- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480072832
作品紹介・あらすじ
秋季入学構想の加速、英語民間試験をめぐる問題……日本のリーディング大学で何が起こっていたのか? 改革の経緯を見直し、大学のあるべき姿を提示する。
感想・レビュー・書評
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3.9/81
内容(「BOOK」データベースより)
『大学という場が危機に直面している。日本のリーディング大学である東大においても、秋季入学への移行、英語民間試験の活用といった問題をめぐって目的と手段の逆転した議論が進行し、本来あるべき思考の筋道が見失われている。制度改革をめぐる混乱がここまで尾を曳いたのは、日本社会を透明な霧のように包む「諦念」や「忖度」の空気が、大学という学問の府にまで浸透してしまったせいではないだろうか。本書では、教育・入試制度改革の顛末と問題に至った経緯を見直し、大学のあるべき姿を提示する。』
『危機に立つ東大』
著者:石井 洋二郎
出版社 : 筑摩書房
新書 : 241ページ
発売日 : 2020/1/7詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
教育の国際化が目的であるが、手段が9月入学という議論に無理があった。9月入学は手段であって、何を目的とするのか、曖昧なまま進むと歪みが生まれそうです。国際化の手段は多数あったわけで、9月入学英語コース開設、留学の行き来がしやすい年間4ターム制など、歩みは止めず他の選択肢をとっただけで、東大9月入学出来なかったと語られることは違う気がしました。
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800円購入2020-04-17
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東2法経図・6F開架:B1/7/1473/K
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端的に言って、本書は買って正解でした。著者のフランス文学者のことは知らないし、東大にも特に興味があるわけでもない。ただ、目次を見ると、昨今話題の大学入試改革についてがテーマになっているようだし、これから1年教育談義を連載する(職場の通信に)こともあって読んでおこうと思った。抜群におもしろい。少し前に読んだ佐藤郁哉著「大学改革の迷走」も良かったが、それ以上だったと思う。何しろ、東大の執行部として直接関わって来られたことだから、話の内容がとにかくリアルなのだ。そして、文章も理路整然としていて読みやすいし、分かりやすい。秋入学については流れが今一つわかっていなかったが、状況が呑み込めた。その中で、必要条件と十分条件の話、手段の目的化など、まだまだ自分の中ではこなれてないが、ある程度は納得がいった。文系と理系についてもかなりすっきりした。人文知は間違いなく必要だ。文科省からの指示で、私立大学は定員を厳格化している。その結果、難易度は上昇している。一方で入試について1点刻みで合否を決めることに対する否定的な見解が出ている。その矛盾。大雑把にボーダーを決めるのなら、当然、定員も流動的でなければおかしい。なるほどだ。もっとも、著者があとがきで書いているが、文科省の若い役人たちは、国民の教育について真剣に考え行動に移している。どこそこで、自分の利益だけに目がくらんで無理矢理政策を押し通そうとするような人物がいると、おかしなことになってしまうのだろう。諦念と忖度。いや、言うべきときに、言うべきことを、言うべき人が、言わないといけないのだ。大学はスコレーとフォーラムでなければならない。決して国策大学ではないのだ。
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入試改革問題について、時系列的に整理することができた。