- Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480063946
作品紹介・あらすじ
いまやうつ病は国民病、あるいは生活習慣病といってもいいほど一般的になった。だが、この疾患に対しては、軽症の場合でも経過を観察するだけでは不十分である。症状が進展すると、長期にわたる仕事からの脱落、さらに重症の場合は自殺へとつながってしまうからである。本書では、これまで一般に信じられてきたうつ病に関する診断や治療の誤りを正すとともに、患者および家族の指針となる臨床的な事実を提示する。
感想・レビュー・書評
-
現場主義の精神科医の書いた本が、このタイトル。
地に足がつく・・・
というか、
知識もあってそのうえで、
実際どうかって対処を毎日されてるってことだから、
ハッとするような箇所がある。
これから(精神疾患のことを)勉強していくうえで、
この人の本を読んでおきたいなって思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
図書館で借りた。症状あてはまるな
-
面白かった。さすが岩波先生!
再読2020.8.27
うつにも、妄想型とかあるんだな。やはり面白かった -
事例と事実、実際の統計を淡々と記載しながら、つい引き込まれていく一冊だった。「うつ病」はメディアなどでも、「こころのカゼ」などと軽く扱われているが、日本の自殺人口は増加の一途をたどる現在、うつ病は「こころのカゼ」などとは決していえない。
他の著書についても、名指しで批判できる専門性と事実に基づいた見解は、一度読んでみてもいいのではないだろうか。 -
淡々と症例が載っていて、一般人にはとっつきにくいかも。
-
松沢病院など著名な病院で臨床の現場を見てきた医師によるうつ病の啓発本。生々しい症例からうつ病が怖い病気と分かる。また、適切な治療で改善することも分かる。
ただ、近年増えている仕事のストレスによるうつ病はあまり語られず、復職のノウハウもなく、妄想を伴ったり事件を起こしたりという極端に重症な例ばかりなので、「休職の診断書をもらった」とかいう状態の人が読むのはちょっときついかもしれない。
高田明和氏や生田哲氏が名指しで批判されているのは笑える。
彼らを支持する人からは製薬会社と結託してるのか! と言われそうだが、本書では抗うつ薬の効果がプラセボに対してそれほど高くないこと、製薬会社に不利な研究成果を発表したヒーリー氏がイーライリリー社から圧力をかけられたことなども書いてある。
副作用が多く効果が低い抗うつ薬であっても、医師が適切に使えば効果を挙げられるというのが、説得力をもって伝わってくる。うつ病バブルで世に出つつあるトンデモ系医療批判本により、医師や薬への信頼が壊れかけている方にこそ、この本をお勧めしたい。
世相と自殺との関連の考察はそれほど傑出した感じは受けなかった。一部共感できないところもあるので星は4つにとどめた。 -
[ 内容 ]
いまやうつ病は国民病、あるいは生活習慣病といってもいいほど一般的になった。
だが、この疾患に対しては、軽症の場合でも経過を観察するだけでは不十分である。
症状が進展すると、長期にわたる仕事からの脱落、さらに重症の場合は自殺へとつながってしまうからである。
本書では、これまで一般に信じられてきたうつ病に関する診断や治療の誤りを正すとともに、患者および家族の指針となる臨床的な事実を提示する。
[ 目次 ]
序章 うつ病の刻印―ヘミングウェイ、最後の日々
第1章 死を招く病
第2章 うつ病の薬物療法
第3章 気分変調症(ディスサイミア)
第4章 うつ病は増えている
第5章 抗うつ薬は危険か?
