- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480059949
作品紹介・あらすじ
国家はいま、激流にさらされている。わが国内にあっては、景気低迷、財政逼迫、少子高齢化といった問題を抱え、対外政策においては、テロリズムの続発、地球環境破壊といった問題を抱えている。こうした状況にあって、国家が担うべき「役割」とは何か?そもそも国家は、どのような役割を引き受けてきたのか?こうした問いに答えるべく、本書は、「力の体系」「利益の体系」「価値の体系」という三つの視点から国家の役割を整理し、グローバリゼーションが進展する中で、国家はこれからどうあるべきかを展望する。民主主義体制を成熟させるためにも、「国家の役割」を考えることは重要であり、本書はその貴重な手がかりを提供する一書である。
感想・レビュー・書評
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国家は国民と対立する存在でもなければ、一方的に国民に対してサービスを提供してくれる存在でもない。国家の役割は秩序を形成し自由を守ることにある。
本書は国家権力は往々にして生々しく曖昧で判り難いものであるが、国家の役割を整理し理解するために切り口を与えてくれる。
国家は力の体系であり、利益の体系であり、価値の体系である。この国家の三つの側面は「国民の生命と財産を守る」「国民の生活を向上させ福祉を増進させる」「国民に対して真偽、善悪、美醜の価値基準を示す」という意味をなすものだが、この三つの側面がバランスよく保ててはじめて健全といえる。
力の体系は安全保障のことだが、中東を見てわかるように中央政権が脆弱だと無秩序となり、そこにあるのはホッブズのいうような万人の万人による闘争で自由は存在しない。日本においては法律解釈によるこまごまとした議論よりも、脅威に対して自衛隊をより実質的なものにする必要がある。
利益の体系においては財政状態をみて分かるように国民が国家に過剰に期待する有様はもはや限界に来ている。
規制改革を通じて国民に対して直接に利益を提供することから、利益を得る機会を数多く設けることへ転換するべきである。
価値の体系ではアイデンティティの創造が求められる。日本のアイデンティティが何によって支えられているのかを心得、自前の拠りどころを支えにして、独自のやり方でアイデンティティを磨き続けなければならない。アイデンティティをもつということは決断する際の基準をもつということ、それは自らの生き方に自信と責任をもつという意識のあらわれである。
どうしても自分自身と国家の距離を近づけることができない、国家の存在を感じることができないということがあるが、私たちは国家を離れて無国籍には存在できない。
民主主義が定着した日本において国民が国家をかたちづくる当事者であることは間違いなく、そのことを自覚することなしには日本の成長は望めない。 -
いずれの国でも国家治安にあたるのは警察組織。
利益の体系として国家の役割はどのような政策を通じて果たされてきたか。国内政治の文脈でいえば、産業振興、民生安定、国土開発。
田中角栄の政治手法は誘導の政治。
異民族による最良の統治ですら、自民族による最悪の統治に歯及ばない、という言葉にも暗示されるように、それぞれの民族にとって自前の国家を持ちたいというのは自然な感情。 -
[ 内容 ]
国家はいま、激流にさらされている。
わが国内にあっては、景気低迷、財政逼迫、少子高齢化といった問題を抱え、対外政策においては、テロリズムの続発、地球環境破壊といった問題を抱えている。
こうした状況にあって、国家が担うべき「役割」とは何か?
そもそも国家は、どのような役割を引き受けてきたのか?
こうした問いに答えるべく、本書は、「力の体系」「利益の体系」「価値の体系」という三つの視点から国家の役割を整理し、グローバリゼーションが進展する中で、国家はこれからどうあるべきかを展望する。
民主主義体制を成熟させるためにも、「国家の役割」を考えることは重要であり、本書はその貴重な手がかりを提供する一書である。
[ 目次 ]
第1章 人間にとって「秩序」とは何か
第2章 恫喝よりも誘導、誘導よりも説得―「政治」の三つの手段
第3章 「力の体系」としての国家
第4章 「利益の体系」としての国家
第5章 「価値の体系」としての国家
第6章 揺らぎ始めた国家の姿―グローバリゼーションと国家
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[ 参考となる書評 ] -
タイトルを見て、気になったので買ってみた。
何気なく買った割に、普通に良書。
国家の役割が非常にわかりやすく”整理”されている。
タイトルが気になったら、ぜひ買って読んでみてください。