建築史的モンダイ (ちくま新書)

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著者 : 藤森照信
  • 筑摩書房 (2008年9月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480064295

建築史的モンダイ (ちくま新書)の感想・レビュー・書評

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  • 形式ばった建築書ではなく、専門以外の人にも読みやすい本。
    さらっと読めて、フジモリさんのこだわりも垣間見え、読んでよかったと思った。

  • 新書文庫

  • 建築史家、建築家の藤森照信が建築史にあるさまざまなモンダイについて独自理論を展開する一冊だ。
    煎茶の茶室には炉をきらない、とか、コンクリート打ちっぱなしの変遷と歴史とか、コンニャクレンガの話とか、へえ、とか、ふーん、といったちょっと面白い話が集められていて、読んでいて楽しい。
    難しい話はなく、建築史、というタイトルではあるけれども系統だって歴史を学ぶわけではなくて、話はあっちへとんでこっちへとんで、と博識な人の雑談をリラックスしながら聞いて楽しんでいるような親しみやすさがある。
    それにしてもこの人の好奇心の旺盛さとかバイタリティってすごいなぁ。感服。

  • 和洋の建築の在り方についていろいろ考えを巡らせることができた。(図らずも北欧旅行とも共鳴。)

    やはり欧州の建築は「石」でつくられてきたというのが日本との大きな違いだと改めて了解した。そしてこのことゆえに、建築を豪華にしていく術は、とりあえず彫刻に結実されるのである。

    また、街のランドマークたる「高い教会」も日本との違いとして大きなところであり、それが日本の「城」に影響したという説にも合点。

    その他、宗教建築のタテヨコの話、内部だけを木造化することとした内田祥三の準木造の話、など面白かった。

  • 建築の問題を歴史的な観点から指摘した本。もともと複数の書籍や雑誌に掲載されたものを転記、加筆が行われているので一貫して同じ問いを考えているわけではない。屋根について、自然調和について、建築の材質についてなど章が変われば急に話題も変わり読んでいてちょっとびっくりする。建築の世界は長い歴史もあるしかなり完成された領域なのかと勝手に考えていたが以外にも調べていくと生活に密着しすぎて記録が残っていないという点でも分からない部分が多い分野だとわかる。近代建築の調査、研究という点で大変面白い本だと思う。

  • 藤森センセイによる一般向けの建築雑学的散文、決して批判的な意味ではなく。
    藤森センセイらしいくだけた文体。一見思いつくまま(失礼)のように展開する内容。
    本書で読むべきは、藤森センセイが自ら見たりインタビューしたりした事由。ふざけているようで奥が深い。
    個人的に興味深いのは、最終章の柔構造と剛構造についての記述。武藤のD値法の武藤先生に直接インタビューをしている著者が、武藤先生が「五重塔に学んで柔構造を思いついた」と語ったとの新聞記事を俗耳向けの説明、ジャーナリズム上の作り話と言い切っているあたり。自ら見たりインタビューをしたりしてきた藤森センセイだからこその説得力。

  • 問題設定能力と解決へと導く考察力、ユーモアがすごい。ある対象を見て何かがおかしいと感じる繊細さと、解決の糸口をつかみ出す膨大な知識量に圧倒される。そして、いつもながら藤森節といえるような文章のテンポも心地よい。

    以下に、おもしろかった所を整理する。

    ・建築と住まいの違い→結局は美しさ。自然界の中で美を感ずる能力を人類は養った。おかしい所を一瞬にして見出す能力。それを人工物にふりむけた瞬間が建築のはじまり。

    ・西洋建築は時代ごとのスタイル。日本建築は機能ごとのスタイル。

    ・中国、日本のみ宗教建築が横長。縦長は崇高性を高める。中国で孔子、老子などの身近な先祖を祭り出した時から、住宅的な横長の形式に。

    ・日本のモクゾウ。
    防火性能のため木が見えない。東大安田講堂の設計者である内田祥三の発案による準防火の考え方が現在まで至っている。

    ・屋根の国ニッポン。
    世界最多の屋根葺き材の種類。檜皮葺きは坪50万。
    四権分立または瓦を除いた三権分立。
    伊勢神宮 茅  20年の式年遷宮になじむからか。(私見)
    出雲大社 杮  日本海側は檜は育たず、杉地帯。多田羅の鉄器で杉を割った。 
    京都御所 檜皮 面積大なので最も勾配が緩くてすむ檜皮が有利。高級さの主張。
    法隆寺  瓦   仏教と同時に伝来。

