め)」がある。
     本書は、その原作者椎名篤子の最新ルポルタージュだ。実親から苛烈な虐待を受けた乳幼児が三重県にある一軒家のグループホーム「ペンギンハウスや、児童精神科の入院病棟がある大阪府の」「あすなろ学園」で療育を受け立ち直っていく姿を描いている。実親から疎外された子ども達が、このような専門施設の職員の熱意によって、徐々に立ち直っていく姿は感動的だ。
     しかし、このような条件整備が整った施設は、極めて例外的なのだ。一人の職員が数十人もの事例を抱えていては、緊急対応さえ追いつかない。一刻も早い、人的、財政的なサポートが望まれる。
     「自分の子さえ良ければいい。」では済まされない。

      子どもは「社会の宝」の筈だ。

  • 反応性愛着障害という言葉と症状をはじめて知った。

    「信頼できる人と出会えなかった子どもは、愛着を結ぶ力を充分に培えない。怯えや警戒心が加わり、他人からの接触を拒絶するようになる一方で、誰にでも無差別に甘えることができる」

    私は、瞑想やオーラソーマなどの方法を有効と思いつつ、同時に、社会で何が起こっているのか、知らないうちに細胞に組み込まれたようなかなしみのことをやり過ごしてはいけないような気持ちにかりたてられている。でもまだ、そのことを透明なまなざしでみつめられていない。多分、もう少し。

  • 人手が絶対的に足りないのだなあと。

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著者プロフィール

作家・ジャーナリスト。
主な著書に、『凍りついた瞳2020』(編著、集英社、2019)、『がれきの中の天使たち』(集英社、2012)、『愛されたいを拒絶される子どもたち』(集英社、2007)、『新凍りついた瞳』(集英社、2003)、『親になるほど難しいことはない』(集英社文庫、2000;講談社、1993)、『虐待で傷ついたこころのための本』(大和書房、1998)、『ちいさなわたしをだきしめて』(集英社、1998)、『家族「外」家族』(集英社、1997)、また、著書を原作とした漫画化作品に『愛ときずな』(絵:ごとう和、秋田書店、2010)、『凍りついた瞳』(絵:ささやななえ、集英社、1995)など多数。

「2019年 『イギリスの子ども虐待防止とセーフガーディング』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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