第一次世界大戦 (ちくま新書 1082)

著者 :
  • 筑摩書房
3.87
  • (24)
  • (43)
  • (28)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 505
感想 : 38
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480067869

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 一次大戦が複雑過ぎて、何がなんだか

  • ナティスの全体主義について、学ぶなかで、視点として、そのときの世界全体がどうなっていたのか?そして、歴史的にどういう流れのなかにあるのかを知ることがどうしても必要だということが遅ればせながら、よくわかった。

    その歴史の流れをどこまで遡ればいいのかは難しいが、とりあえず第一時世界大戦までは遡って考えることにする。

    第一次世界大戦がどうして起きたのかについては、以前にジェームズ・ジョルの「第1次世界大戦の起源」を読んでそれなりにわかっていたつもりだけど、それがどう展開していったのか、なぜ短期決戦と思っていたのが、延々と続くことになったのかという具体的なプロセスをしろうと思い、まずは新書を読んでみた。

    第一次世界大戦については、結構な文献の山があって、1冊の本、しかも新書で俯瞰するのは、なかなかに難しいだろうな〜と思っていたのだけど、これはかなりの情報を1冊の本に入れ込んでいるなと思った。当然のことながら、具体的な戦争・戦闘の進展状態・スタック状態はもちろん(といっても、戦線がヨーロッパの西に東に、そして、アフリカやらアジアでもやっているわけだから、戦闘状態をフォローするだけでも大変)、政治や経済、国民のセンティメントなどなどもバランスよくまとめてある。

    とはいえ、1ページ1ページの密度は濃く、なかなか読了にはパワーが必要で、さらっと概観を理解するという感じの本でもない。じっくり長期戦の構えで読むことが必要。(と言っても、2〜3日あれば読めるはず)

    こうやって、通史で読んで思うのは、敗戦ドイツにおいて、恐慌のあとに突如ナティスが出てきたわけではなくて、第1次世界大戦のときにすでに人間を軽視した暴力がさまざまなところで出現していて、その延長にナティスの全体主義があるということ。

    アーレントは、「全体主義の起源」で、ナティスの全体主義をドイツというより、ヨーロッパ全体の歴史のなかから、読み解こうとしていて、今となっては、歴史的なプロセスに関するアーレントの分析は古くなっているのだが、その問題の把握の仕方は、やはり鋭いな〜と思った。

  • 第一次大戦については、勉強する機会がほとんどない。
    高校の世界史でも、さらっと取り上げられる程度。
    しかし、現在の世界情勢の元になったのは第一次世界大戦であり、
    戦勝国と敗戦国との歴史だけでなく、
    植民地や周辺地域までをも巻き込んだ歴史の転換点であるといえる。
    当時の社会情勢や経済情勢までも、1冊で簡易に学べる良書であると思う。

  • 歴史の授業で少し習った程度だけど100年前にあった日本も勝利国になった大戦争なので関心がありました。
    戦記物ではないので戦闘の詳しい推移は無いものの、開戦の経緯からその後の各国の総力戦体制のことなど戦中の体制のことを学べたし、ドイツ帝国やオーストリア·ハンガリー帝国のことも個別に興味がわくようなった。

  • 第一次世界大戦が行われた期間について、年代順に状況を追って説明する概説書。30年近く前に学んだステレオタイプな大戦史とは現在の研究は大きく異なり、まったく違う捉え方が存在していることが、よく分かった。

  • 第一次世界大戦の通史本 ちくまらしいまとまり

  • 関与の仕方が薄かったこともあって、日本人にはあまりなじみのないが、世界史の上では決定的な意味を持つ第一次世界大戦い関する本。
    最新の歴史研究の成果を活かしてその意義を平易に興味深く描く。
    ジュンク堂で立ち読みしてたら、おもわず最後まで読んでしまった。

  • 分かりやすい

  • ・同盟国―ドイツ帝国、オーストリア帝国、オスマン帝国、ブルガリア。連合国―イギリス、フランス、ロシア帝国、ベルギー、セルビア、日本、イタリア、ルーマニア、ポルトガル、ギリシア、アメリカ、中南米諸国

  • 「第一次世界大戦」木村靖二著、ちくま新書、2014.07.10
    227p ¥812 C0222 (2018.02.22読了)(2018.02.08購入)(2014.08.25/3刷)

    【目次】
    はじめに
    序章 第一次世界大戦史をめぐって
    第一次世界大戦の名称/第一次世界大戦史研究の軌跡/戦争責任論争/戦争責任論争から修正主義へ/「合意」の成立とフィッシャー論争/大戦前史から大戦史へ
    第一章 一九一四年―大戦の始まり
    1 バルカン戦争から世界戦争へ
    2 緒戦の機動戦
    第二章 物量戦への移行と防御の優位
    1 戦時経済体制の構築
    2 膠着する戦況と両陣営の増強
    3 防御の優位―西部戦線での攻防
    第三章 戦争目的の重層化と総力戦体制の成立
    1 戦争目的の錯綜と戦時体制の亀裂
    2 一九一七年の危機―戦争指導体制の再構築
    第四章 大戦終結を目指して
    1 ロシアの脱落とアメリカの参戦
    2 決戦の年
    おわりに―第一次世界大戦の歴史的位置
    文献案内
    第一次世界大戦関連年表

    ☆関連図書(既読)
    「兵士シュベイクの冒険(一)」ハシェク著・栗栖継訳、岩波版ほるぷ図書館文庫、1975.09.01
    「兵士シュベイクの冒険(二)」ハシェク著・栗栖継訳、岩波版ほるぷ図書館文庫、1975.09.01
    「兵士シュベイクの冒険(三)」ハシェク著・栗栖継訳、岩波版ほるぷ図書館文庫、1975.09.01
    「兵士シュベイクの冒険(四)」ハシェク著・栗栖継訳、岩波版ほるぷ図書館文庫、1975.09.01
    「西部戦線異状なし」レマルク著・秦豊吉訳、新潮文庫、1955.09.25
    「武器よさらば」ヘミングウェイ著・大久保康雄訳、新潮文庫、1955.03.20
    「アラビアのロレンス」中野好夫著、岩波新書、1940.09.
    「世界の歴史(13) 帝国主義の時代」中山治一著、中公文庫、1975.05.10
    「世界の歴史(14) 第一次大戦後の世界」江口朴郎著、中公文庫、1975.05.10
    (「BOOK」データベースより)amazon
    一九一四年に勃発したバルカン戦争は、当初の誰もが予想しなかった経緯をたどり、ヨーロッパ戦争へ、そして世界大戦へと拡大する。「短い二〇世紀」のはじまりであり現代史の画期となる第一次世界大戦である。本書では、近年の研究を踏まえながら、その戦史的経過、技術的進展、社会的変遷を辿り、国際体制の変化、「帝国」から「国民国家」への移行、女性の社会進出、福祉国家化などをもたらしたこの出来事を考察する。

全38件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

木村靖二 (きむら・せいじ)
1943年、東京生まれ。東京大学文学部西洋史学科卒業。東京大学大学院博士課程中退、同大学助手、ミュンヘン大学留学、茨城大学教養学部講師、同助教授、立教大学文学部助教授、同教授を経て、東京大学大学院人文社会系研究科教授。現在、東京大学名誉教授。専門、西洋近現代史・ドイツ史。著書に『二つの世界大戦』(山川出版社世界史リブレット)、『第一次世界大戦』(ちくま新書)などがある。

「2022年 『兵士の革命 1918年ドイツ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

木村靖二の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×