金融史がわかれば世界がわかる―「金融力」とは何か (ちくま新書)

  • 180人登録
  • 3.35評価
    • (7)
    • (11)
    • (42)
    • (3)
    • (0)
  • 11レビュー
著者 : 倉都康行
  • 筑摩書房 (2005年1月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480062161

金融史がわかれば世界がわかる―「金融力」とは何か (ちくま新書)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 金融がどのように発展して行ったのかを歴史をひもときながら、解説してくれる。

    以下に興味深かった点を述べておく。

    ①金本位制と通貨価値
    金が流入すれば、それだけ通貨の流通量は増えるため、インフレーションが起こる。この現象を拡大すると、金本位制のもとでは、貿易収支が長期的には均衡に至ることを説明出来る。貿易黒字国は輸出超過によって大量の金を備蓄することができ、金を通貨に交換することで市場の通貨供給量が増加する。すると、物価が高騰し、インフレーションが起こる。インフレーション下では、他国の財の方が自国の財よりも、相対的に安くなるために輸入が促進される。よって、貿易黒字国の輸入が増加し、結果的に貿易収支は均衡に至る。

    ②貿易収支と通貨価値
    円安であれば貿易黒字になることは自明の理である。輸出ではドルを始めとする外国通貨で利益を得るため、円に換算する必要がある。このとき、米国ドルが売られて日本円が買われるため、円高ドル安が進むことになる。同様に、貿易赤字または経常収支が赤字であれば、円安ドル高が進むはずである。しかし、実際には、こうした自動調節は起きていない。その大きな原因は、投機的取引やファンダメンタルズに応じた為替レートの変動である。

    ③スタンダードプアーズの始まり
    格付け会社として有名なスタンダードプアースの始まりは、19世紀後半にまでさかのぼる。当時鉄道の建設ラッシュで景況感が良かった米国では、鉄道会社が雨後の筍のように乱立し、収益性の高い会社とそうでない会社を見極めることが困難であった。この点を克服するために、スタンダードプアースは、鉄道会社の信用情報を金融機関に売却し、優良債権と紙屑の区別をしていた。

    ④金本位制の問題点
    金本位制の最大の問題点は、デフレの進行である。通貨供給量と金が厳密に固定化されているため、金の裏付けなしに、通貨供給量を増加させることができない。経済規模が拡大していくにつれて、さらに通貨供給量は必要とされるはずなのだが、金本位制では経済の拡大スピードと通貨供給がマッチしない。ゆえに、デフレへと陥る。

    ⑤スワップは金利の交換
    例えば、固定金利と変動金利でそれぞれ100万円を別々の人が取引しているとする。固定金利であれば、デフレになった際にも安定的に利回りを得ることができる。一方、変動金利であれば、インフレになっても資産の目減りをふさぐことが出来る。こうした2つの金利を交換するのがスワップ。

    ⑥証券化
    土地や教育ローンなど流動性に欠ける資産を証券化する。具体的には、それらの資産をもつ企業などが特別目的会社に資産を譲渡し、特別目的会社が証券を発行する。

  • 面白かったし、金融の歴史についてもっと深く知りたいと思った。

    金の精錬技術が発達する前は、銀本位制だった。アメリカ大陸で銀が豊富にとれたことにより、欧州はインフレに。16世紀前後の日本の銀も影響。価格革命。
    次第に金の価格が対銀比上昇、英国でも頭の痛い問題、ニュートンが造幣局長官として対処→結果として金本位制への契機に。
    1816年に本格的な金本位制に(〜1931年迄)
    20世紀初頭も、まだ金融観の中心。ポンド→ドルへの覇権争いの間でも。
    金と銀の交換比率は、長い間為政者の悩みの種だった。南北戦争もあって、FRB成立は遅かった。
    第一次世界大戦後、傷ついた欧州諸国に対してアメリカは債権国としての存在感を高めた。

    ユーロは実験
    ①為替リスク
    1.為替リスク消滅による資本市場の変化。欧州は国数も多く、輸出入の財務管理が極めて煩雑、無視できないコストがかかる。
    2.機関投資家にとってもポートフォリオにおける為替リスクの管理を簡素化。
    ②欧州諸国の財政赤字問題
    財政赤字をGDPの3%以下に抑制(うまくいってないが)

    スワップとは〜現在価値が等しいキャッシュフローの交換。

    1970年代〜USドルの弱体化
    1980年代〜レーガン時代、強いドルへ

    著者曰く、日本の金融にも優れた材料はある。インフラ、人材、熟練度の高い外為、集金能力の高さ、決済機能、有価証券管理等、資本の蓄積もある。

    金融立国は、金融でメシを食うのではなく、金融の円滑化を通じて経済の活性化を図ること、とのこと。至極同感というか、仰る通りだと思った。

  • 金融史を俯瞰出来る

  • [ 内容 ]
    本書は、世界の金融取引がどのように発展してきたかを観察しながら、今後の国際金融の展望を、実務的な視点から考えたものである。
    国際金融という場には、金や銀という一時代前の地金の問題や、中央銀行の役割、変動する為替市場、金融技術、資本市場といった現代的な問題が複雑に絡み合っている。
    これを網羅的かつ歴史的に捉えることを試みる。