    ・日本だけにある銘木の概念。

    ・間取り界の横綱居間
    茶の間=ダイニング。博物館にあるような縄文時代の竪穴式住居も復元模型の団欒風景も考古学者は否定している。外で食べていただろうし、一家族が一棟とは限らなかった。また戦前の日本には居間中心の家はない。居間以外に住宅の発展の可能性を期待したい。

    ・ブルーノタウトとミースファンデルローエはガラスを石だとして、グロピウスはガラスは何もないものとした。現在の日本のほとんどの高層ビルはグロピウスの流れか。

    ・打ち放しコンクリートは日本が引っ張った。西洋は壁式の石造からの脱却にRCの柱梁によるフレーム構造を見た。日本は既に木造が柱梁のフレーム構造で、RCでそれをやっても美しいと感じない。安藤忠雄は徹底的に壁式のRC。

  • [ 内容 ]
    近代建築史研究一筋だった著者が中世ヨーロッパ建築、さらに初期キリスト教建築、新石器時代の建築へと歴史を遡るうちに気付いたのは、建築の発祥という大問題だった。
    何が始まりだろうか?住まいか?
    それとも神殿か?
    そもそも建築とは何をもって建築というのだろうか?
    長い長い年月を経て、石や穴だけとなった遺跡を訪ね、その遺跡のもらすつぶやきに耳をすませて見えてきたものとは?
    建築の起源、和洋の違い、日本独自の建築の歩み…「建築」にまつわる疑問を縦横無尽に解き明かす。

    [ 目次 ]
    1 建築とは何だ??(建築と住まいの違いとは? 住まいの原型を考える ほか)
    2 和洋の深い溝(和と洋、建築スタイルの根本的違い 教会は丸いのだ ほか)
    3 ニッポンの建築(日本のモクゾウ 焼いて作る!?建築 ほか)
    4 発明と工夫(ローマ人の偉大な発明 ガラスは「石」でありえるか? ほか)

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 建築と住まいの違いとは?から始まって、協会、寺院建築のタテヨコ問題、準防火の考え方から始まった日本のハリボテ的木造住宅、ガラスは石でありえるか、日本人の超高層への挑戦などなど、多岐にわたる疑問を呈した上で、それを考察していく短編集のような本。ひとつひとつの章が短くて内容が濃いので電車の中でも読めそう。

    ○建築と住まいのちがい。「美しいこと」人間が感じる美しさー視覚的な秩序や統一感とは、もともと自然界の状態が元にあり、その状態を認識する中から生まれた。

    ○日本において、スタイルは時代ではなく用途に従ってきた。住む、暮らすための和風の民家の隣に平然と集会のための洋館が建てられ、和洋併置のスタイルをとった。

    ○なぜ日中韓ベトナムの宗教建築だけが横長なのか?中国では、仏教以前、儒教、道教、先祖を祭る宗廟等があった。祭られる対象が孔子も老子も先祖も実在の人間だから、住宅に適した形式である横長の建築となった。その形式を継承して、仏教建築も横長となった。

    ○内田祥三。火事好きの少年が、後に日本の準防火の法規の基礎をつくった。外壁や軒を耐火にして、延焼を防ぐ、遅くするということ。そのおかげで日本の現在の木造建築は、木造なのに木の見えない表情となった。

    ○京都御所に使われている檜皮葺き。坪50万。茅や杮と比べて一番屋根の傾斜をゆるくすることができるため、御所のような大きな建築にも使うことができた。

    ○茶室における炉の存在。人は火のまわりに集う。火があることによってまとまりができる。煎茶は炉を嫌う。

    ○ブルーノ・タウトのガラスの家。ガラスを薄い石として見ていた。タウトとミースはガラスを石の一つとして考え、グロピウスはガラスを何もないのと同じと思った。

    ○打放しの父、オーギュスト・ペレ。1年遅れで追いかけたレーモンド。「打放しは型枠の表現ではないか」林昌二

  • たとえば宗教建築を、示唆深く、わかりやすく説明してくれます。

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建築史的モンダイ (ちくま新書)の作品紹介

近代建築史研究一筋だった著者が中世ヨーロッパ建築、さらに初期キリスト教建築、新石器時代の建築へと歴史を遡るうちに気付いたのは、建築の発祥という大問題だった。何が始まりだろうか?住まいか?それとも神殿か?そもそも建築とは何をもって建築というのだろうか?長い長い年月を経て、石や穴だけとなった遺跡を訪ね、その遺跡のもらすつぶやきに耳をすませて見えてきたものとは?建築の起源、和洋の違い、日本独自の建築の歩み…「建築」にまつわる疑問を縦横無尽に解き明かす。

建築史的モンダイ (ちくま新書)はこんな本です

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