子どもたちはなぜキレるのか (ちくま新書 211)

著者 :
  • 筑摩書房
3.13
  • (2)
  • (6)
  • (27)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 127
感想 : 17
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480058119

作品紹介・あらすじ

「荒れる」段階から「ムカツク」状態を経て、この数年は「キレる」現象が顕著である。ふだんはおとなしい若者たちが些細なことに「ムカツキ」、瞬間的に「キレる」ようになってしまったのである。怒りや暴力それ自体は、かくべつ目新しいものではない。では「キレる」ことの、どこが新しいのだろうか。個性尊重と管理強化の間をゆれ動く既成の教育論に楔を打ち込み、「腰肚文化」に代表される伝統的な身体文化の継承を提案する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「キレる」ということばはもう定着してしまったようです。少し前なら頭が切れるというとすごく頭がさえている人のことをさしていました。良い意味で使っていました。でも、今は違っています。「堪忍袋の緒が切れる」というのともちょっと違うようです。「ムカツク」ということばもよく使われます。「キレる」は「ムカツク」が度をこしたときにやってくる状態なのでしょうか。「腹が立つ」と「ムカツク」はやはり少し違うのでしょうか。「憤る」なんてことばはもう死語ですか?いろいろな状況でストレスがたまることが多いと思います。それに耐えられなくなると「キレる」のかも知れません。その忍耐力が減ってきているのは確かでしょう。ある程度のストレス、緊張感のある中ではじめて、力がついていくものなのですが。勉強もスポーツも。その緊張感に耐える術を指導してこなかったのかも知れません。「がんばる」ということばを聞いてどう感じますか?あいさつがわりに「がんばれ」なんて言いますが、具体的に何をどうするのでしょう。その具体的な方法がすっかり抜け落ちています。著者はそこに身体論を持ち出します。「腰はら文化」の復活・・・腰を据える、腰を落ち着ける、腰が引けている、はらをくくる、はらがすわっている・・・など、腰やはらを使ったことばは多く存在します。が、どんどん使われなくなっています。これは、腰やはら(下腹部・丹田)が人の体の中で重要な部位であると感じていた昔の人たちが作り出したことばでしょう。これは一種の文化です。ところがその文化が消え去ろうとしています。著者はそこに問題点を見つけだそうとします。長島茂雄、サッカーの中田英寿、芝居の野田秀樹などを具体例に体について考えていきます。みな、体のバランスがよい。腰がすわっている。子どものころの相撲ごっこも大切なようです。そして最後呼吸法に行きつきます。この呼吸法簡単なのでやってみる価値はあると思います。3秒吸って2秒止め、15秒ではききる。これを5回くらい繰り返す。息を吸うときには下腹に力を入れる(腹式呼吸)。頭がすっきりして、勉強もはかどり、きっと「キレる」ことも少なくなるでしょう。

  • 気構えや思想だけで、己を統制出来ると考えていた私は阿呆だった。
    身体を蔑ろにして、自己の平安はあり得ない。体勢の良し悪しは見た目の印象のみならず、自分の精神にさえ影響を及ぼすのだ。

  • キレる子供たちを通して、技化した所作の絶滅に警鐘を鳴らす。

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:371.42||S
    資料ID:95080093

  • ちなみに私は
    「腰・腹(ハラの漢字違うよね?)が大事」だと言われるとどう思うか、に対し、「歌う時の姿勢の話ですか?」と思いました。
    ピント外れ乙。

  • 大好きな身体論について書いてある本。
    きれるきれないはこれから子供を育てる立場になった時に必要かもしれないが今はそんなに。ただ、身体論については様々な引用を用いて抽象的な事柄ながら明快に述べている。

  • 体と「キレる」「ムカツク」との関係。「ダルい」のはエネルギー発散の方法が見つからない状態。

  • 「小学生の暴力多発」という記事が最近,新聞に大きく載りました。「キレやすくなった」背景とその解決に向けて大人たちにできることは何か? 著者は,「ことば」と身体論からのアプローチを図ります。「子どものときから適度なストレスを与えることの大切さ」「そのためには,試合に臨むことやステージに立つこと(!)」が語られます。社会問題を切り口に,ラボ教育内容の意義を父母会で納得できるよう紹介できる文章が満載。

  • [ 内容 ]
    「荒れる」段階から「ムカツク」状態を経て、この数年は「キレる」現象が顕著である。
    ふだんはおとなしい若者たちが些細なことに「ムカツキ」、瞬間的に「キレる」ようになってしまったのである。
    怒りや暴力それ自体は、かくべつ目新しいものではない。
    では「キレる」ことの、どこが新しいのだろうか。
    個性尊重と管理強化の間をゆれ動く既成の教育論に楔を打ち込み、「腰肚文化」に代表される伝統的な身体文化の継承を提案する。

    [ 目次 ]
    第1章 「キレる」とは何か
    第2章 「キレる」の裏に「ムカツク」がある
    第3章 「がんばる」と「楽しむ」のあいだ
    第4章 エネルギーを出し切って技に替える
    第5章 戦後教育が見すごしたこと
    第6章 「腰肚文化」を再生する

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

全17件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

岐阜聖徳学園大学教育学部教授

「2024年 『「憲法上の権利」の体系』 で使われていた紹介文から引用しています。」

斎藤孝の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
あさの あつこ
宮部みゆき
デールカーネギ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×