それでも子どもは減っていく (ちくま新書 813)

著者 :
  • 筑摩書房
3.18
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本棚登録 : 71
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480065179

作品紹介・あらすじ

出生率低下は成熟社会に伴う必然。それにもかかわらず為政者は子どもを未来の「労働力=納税者」として増やそうとする。本書が明らかにするのは、そうした思惑とは裏腹に、産むことを拒み、あるいは少なく産むことを望んでいる女性たちの実態であり、また、「いま、子どもである人々」の存在意義である。少子社会はその当事者にとってどのような意味を持つのか、「子ども学」の第一人者が展望する。

感想・レビュー・書評

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  • 充実の内容。
    索引があれば最高でした。

  • 2009年刊。著者はお茶の水大学名誉教授。少子高齢化問題のうち、現代の「少子」化に至る経緯を、多産を奨励し続けてきた国家と、これに対する疑義と負担感に反発する女性(加え、親としての責任分担者にある男性)との相克から検討。本書の分析自体は、戦前期から議論される「産む性」へのフェニミズムや階級対立論からの批判、また、子供の持つ価値に対する歴史的変遷(特に20世紀に顕著な子供の「労働からの解放」の意義)を解説するもので、目新しさは感じない。現代の子育ての費用対効果論が、消費社会の原理的帰結くらいが例外的か。
    さらに、著者は実のところ処方箋らしい処方箋は提示しない。ある意味、少子化は必然で諦めろ、と読めてしまう。その上で、高齢者内での所得移転・配分を基軸に据えろということなのだろう。理念的には理解できる(国家が男女の性交渉に干渉し、これを勧奨するなんて、考えただけでも悍ましい)が、その方法論は政治的に可能か。うーん、難しいなぁ…、このまま沈没する予想図しか立たない。ならば子供をもう一人持とうとは到底思えない。悪循環の極み…。

  • 飢饉の時は、間引きが行われた事実。子供はか弱く亡くなる率が高かった昔。

    今、自身の経済的な事情や、体力を勘案して、子供を育てられるか考える。

    子供がのびのび育つ時代になることを祈る。

  • [ 内容 ]
    出生率低下は成熟社会に伴う必然。
    それにもかかわらず為政者は子どもを未来の「労働力=納税者」として増やそうとする。
    本書が明らかにするのは、そうした思惑とは裏腹に、産むことを拒み、あるいは少なく産むことを望んでいる女性たちの実態であり、また、「いま、子どもである人々」の存在意義である。
    少子社会はその当事者にとってどのような意味を持つのか、「子ども学」の第一人者が展望する。

    [ 目次 ]
    第1章 花開く「少子化論争」(働く女性の支援と「少子化対策」―初期の方針;「多産奨励対策」への批判;人口減少社会の制度設計;少子化を受け止めて;産まない選択をする人々;現行の「少子化論争」をめぐって)
    第2章 「子ども削減」の系譜(近代以前の「子ども削減」策;近代以降の問題)
    第3章 女性と母性の拮抗(女性にとっての「子ども」―「私的所有物」か「公共的財産」か;底辺層からの声;母性観の現代)
    第4章 「子どもの発見」と児童の世紀(「科学」される子ども;「学校の生徒」となる子ども;「数字」で計られる子ども;「子ども消費者」の発見;「死なない子ども」の誕生)
    第5章 「子ども」の存在意義(「効用」という尺度で計られるとき;当事者として「いま、子どもであること」)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • あんましよく覚えていないのですけれども、まあ、ネガティブな感じで論考が進んでいったような気がします…。まあ、これほど成熟した国、ニッポン! ですし、自分の生活を楽しむ・守ることに主眼を置いてしまいますと、どうしても結婚後の面倒なこと…夫・妻との関係やら育児の問題などに思いを馳せてしまい、結婚を躊躇してしまう現代人の気持ちも分かりますがね!

    この国は今後どうなるのでせうか…そんなことを考えずにはいられない著書でしたけれども、考えても仕方がないし、今後も少子化が進むのはやむを得ない事態でしょう、多分。

    ヽ(・ω・)/ズコー

  • ありきたりな少子化対策について述べた本ではなく、特に女性と子どもを主役にして少子化を論じた本。「女性は本当に産みたいのか」「少子化時代に子どもはどう扱われるべきか」など、確かに通常の少子化論ではぬけおちているような論点で書かれており興味深かった。新書だから仕方ないけど、ところどころ論理展開が極端すぎる気がした。。

  • 人口減少、少子高齢化社会。これまで様々な建策がなされ、多産奨励策も現在のところ効果はあがってない。出尽くし感のある少子高齢化対策。本書では産む側の女性の精神性にスポットを当てているところに新鮮さを感じた。

  • 子どもは私的所有物か公的財産なのだろうか。
    子どもは1個の存在としては私的でありつつも、意味と価値のレベルでは、公的とみなさざるを得ない。
    「子ども」なるものに刻印された「両義的性質」に由来する。

    現在の少子化は 子どもの私的所有物が進んだ結果でしょう。
    しかし、国家財政から見ると公的財産(未来の納税者として)となる。
    その為、国は多産政策を進めようとするが、
    その考えには無理がある。

  • たしかに 少子化について語る本には子供にとって少子化とはどうなのかという視点はないと思われる働き手が減る とか年金が とかいわれたら 産む気がなくなるかも

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著者プロフィール

1931年、新潟県生まれ。お茶の水女子大学卒業。お茶の水女子大学学長を経て、お茶の水女子大学名誉教授。専攻は児童文化論、児童社会史。著書に『それでも子どもは減っていく』『異文化としての子ども』(ともに筑摩書房)、『子どもが忌避される時代』(新曜社)、『変貌する子ども世界』(中央公論新社)、共著に『〈少女マンガ〉ワンダーランド』(明治書院)、『誕生から死までのウェルビーイング』(金子書房)ほか多数。

「2012年 『女学生の系譜・増補版 彩色される明治』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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