    [ 目次 ]
    第1章 英国金融の興亡―地金からポンドへ(ポンドと銀貨の長い歴史;ポンドがめぐり英国経済はまわる ほか)
    第2章 米国の金融覇権―ポンドからドルへ(英国はなぜ動脈硬化に陥ったのか;新興国アメリカの挑戦 ほか)
    第3章 為替変動システムの選択―金とは何だったのか(ブレトンウッズ体制の時代へ;変動相場制の幕開け ほか)
    第4章 金融技術は何をもたらしたか―進化する資本市場(先物取引の誕生;金融技術はどう利用されたか ほか)
    第5章 二極化する国際金融―ドルvsユーロの構図(ユーロの驚くべき金融力;米国の金融覇権を支えるFRB議長 ほか)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • ポンドからドルへの基軸通貨の変遷や金本位制からドル本位制への移行がいかにして生じたかという歴史をたどることで、金融力という概念が経済力やその他の概念とは独立して存在するパワーであることを明らかにする。
    その歴史はブレトン・ウッズ体制に象徴されるような国家間のパワーシフトという側面と、デリヴァティヴスをはじめとする金融技術の進化の側面を併せ持つ。基軸通貨=ドルに陰りが見え始めた21世紀、次の時代に向けた金融力を蓄えるためにとるべき方策とは何か、本書は明確にはしていないが、大筋でグローバリゼーションを背景とした金融自由化の流れを肯定していることは間違いない。
    ただ、金融の自由化が様々なプレイヤーを金融市場に呼び込むことで、短期的な不安定や急変動が生じても長期的には安定した金融市場の成長が見込まれる、という著者の説は一見もっともなようだが、それはあくまで金融市場(関係者)にとってという前提でしかない。昨今のサブプライム危機や投機的資金によって引き起こされているとする原油価格の高騰をみても、その福利を享受している人々の傲慢が金融市場のリニアな発展を阻害する段階となりつつあるのではないか、という懸念を強くしている。

  • 2011/6/14
    正直少し難しかった
    あ、陰謀論本じゃないです。

  • 経済と密接な関係にある金融。その歴史的変遷と今後について書かれています。
    読むのに時間かかりましたが、内容は素晴らしいです^^
    詳しい金融技術や知識が得られる訳ではありませんが。。

  • 日本語が読み辛い

  • やーっと読み終わった!わたし読むの遅いなー。
    しかしこれタイトルは「金融史〜」だけど、サブタイトルの「金融力」がメインである。まあ「金融史がわかれば世界がわかる」なので、歴史の本ではないんだけどさ。
    なので、最初はイギリスポンドの覇権の話から入っていかにも金融史なのですが、途中からわりかし細かい金融のしくみに関する文章が増えてきて、初心者にはちょっとだるい。だから前半と後半はすぐ読み終わったけど、3,4章は正直めんどくさーとすら思ったw
    あと、時代の流れの問題ではあるのだが、ユーロの金融力とかどるとユーロの二極化とか言ってしまっているのが今になってみると虚しいね。ユーロがどーにか持ち直してまた発展したらこの著者たいしたもんだけど。それでも「ユーロの金融力(笑)」とか言いたくなっちゃうくらいには寒々しいものが…。
    「金融力」の概念に触れられたことは大きな収穫でした。

  •  19世紀から21世紀まで、世界の金融覇権史を追う本書。経済力や政治力だけでは定義されない、金融市場の整備度や金融機関の経営力を含む「金融力」という概念を定義し、「金融力」のある、つまり魅力溢れる市場にこそ世界の資金が集まり、金融覇権が形成される、というのが本書における筆者の気づきのようだ。

     そして現在の金融理論で中核を占めるようになってしまった、金融工学にも筆者は肯定的。サブプライム問題の顕在化前に上梓された、との事情もあろうが、金融工学のうち半分はサブプライム後の今でも世界の金融市場を支えているのは事実であり、徒な悲観論に走らない姿勢も必要だろう。ただ残り半分の金融工学について現在はどう評価するのか、筆者の近著を見てみたいところだ。

     日本の金融力のポテンシャルは高く、市場規模も大きい。ただし金融機関経営も政治も、そして市場参加者も基本的に内向き。この辺は例えば、日本の国内需要に安住し、世界シェアを追えない携帯電話メーカーに似ている。かつて世界的な金融機関に伍する収益力を、と唱えた頭取がいたが、金融機関の貪欲さが金融覇権の必須条件だとすれば、そのような経営とは一線を画すのも、金融機関や金融市場の生き方として、世界で認められうるかもしれない。

全11件中 1 - 10件を表示

倉都康行の作品

金融史がわかれば世界がわかる―「金融力」とは何か (ちくま新書)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

金融史がわかれば世界がわかる―「金融力」とは何か (ちくま新書)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

金融史がわかれば世界がわかる―「金融力」とは何か (ちくま新書)を本棚に「積読」で登録しているひと

金融史がわかれば世界がわかる―「金融力」とは何か (ちくま新書)はこんな本です

ツイートする