シェイクスピア全集 (4) 夏の夜の夢・間違いの喜劇 (ちくま文庫)
- 筑摩書房 (1997年4月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480033048
作品紹介・あらすじ
妖精の王とその后のけんかに巻き込まれて、妖精パックがほれ薬を誤用したために、思いがけない食い違いの生じた恋人たち-妖精と人間が展開する幻想喜劇『夏の夜の夢』。ほかに、2組の双子の兄弟が取り違えられることから生じる混乱のおもしろさの中に、ロマンスや、離別した一族の再開という要素を加えて展開する『間違いの喜劇』を収める。
感想・レビュー・書評
-
安野光雅さんの描く、なにかやらかしそうな、にんまり顔の妖精パックがすてきな表紙。
「夏の夜の夢」は愛の言葉と拒絶の言葉の極端さにくらくら。
しかも三色菫の惚れ薬のせいで、愛し合っていた相手から急に突き放されたり、ひどい言葉をかけてきた相手が手のひらを返したように愛を囁いてくるのです。
観客として観ている分にはおもしろいけど、当事者にはなりたくないなぁ…と思ってしまいました。
皆があるべき相手と結ばれた後も、職人たちのしっちゃかめっちゃかな芝居がたまらなく愉快。
おしゃべりな石塀や礼儀正しいライオンにいちいちつっこむ公爵たちの会話にも笑ってしまいます。
観客に語りかけるパックの最後のセリフまで、気持ちよくお酒を飲んだときのようなふわふわ感を味わいました。
「間違いの喜劇」は、実際の舞台を観てみたくなりました。
同じ名前の双子の兄弟。
彼らの召使いも、これまた同じ名前の双子の兄弟。
幼い頃に生き別れ、それぞれ主人と召使い1人ずつのペアで育った彼らが、知らないうちに同じ街にいたのだからさあ大変。
舞台の上で展開されるドタバタ劇を想像するだけでわくわくしちゃいます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
テンポがいい。ことば遊びがおもしろい。翻訳はきっと大変だろうなあ。舞台は演出で相当違ってくるのだろうなあ。ストーリー自体はとくにややこしい伏線もなく、ストレートでわかりやすい。人の名前はなかなか覚えられないので、いちいち最初のページを見ないといけないけれど、まあすんなりと頭に入る。「ハムレット」「ロミオとジュリエット」「マクベス」ときて、4冊目になってやっと事前にストーリーをまったく知らない状態で読んだので、わりと気楽に読むことができた。というか喜劇だからか。まあ、こういう感じでシェークスピアを読んでいけばいいのだなあというのがわかった。妖精たちがどんなふうに登場するのかも見ものだなあ。軽やかに、華やかな感じで。(夏の夜の夢)
離れ離れになった二組の双子。その兄弟を探しに行ってのドタバタ。いやあ、もっともっと初期の段階で気付くでしょう、と思いながら楽しんだ。まさかこんなところですぐに見つかるとは思ってもみなかったということでしょうか。しかし、服装だって髪型だってしゃべり方だって違うだろうに。それは気付くでしょう。ところで舞台の上ではどのような演出なんだろう。いまみたいにテレビで二人の画像を上手に組み合わせてなんてできないわけだから、同時に存在するシーンは最後だけにして、セリフは他の人が裏で代役しているのか。まあ、そういうのを想像するのもまた楽しい。(間違いの喜劇)
いずれも舞台で上演されるものも観てみたいなあ。きっと豪華な衣装にも注目だなあ。 -
以外と下世話な話や卑猥な例えもあり、当時の娯楽だったのだなと思う。演者も男ばかりで、女役は少年。
間違いの喜劇は、古典的な手法なのだと感じた。観客がある種第三の視点から観ているから、可能なプロット。
松岡さんの仕事には、脱帽。
読みやすいです。 -
シェイクスピア全集 (4) 夏の夜の夢・間違いの喜劇
(和書)2009年04月09日 20:41
1997 筑摩書房 シェイクスピア, 松岡 和子
「夏の夜の夢」に関しては福田恒存翻訳より松岡和子翻訳の方が設定などが分かり易い印象を受けました。
「間違いの喜劇」に関しては初めて読んだのですが、世界市民という意味での諸関係を描いていて、その諸関係が普遍性を醸し出すシェイクスピアらしい作品だろうと思いました。
シェイクスピアの作品はいろいろあり、まず福田恒存翻訳から始めましたが新潮文庫にあるもの以外にも翻訳がある。なぜ文庫化しないのか分からない。それで手に入れやすい松岡和子翻訳作品を読んでいこうと思っています。
シェイクスピアは原文を読めれば良いのだろうと思うが翻訳を一通り読んでしまおうと思っています。 -
『真夏の夜の夢』久々に新訳で読み返してみた。何だかヘレナがすごくいい。第二幕で、片思いの相手ディミートリアスに「お前なんか見ているだけでむかむかする」と言われれば「私はあなたを見てないとむかむかする」と返し、「お前なんか野獣に食われてしまえ」とののしられてメゲるけれど、もあきらめようとしない。恋敵で親友のハーミアと比べて自分は「熊みたいに醜い」と自虐する彼女には、現代のラブコメでも主役をはれる素質を感じる。オーベロンが、彼女にスポットライトを当ててみたくなった?気持ちがわかる。
-
メンデルスゾーンの劇音楽が極めて有名ですが原作は読んでなかったので…
どちらの作品も相手を取り違えることから起こるてんやわんやの大騒ぎです。
特に「間違いの喜劇」はエラーにエラーを重ねて、読んでいるこちらもこんがらがってきます。でも最後は1本の糸が解けて解決する手順は見事。
原書名:A Midsummer Night's Dream / The Comedy of Errors
夏の夜の夢
間違いの喜劇
著者:ウィリアム・シェイクスピア(Shakespeare, William, 1564-1616、イングランド、劇作家)
訳者:松岡和子(1942-、中国長春市、翻訳家)
解説:河合祥一郎(1960-、福井県、英文学)、前沢浩子(1961-、英文学) -
何か面白い古典文学はないかなーと探していた折、ふと思い立ってシェイクスピア全集に挑戦。表題の2作とも、コミカルな展開に引き込まれ、楽しくするっと読み通せた。本編の訳注や巻末の解説でシェイクスピアの奥深さを知る。道はまだまだ遠いけど、他の作品も読んでみたくなった。
-
面白!人違い、取り違えはシェイクスピアの十八番なのですね。松岡訳のテンポが素晴らしく一気に読めました。『夏の夜の夢』は恋の激情、空騒ぎ感がコミカルに、でも真に迫って描かれておりましたし、『間違いの喜劇』では、現代にも通じる、思わず引用したくなる文句がたくさんでした(笑)不名誉は次々に子を生み墓の中まで居座る、というような趣旨のことなど。。見事です、シェイクスピア。。
-
シェイクスピア初読。
面白かった!ぜひこの劇観たい!!と思わせてくれる素晴らしい、全く遜色ないストーリーに台詞まわし。訳者さんも素晴らしいです。 -
思わず口に出してみたくなる訳。リズム感の美しさ、言葉選びの巧みさ。