地域再生の罠 なぜ市民と地方は豊かになれないのか? (ちくま新書 853)

著者 :
  • 筑摩書房
3.49
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感想 : 81
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480065629

感想・レビュー・書評

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  • ポイント
    ・経済的利益より人の交流を
    ・私益よりも公益を重視できる仕組みをつくる
    巷で流行っている食のブランド化の実践の困難さや、コンパクトシティに批判を加えているのは面白かったです。
    ただ批判の根拠が一面的であり、何より私怨すら感じられる書きぶりが読んでいて少し不快でした。

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、3階開架 請求記号:601.1//H76

  • 言いたいことは分かるが、論調が謙虚ではないし、冷静さを失している。そのため文章校正も非常に分かりにく。残念な1冊。特に土建専門家と岐阜市に対して、何かトラウマを感じさせる鋭い批判をしているが、著者のデータの見方についても統計を分かっているとは言えない個所もあり、水掛け論に見える。

    そもそも市民とは誰なのか?太田市の地主は市民ではないのか?
    磯崎のアートポリスは箱モノと何が違うのか?

    考察が暴れているように感じる。

  •  立派なJRの複線があるのに、一年に一回東京に行く事が便利になるというだけで新幹線の開通を心待ちにしている地域の人々もこの本を参考にすべきです。新幹線にかかる費用よりもずっと安く、列車本数を増やしたり新型車両を導入したりで、日々の通勤通学をもっと便利にすることができるのに。
     最後の方で、噴水で遊ぶ子供たちの声がうるさいから、裁判所命令で噴水を止めた、という話。近隣の高齢者の訴えによるものらしいですが、どこにでもちょっと変わった人っているもんなんですね。年とってるから、余計に意固地になってるんでしょうね。

     

  • たくさんの事例が挙げられている点はよかったが、
    さまざまな「まちづくり」事例に対するダメ出しを列挙するばかりで、少し消化不良。

    そもそも「まちづくりの成功」とは何か?

  • 星3.5

  • 1行でまとめると
    「地域活性の押し売りはせず、住民目線でものごとを考える」
    ということですかね。


    以下、まとまりなくだらだらと。

    地域再生、地域活性について成功事例と一般に紹介されていても、提供者や街づくりの地域再生関係者の目線での成功例が多く、実際に地域住民が豊かになる形で活性している事例は極めて少ないことを指摘し、著者が考える地域活性の条件とその提案がかかれている。

    住民無視での箱物建築、駅前再開発による地域活性化の押し売りではなく、人と人とのつながり・信頼・共感と、それを促す場が必要である。




    ・自治体関係者を含む地域活性関係者はどこも他地域の成功事例ばかり気にしていて、模倣するが、失敗する。それは活性には、表面的な仕組みではなく、ヒトが一番の要であることを示している

    ・徳島・上勝町のはっぱビジネスはどの地域でもできるが、実際にやってみると、はっぱを探す住民もいなければ、はっぱを売る先もない。長い年月をかけてヒトと地域が努力した結果が上勝町の成功事例になっている

    ・地域活性関係者は、地域計画を作るが、計画は、街として効率化していたり、画一的なものだったり、ルールが多かったりする。ヒトはたいてい、ルールで指示されると生活しにくくなり、むしろ反感を覚える。

    ・地域の問題の前提を間違っている事が多い。


    ・地域外へのPRのときも似ていて、明らかに地域が計画的にPRしようとすると押し売り感がでて観光客もいい印象はもてない。

  • 地域再生に取り組んでいる「だけど」うまくいない。本書は「だけど」ではなく「だから」という因果関係を捉えるとことから始まる。
    多くの自治体ではさびれゆく街中の賑わいを創出するため、どこもかしこも大型商業施設の誘致に躍起になっている。東京でさえ伊勢丹、西武が撤退しているにもかかわらず、多くの地方都市が街中にぽっかり空いた大型商業施設の撤退跡地に再び大型商業施設の誘致をしようとしている。しかも、計画たるや、3割の自治体が地域住民の意向をまったく把握せず計画を策定している。残り7割もごくごく簡単なアンケートでしか地域住民の意向を把握していない。表面的な質問でアンケートが終わってしまい市民のニーズというものを全く掬いとっていない。市民目線ではなく起業者目線でのみ事業が進められている。撤退した真の理由も考えず結果だけを急ぐ焦りから導かれた計画である。
    シャッター街と化している既存の商店街の活性化策も同様である。話題性確認の市民行動にすぎない開業時の賑わいだけを見て成功事例だと囃したてる成功事例集にまんまと乗せられ模倣する。しかも推進する商工会とか自治体というのは、起業につきもののリスクから最も遠い人たち。そんな人たちが支援をするといっても市民の心に全く響かない。客も売り手も少なすぎて困っている商店街がそもそも必要なのか。需要側も供給側も必要性を感じていないものに本当に支援が必要なのか。本来は競争で淘汰されるべき小売店を無理矢理生きながらえさせているだけではないのか。
    後半からは真の地域再生のあり方が豊富な事例をもとに詳説される。悪い例も多数紹介されている。富山市の繁華街総曲輪などはかつての面影をまったく失い廃墟と化しつつあるとまで言われてしまっている。確かに鳴り物入りで誘致された大型商業施設の周辺はいまや人影もまばらである。身の引き締まる緊張をおぼえた。

  • 地域再生が叫ばれながら、なかなか進まない現状。また、ヨーロッパの歴史ある街と比較すると、日本の街には決定的な何かが足りない。そんな疑問からこの本を読んだ。
    いわゆる「成功事例」を真似するだけの前例主義では日本の街は再生しない。しかも、その「成功事例」は成功事例でさえないかもしれない。
    まちづくりにはコンセプトが必要だ。日本のまちづくりにはコンセプトがない。
    また、役所の論理でまちづくりをしてもダメだ。徹底的に市民のほうを向いたまちづくりをしなければならない。
    いま企業でも、顧客中心主義の企業が伸びている。例えば、アマゾンは、①品揃え、②利便性、③低価格の3つのコンセプトで流通界の王者になった。
    アマゾンのCEOジェフ・ベゾス氏は、競合他社の名前を挙げる会社は、競争相手中心主義であると喝破した。また、成功例を真似する企業は先駆者でない。先駆者でない以上、競争相手中心主義である、とも言っている。
    役所の前例主義、横並び主義とは真逆の考え方だ。役所にとっての顧客は誰か。市民である。一部の業者が喜んでも、市民全体が喜ばなければ意味がない。
    市民中心主義で徹底的に考えるならば、前例にはないことにチャレンジする場面も出てくるだろう。今までの施策がうまくいっていないとすれば、むしろ前例にないことに取り組むのが自然だろう。
    役所こそ起業家精神が求められる時代に来ている。

  • 宇都宮の事例解説は大変勉強になった。なんだか暗い気持ちになるが、これが現実なんだと思う。

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