第6章 自殺者の国
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
「うつ」「うつ病」という言葉が普通に一般的に使われるようになって久しい。これにより、気軽に周りに相談もでき、一人で悩まなくなる人も増えたのではないでしょうか。うつ病の早期発見・早期治療につながる素地ができたとも言えます。
しかしその一方で、“うつは心の風邪”というくらいの軽い認識でしかない人も増えているのではないでしょうか。この傾向は一般的な人ばかりではなく、専門家にとっても同様で、軽く扱われているうつ病に対して著者は警鐘を鳴らしています。著者は、うつ病の25%は妄想を伴い、自殺や犯罪といったものにまで発展する可能性を秘めており、決して“心の風邪”程度に楽観視をすることはできないと説いています。
本書はアーネスト・ヘミングウェイが自殺をするまでの晩年の様子から始まり、死に至ることもありえるうつ病の実態を伝えています。本書に挙げられているその他の実例は、極端な例なのかもしれませんが、最近のうつ病はとても危うく、真剣な取り組みが必要であると痛感させられます。
次の第二章「うつ病の薬物療法」は、うつ病に対する薬の説明で、うつ病の薬の種類、薬の利き方、処方の選択、安全性と副作用などが書かれており、まとまりがあって参考になります。
第三章は「気分変調症(ディスサイミア)」が取り上げられています。本書によると、気分変調症の概念は、軽度の抑うつ気分、生活全般にわたる興味の消失や、何事も楽しめないという気分が2年以上続いている状態を指し、疲労感が持続したり、「自分には価値がない」という考えや、自己嫌悪、罪悪感などを伴うことが多いという。以前は性格によるものと思われていたようですが、うつ病の薬が効くということで、うつ病の一つとして捉えられるようになったということです。
この後は、「うつ病は増えている」「抗うつ薬は危険か?」「自殺者の国」という章が並んでいます。
本書の著者は臨床家で、著者自身、臨床からかけ離れた精神科医を批判しており、臨床を大事にしているという点では、とても好感が持て、また、時に批判めいた記述もありますが、全体的には冷静で、本来のうつ病の怖さや、うつ病の最悪のケースを伝えていると思います。本書を通じて一貫しているのは、「うつ病は心の風邪なんかではない」という考え方で、うつ病は死の危険もある怖い病気であるということで、それを頭に入れながら読む本ではないかと思います。
よって内容は、従来の病気としてのうつ病のお話しと、それを取り巻く薬のことなどが本書の主題で、最近のプチうつのようなものは書かれておらず、この両者の線引きや分類も書いてありません。また、うつ病の方にどうやって接してあげたらいいかということも書いてありません。これはおそらく、著者自身がより深刻なうつ病を扱う臨床家で、その怖さを垣間見ているからこそ、その記述が中心にならざるをえず、決してうつ病の危険性を煽ったりしているのではないと思います。
本書は最近多く見られる軽いうつ傾向を解説する本ではなく、より深刻な病気としてのうつ病を取り上げたもので、うつ病へのアドバイスを書いたものではないので、うつ病の方が読む本ではありません。周りにうつの方がいたり、仕事でうつのかたと接することがある方などが、最悪のケースを想定してお付き合いをする必要があると思って読んでおくものだと思います。一般的にうつ病を知りたかったり、うつ病の分類を知りたい方には不向きだと思います。サブタイトルの“まだ知られていない真実”というのは大げさで不適切だと感じます。 -
うつ病の症状や治療法などに関する解説の合間に、うつ病患者に関する個別具体的なエピソードが挿入されているという形式をとっており、うつ病とはどんなものなのか知りたいというレベルの人におススメ。
ただ、殺人・放火・自殺など具体例がいちいち深刻なので、うつ病患者には読ませない方がいいです。そもそも著者のスタンスが「うつって皆がいうほど軽い病気じゃないぜ」という感じだし、うつを治す当人にはあまり目線が向いていない気がする。
「ここまでショッキングに書くと偏見をあおる」的な批判を目にしたが、むしろ最悪のケースを想定するためという意味で本書ぐらいの書き方をした方が有益だと思う。
350円。 -
●本の内容
いまやうつ病は国民病、あるいは生活習慣病といってもいいほど一般的になった。だが、この疾患に対しては、軽症の場合でも経過を観察するだけでは不十分である。症状が進展すると、長期にわたる仕事からの脱落、さらに重症の場合は自殺へとつながってしまうからである。本書では、これまで一般に信じられてきたうつ病に関する診断や治療の誤りを正すとともに、患者および家族の指針となる臨床的な事実を提示する。