パラサイト・シングルの時代 (ちくま新書 218)

著者 :
  • 筑摩書房
3.18
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本棚登録 : 338
感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480058188

作品紹介・あらすじ

三〇歳を過ぎても親元に同居して、レジャー旅行にブランドものに、リッチな生活を謳歌する気ままな独身男女-パラサイト・シングル。今の日本には、こんな連中が一〇〇〇万人もいる!いったいなぜ、こうした人種があらわれ増殖したのか?そして、自立と苦労を厭い現状維持を望む彼らがになう日本社会の未来像とは?パラサイト・シングルの生態を分析することで、未婚化・少子化現象、さらには経済不況まで、今の日本が抱える数々の問題を、すっきり理解することができる。精緻な社会調査をもとに、いつのまにか一大勢力となっているパラサイト・シングルの実態を探り、変わりゆく現代日本人の生活とその未来を鋭く洞察する。

感想・レビュー・書評

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  • 2011/10/11(~120) 12(~204終)

    パラサイトシングル=フリーターもしくは社会人で親元で生活するものの事。
    パラサイトシングルは社会の不景気を増幅させるらしい。

    完全に私だった。

  • 不況も少年犯罪の増加も、晩婚化・少子化もなんでもかんでもパラサイト・シングルのせいにして、とにかく若者を批判しています。■「一人暮らし=自立」だとして、家を出ることばかりを主張しますが、それで諸問題が解決すると本気で思っているのでしょうか?仮に全ての未婚者が一人暮らしをしたとすると、それこそワーキング・プアだらけになってさらに不況・晩婚化・少子化が進むことになるのは明らかです。そもそも「一人暮らし=自立」という公式が成り立つかどうかも疑問ですが。■1000万人の若者が「甘え」で親と同居しているはずがない。お金さえあれば、一人暮らしして自由気ままに過ごし、恋人と半同棲的な生活を送りたいに決まっているじゃないですか。 ■著者には、一人暮らしではとてもやっていけない低収入の人がいる、という発想がないのかもしれません。経済・社会問題は、まず経済・社会構造にその原因を探してください。

