- Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480061546
感想・レビュー・書評
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幕末の博徒の姿を可能な限り一次史料で追いかけてみた一冊。
竹居安五郎や黒駒勝蔵といった、ともすれば脇役敵役になる人物の活動と顛末を追っている。史料上の制約もあるんだろうけど、駒蔵の幕末維新の活動のところは推測が多いのが気になった。
ただ全体としては、こういう世界もあるのか、と素直に面白い。
関八州が舞台なので、富士川舟運や五街道の話もちらほらでてくる。交通史・流通史に関心がある身としては、彼らの活動によって交通や物流にどんな影響がでるのか興味でた。 -
時代劇や小説ではなく、文献史学としての稗史。
流刑の島である新島から、名主を殺害して島抜けした博徒竹居安五郎から始まる。黒船がやってきたあわただしい当時の時代背景、安五郎の家族、連鎖する血で血を洗う抗争、そして天敵である関東取締出役との関係。
全部繋がってるんだなーと感心しきり。後半の方はやや駆け足で、著者様は理解できてるかもしれないが読んでる方は「ん?」と思う場面もあったけれど、素直に面白かった。
芝居や小説は読んだ事がなかったので、これを機に読んでみたい。 -
[ 内容 ]
嘉永六年(一八五三)六月八日深夜、伊豆七島の流刑の島新島から、七人の流人が島の名主を殺し、漁船を盗み、島抜けを敢行した。
そのリーダーが、清水次郎長の敵方として知られる甲州博徒の巨魁、竹居安五郎である。
奇しくもペリー提督率いる黒船が伊豆近海にあらわれた直後であり、韮山代官江川英龍も島抜けを見逃すしかなかった。
この黒船来航をきっかけに、歴史の表に躍り出た博徒侠客たち。
錦絵や講談・浪曲、大衆小説等でおなじみの竹居安五郎、勢力富五郎、武州石原村幸次郎、国定忠治、黒駒勝蔵、水野弥三郎らのアウトロー群像を、歴史学の手法にのっとって幕末維新史に位置付け直す、記念碑的労作。
[ 目次 ]
第1章 黒船と博徒竹居安五郎―嘉永六年六月八日夜(竹居安五郎新島を抜ける;流刑の島新島 ほか)
第2章 博徒の家と村―博徒はいかに生まれしか(甲州八代郡竹居村;水論と山論の村―外に向かう竹居村 ほか)
第3章 嘉永水滸伝(水滸伝の近世;勢力富五郎関東取締出役を翻弄す ほか)
第4章 博徒の明治維新―黒駒勝蔵と水野弥三郎(竹居安五郎の復活と謀殺;草莽の博徒黒駒勝蔵 ほか)
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
分類=幕末維新・博徒。04年2月。歴博の企画展示「民衆文化とつくられたヒーローたち」(04年3〜6月)と連動。(参考)国立歴史民俗博物館→http://www.rekihaku.ac.jp/