世代間格差: 人口減少社会を問いなおす (ちくま新書 930)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 313
感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480066350

作品紹介・あらすじ

年金破綻、かさむ高齢者医療費、就職できない若者。少子高齢化の進む今、生まれた年によって受益と負担の格差が出てしまう「世代間格差」は、日本の現状と先行きを考えるうえでは避けて通れない問題である。なぜ世代間格差が生まれてしまうのか。格差はいかに解消すべきか。本書は経済学的見地から世代間格差を考察し、実行可能な処方箋を提示する。社会保障・日本型雇用・少子化対策などの問題点を多角的に検証し、新たな経済社会システムの構想を鮮やかに描き出す。

感想・レビュー・書評

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  • 20200903?〜0912 この本は2011年11月発行だから、民主党政権下での社会保障政策を論じている。それから10年近く経ったが、ここで述べられている世代間格差は解消されたとは言えない。少子化は治らないし。税方式への移行とベーシックインカムの導入、医療保険改革は必要だろうな。

  • 2013.10記。以下、再掲。

    歴史家の阿部謹也氏だったか民俗学者の宮本常一氏だったかが、「中世とはつまりは『保障なき時代』であった」との趣旨のことを述べている。一たび怪我をしたり、いや単に老いたりすればどうなるか分からない。その不安が社会や精神の不安定さ(そしてまれに芸術的衝動)を招く。これをなんとかしようとして、我々は長い期間をかけて社会保障という互助の仕組みを整えてきたのだ。しかし今後この制度の運用次第では、これから生まれてくる世代は未曾有の「不安」を抱え込まされることになる・・・。

    社会保障(とくに財源)について考える上でのスタンダード本として評価が高いので一読。具体的な数字を根拠に、冷静で、フェアで、しかも問題解決への意志を強く感じさせながら議論を進める姿勢が心地よい一冊であった。

  • 世代間の格差がどのようにみられ、どのように拡大してきたかを概観できる。格差是正の提案は実際に実行するには抵抗が多いだろと思う。既得権はだれも離したくないだろうから。

  • まだ、第5章までしか読んでないし、肝心な結論部分読んでないから、感想書くのもアレだけど、前半は少なくとも、2003年卒ガチ氷河期世代から言わせてもらうと、もう、実体験から嫌ってほど実感してきたことがずーっと書かれてて退屈。自分らも、意識変えなきゃいけないとは思いつつ、割りを食ってる感が否めなくて、かなり卑屈な視点から読んじゃってるから、ダメなんだと思う。なんか、モヤモヤして、冷静になれなくて、最後まで読み続けられなかった。

  • [ 内容 ]
    年金破綻、かさむ高齢者医療費、就職できない若者。
    少子高齢化の進む今、生まれた年によって受益と負担の格差が出てしまう「世代間格差」は、日本の現状と先行きを考えるうえでは避けて通れない問題である。
    なぜ世代間格差が生まれてしまうのか。
    格差はいかに解消すべきか。
    本書は経済学的見地から世代間格差を考察し、実行可能な処方箋を提示する。
    社会保障・日本型雇用・少子化対策などの問題点を多角的に検証し、新たな経済社会システムの構想を鮮やかに描き出す。

    [ 目次 ]
    第1章 世代間格差を考える
    第2章 疲弊した社会保障制度
    第3章 変貌する労働市場・雇用システム
    第4章 立ち遅れる人生前半への社会政策
    第5章 いかに世代間格差を縮小するか
    第6章 新たな経済社会システムを目指して

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 世代間格差は深刻だ。社会保障、経済成長率、人口構造、雇用、医療、選挙制度など多方面で対策を講じなければならない。簡単でないし、これで万全という対策はない。

    感想としては、総花的でキレが少し足りなかったように思う。対策が大事なのだが、そこの検証がいまいちのような気がした。

    ・年金は破綻しない
    ・高齢者と若者の雇用は正の相関がある
    ・現物給付が出生率を高める
    ・女性の就業環境の整備は、世代間格差の解消に寄与する。
    女性の労働力率と出生率は正の相関の時代に入った。
    ・出生率とGEMも正の相関
    ・年金の収益率は、経済成長率、人口増加率、物価上昇率に応じる。
    ・世代間不均衡と経済成長率は負の相関
    ・経済成長率と社会保障支出は負の相関
    ・日本の政府債務の大きさは先進国の中で群を抜いている。

  • とても内容がつまった良書
    この一冊で得られるものはとても多いと思います

  • 世代間の格差問題を年金のみならずその他多くの社会制度(労働市場、人生前半の社会政策)についても検討した本。結局のところ今後生じると思われる世代間格差は、社会保証の充実に伴う痛みを将来世代に転嫁するという日和見的な発想によって起こったのだなと理解。

  • 誠実がゆえに、若しかしたらつまらないかもしれないけれど、非常にバランスがいい良書だった。感情論に落とすでなく、高度経済成長期に設計されたシステムの劣化だという結論に向かった客観的な論理展開が私には美しく思えた。
    巻末に解決案も提示されていて、やや深掘りができていないのではないかと思ったものの、冷静で妥当性はあった。ただ、なぜ関係者が合理的な行動に至らないのかという点に焦点をあてないと、机上の空論に終わってしまうのではないかという点が唯一残念だった。

  • 世代間格差について、定義、問題点、解決策について述べられている。具体的な数値などや政策提案がされている。
    今は出版からある程度時間が経っているので、通用しない部分もあるが、基本的な考えについては参考になる。社会保障の充実は経済成長を押し下げるという分析がある。
    年金、医療、労働、財政、人口減少と多くの制度的問題がからむ。
    世代間格差の是正についての具体的な枠組みはまだ挙げられておらず、その部分の観点が今の政策には弱い。

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著者プロフィール

加藤 久和 (かとう・ひさかず) 明治大学政治経済学部教授

「2023年 『大学生のための経済学の実証分析』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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