デモクラシーの論じ方: 論争の政治 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480058942

感想・レビュー・書評

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  • マケプレ本
    対話篇

  • 多様なデモクラシーをめぐる論点について対話形式で書かれた本。
    対話しているので、非常にわかりやすく読める。
    対話する人もリベラルな人とコンサバな人が対置されて議論が進んでいくので、どっちの人はこう考えるのか、ということも理解しながら読める。

    論点の深掘りや分析を行う本ではないとので、論点が発散する印象ではあるが、著者があとがきにも発話の契機にしてほしい、みたいなことを述べていたので、入門的な位置付けで読めばいい気がした。

  • 民主主義についてAとBの対話形式で考えていく本。普段何気なく使っている民主主義という言葉の意味について考えさせられた。しかし、筆者の主張が曖昧だったのが残念だった。

  • デモクラシー(民主主義)って、わかるようでいて分からない。学校では金科玉条のごとくおそわってきたけど、最近の政治をみていると、まさに「多数者の専制」なのではあるまいか。ずっと対話形式で綴られているのは、政治学だけにプラトンを意識したのかしらん⁇

  • 〈2者が討論していくディベート形式〉

    多数決で行くべきかどうかを、多数決で決めても良いものかどうか。p10

    決め方をどう決めるか。p16

    多数派が横暴に振る舞うようになると。19世紀にトクヴィルやJ•S•ミルが憂慮したような「多数者の専制」という事態になりかねない。つまり、ある一団の人々が常に自分たちの意見を押し通し、少数派の権利をないがしろにする状態に。p26

    【欠乏と過剰】
    僕が危惧しているのは、民意が無視される状態、つまり民意の政治への反映がゼロの状態だ。一方、君が憂慮しているのは、民意が暴走している状態、つまり民意が無限大の状態だからね。p34

    デモクラシーというものは、本来、古代ギリシャのポリスのような数万人か、せいぜい数十万人くらいの規模の政治社会を前提にしていたものだ。つまり、全員参加の会合を行えるくらいの単位を前提としていた。人々が集まって、政治的な問題について直接に議論し決定することができるというのがデモクラシーの原型だ。ところが現在国民国家を形成しているとされる国民集団は、数百万人規模なら例外的に小さいほうで、数千万人から億単位の規模だ。こんな規模で、デモクラシーができるのか、というのは当然疑問視とすることができるだろう。p94
    →苦肉の策としての代表という制度。民意を本当に代弁できているにか?

    民意はもともとあるものではなく、選択肢を示すことによって形成される。二大政党制のような、単純化された選択構造を求めることとも結びつきやすい。PとQのような2つの選択肢しか示さなければ、人々は、自分がPに近いかQに近いかを考え、どちらかにくっつく民意が形成される。p105

    誰か天才的な人物の直観が政治についての最終的な真理を発見できるという、エリート主義的な考え方とは異なり、デモクラシーは人々の多様な意見に期待するもの。p190

  • ゼミの課題図書

    2人の対話形式でデモクラシー論を展開している

    デモクラシーは不断の議論に拠るってこと?

  • ひとくちに「デモクラシー」と言っても、その運営の仕方は様々であり、はっきりと決まった(=理想的な)型があるわけではない。直接民主制がいいのか、間接民主制がいいのか。選択肢は2つでいいのか、それとももっと必要なのか。決定は常に多数決でいいのか。そういった論点を対話形式で考えていこうとする試みである。この作品の著者は「政治思想」「政治理論」がご専門というだけあって、内容は非常に「ピュア」。悪く言えば、政治学者の割には地政学的観点や文化的観点に乏しく、机上の空論のように見える部分も少なくない。

著者プロフィール

1957年生まれ。名古屋大学理学部物理学科卒。素粒子物理学専攻。東京工業大学像情報工学研究施設に研究員として2年間在籍。コンピュータ・ヴィジョンの研究に従事。科学哲学、人工知能、美学に関する評論活動。著書『メカノ──美学の機械、科学の機械』『ノード──反電子主義の美学』(いずれも青弓社)。

「年 『メカノ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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