  • 山田昌弘著『パラサイト・シングルの時代
    (ちくま新書)』(筑摩書房)
    1999.10.20発行

    2020.3.3読了
     『入門家族社会学』(新泉社)で、「今こそ冷静になってこの本を読んでほしい」との一文があったので、読んでみた本。
     パラサイト・シングルとは「学卒後もなお、親と同居し、基礎的生活条件を親に依存している20歳から34歳までの未婚者」のことである。筆者は、「パラサイト・シングルは、一人暮らしなら負担しなければならないコストをほとんど負担せずに、高い生活水準を享受(p37)」していると分析して、その数は1000万人いると分析している。しかしながら、『入門家族社会学』で批判されていたように、この1000万人という数字は、あくまでも「未婚で親と同居している20~34歳の人々」の概数にすぎず、この中には、親と同居しながらも自律的に暮らしている人や、逆に親の介護をしている人も含まれている。その訳は筆者の統計のとり方をよく読めば理解できる。1995年の国勢調査のデータを加工して、男女の年代別の親同居未婚者を分析したところ、20-24歳の男性人口のうち59.3%、20-24歳の女性人口のうち65.1%、25-29歳の男性人口のうち39.9%、25-29歳の女性人口のうち35.1%、30-34歳の男性人口のうち21.7%、30-34歳の女性人口のうち13.1%が親同居未婚者であり、これを実数で捕捉すれば約1000万人になるとしているのだ(p59)。もちろん、当時、未婚者を親同居未婚者と一人暮らし未婚者で分けて集計したり、分析したりする試みがほとんどなかったため、正確な数字を拾うことが困難だったという事情もある。その後の本格的な統計調査で、このような世帯ではむしろ世帯収入が低く、子どもも家計にお金を入れて相互依存で暮らしている親子が多いことが明らかになっている(『入門家族社会学』p124)。つまり、筆者が言うようなリッチなパラサイト・シングルは、1000万人のほんの一部分にすぎない可能性が高いのだ。
     では、この本は全く無意味だったのかと言うと、そういうことでもなく、親と同居している未婚成人子が1000万人もいるということは、当時の常識を大きく揺るがすセンセーショナルな問題提起であった。当時の常識では、「成人子と親の同居」と言えば、老親が長男夫婦と孫と同居している三世代同居が典型と考えられてきたのだ(『入門家族社会学』p124)。
     筆者は、パラサイト・シングルの成立条件として3つの側面をあげている。すなわち、①親の側に子どもを依存させておく意思と、依存させておく経済的余裕があること、②豊かな親の元に育った若者にとって、結婚が生活水準を下げるイベントになってしまったこと、つまり、子の「自立」の水準が上昇したこと、③「夫は仕事、妻は家庭」という「標準ライフコース」の規範があまりに強くなり、多様なライフスタイルをとって親から自立するのを妨げていること、である(p163)。
     これらの要因は全て社会側にあり、決して個人側にはないことがお分かりいただけるだろう。1970年代半ばから、先進国では経済成長の低下を経験しており、その第一波はまず若者に直撃したわけだが、その後の展開を眺めると、各国で大分様相が異なっている。アメリカのような移民国家においては、自分で自分の生活を切り拓いていくべきだというフロンティア精神が尊ばれ、若者は恋人やルームメイトを見つけて、規模の経済を利用する。したがって、出生率も高く保たれるが、離婚率も高く、社会階層の格差が激しい。逆にスウェーデンでは、親の代わりに国家の手厚い社会保障制度によって若者を支えている。しかしながら、その財源は中年世代の税負担によっており、自分の子どもにお金をかける代わりに、政府を経由して次世代の生活を支える構造となっている(p149-p156)。
     これらはいずれも資本主義国だが、結局のところ、各国さまざまな内情を抱えているにせよ、経済的に弱い若者は何かに依存しないと生活できないことが分かる。日本は親に依存し、アメリカは自助(カップル)に依存し、スウェーデンは福祉サービスに依存している。国民経済という枠組みがある以上、少子化によって人口が減るということは端的に生活水準の低下をもたらす。しかし、地球の生態系の規模で考えた場合、人類のこれ以上の増加は望ましいのであろうか。人間、起きて半畳寝て一畳天下取っても二合半である。映画「千と千尋の神隠し」のカオナシのセリフで「欲しがれ」というものがあるが、永遠に欲望を生み出さないと回らないこの資本主義システムにこそ、私は問題意識を持ってしまう。ケインズはちなめば、「国家を富ます資本主義は、地球全体を貧しくする」(p103)のではないだろうか。

    https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002836523

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/38294

  • 20年前に書かれたとは思えないほど、現代の状況とも当てはまる。
    パラサイトシングルの生活状況、問題点、発生した時代背景、海外との比較がなされている。
    生活状況とかは読んでてあるあると思ったり、こんなことにもパラサイトシングルが関係したのかと新しい発見があって、さくさく読めた。

  • 時間があれば

  • 「少々の苦労があるかもしれないと思って新しい世界に入ることができる人が、結婚して子を産み育てられる。この苦労の覚悟ができない人が、パラサイトシングルに留まっているのである。」

    ケインズ理論が底辺にありそうで、提案されている政策には賛成しかねる部分も多い。

  • 親と同居している独身の人間をこの本ではパラサイトと呼んでいる。この本が出版された11年前に流行したようなしないような単語である。生活費を親に入れずに親の家に住み贅沢三昧するのであればそう呼んでもいいのかもしれないが、単に親と同居する人をパラサイトと呼んでしまうと失礼であると思う。24章にわけて社会を説明していたがパラサイトと直接関係するであろう章は数章で、あとはパラサイトにこじつけて、パラサイトと言いたいだけやろと突っ込みたくなった。他の人のレビューを見てみると私と同じように思っている人が多かった。(笑)

  • 1999年著なので16も前の本です。
    今読んで、う~ん、どうかな、あまり同意はできないかな。親と一緒にすむのが問題ではなく、経済的に自立していない、できない社会構造になっているのが問題なのであるような気がします。親と同居する成人のいる家族のありたかは、別に否定されることはないと思いました。

    パラサイトシングルの負の部分の訴えよりも欧米との文化や社会システムの違いが興味深かったです。

  • パラサイトは「寄生者」。親の脛を齧っている独身者のことで、そういう時代の分析。

    【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

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著者プロフィール

大阪府出身。京都大学法学部卒。華々しい英雄伝が好きですが、裏話的なテーマも、人物の個性をあぶり出してくれるので、割と嗜みます。著書に『世界ナンバー2列伝』(社会評論社)など。

「2016年 『童貞の世界史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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