- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480073228
作品紹介・あらすじ
「お金を盗られた」と言うのはなぜ? 突然怒りはじめるのはどうして? 認知症の人の心の中をマンガで解説。読めば心がラクになる、現代人の必読書!
感想・レビュー・書評
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一緒に暮らしている父方の祖母が認知症と診断されています。
この本を書かれたニコ・ニコルソンさんのおばあ様(婆ルさん)よりさらに軽度。認知症の種類も違うので、症状の違いは多少あれど、重なるところもあり、かなり腑に落ちる内容でした。
キーワードは【プライド】と【孤独】なのでしょうか。
認知症ではなくても人間誰しも抱えている感情です。
認知症の方は対岸の人でも、エイリアンでも、モンスターでもなく、私たちと地続きの世界に生きているのだと思いました。
不可思議で理解できない言動も、その方自身の思いがあり、それを心理学で説明できる部分もあることを知りました。
ニコさんのマンガとサトー先生の解説が交互に書かれていますが、本を読むのが苦手な方はニコさんのマンガだけつまみ読みしても概要がつかめます。もっと詳しく知りたくなったらサトー先生の解説を紐解く、といった具合で読んでもよいかもしれません。
巻末にはおふたりが選んだ認知症に関するオススメ本ガイドもあります。
この本はブクログで知りました。
レビューを書かれたフォロワーさんに大感謝です。
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Q0認知症ってなんですか?
Q1「お金を盗られた」「強盗にあった」と言うのはなぜ?
Q2同じことを何度も聞いてくるのはなぜ?
Q3何度注意してもお米を大量に炊いてしまうのはなぜ?
Q4突然怒りだすのはどうして?
Q5高齢者の車の事故はなぜ起きるの?
Q6介護者につきまとうのはどうして?
Q7家にいるのに「帰りたい」というのはなぜ?
Q8これってもしかして「徘徊」ですか?
Q9排泄を失敗してしまうのはなぜ?
Q10介護に疲れ果てました。どうしたらいいですか?
番外編 なんでお尻を触るんですかコラー!!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
皆さんの周りの近しい人が認知症に近づく少し前に、読んでおきたい格好の手引書です。非常にわかりやすく、適当に詳しい。
認知症の人の行動には理由があります。それを「危険だ」「転んだら大変だ」といって止めようとしている。ただ頭ごなしに止めるならば、それはコントロールです。止めるけれども、「なぜ出ていきたいんだろうか」と考え、その思いを汲み取ろうとするなら、なにか別のことができるかもしれません。(236p)
私はこの10数年間で、3人の親族を看取り、また仕事との関係で、数多くの認知症患者を観てきました。3人の親族に対しては、後悔ばかりですが、どう後悔していいのかもわからなかったけど、あゝあそこが分岐点だったのだな、と気付かされました。
認知症特有の行動があります。大体は「特有」だと言うことは知っていたけれども、その「(特に根本的な)理由」「対処の仕方」をキチンと知っていたわけじゃない。あと20年ぐらいは手元に置いて、(私自身のために)時々参照したいと思います。以下、私が体験した「行動」。
・お金を盗られたと言う。
・ご飯を食べていない、食べさせてくれないという。
・同じことを何度も聞く。
・実際にあったことと違う話をする。
・同じものを毎回買ってくる。
・料理の味が変になった。
・便を漏らしているのに気づかない。
・突然怒ったり泣いたり感情が急変する。
・人が大勢いる場所で立ちすくむ。
・料理・運転ができなくなってきた。
・今日の予定を何度も確認する。
・金銭や薬の管理ができなくなってきた。
・好んでやってきたことに無気力になる。
・家にいるのに「帰りたい」という。
・毎日あっているのに急によそよそしくなる。
・汚れた下着を隠してしまう。
・物事を他人の立場に立って考えられない。
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認知症について、本人の不安な思い、介護者のやるせない思い…よくわかりました。ケアしているのに、コンローロールしている状態にならないように…ハッとしました!認知症のこと理解しているつもりでいたけど、この作品を読んで新たに気づけたこともありました。
巻末に、行動からさがす索引がついているのもいいと思います。「本人の状態が楽になれば、家族も楽になる」…本人の思いに寄り添って本人が楽になれば、家族も楽になる、そんなケアを続けていきたいです。 -
認知症とは何か?
なぜ起こるのか?
認知症患者のその行動は、どうしてなのか?
認知症患者の一見「奇行」に思える行動の理由を知ることで介護が精神的に楽になる、というコンセプトでマンガと詳しい解説のセットになっている。
マンガだけ見ても理解が出来るようになっていて実にわかりやすい。
Amazonより---------
大好きな祖母が認知症になってしまい、母と二人で介護に取り組むマンガ家、ニコ。人が変わってしまったかのような祖母との生活に疲れ果てたニコたちの前に、認知症の心理学の専門家、サトー先生が現れて……?
「お金を盗られた」と言うのはなぜ? 突然怒りだすのはどうして? 認知症の人の心のなかを、マンガでわかりやすく解説します。
認知症の人の数が既に五〇〇万人を超え、誰もが認知症になったり、認知症介護をしたりする時代。読めば心がラクになる、現代人の必読書!
『マンガ 認知症』においても私は、科学的知見に基づいて認知症の人の心を理解し、本人の状態を楽にするための方法をお伝えしてきました。
一方で、この漫画は、ニコさんや母ルさんが「なんでやねん!」を解決するために奮闘し、婆ルさんと三人で、心の安らぎに少しずつ近づいていく物語にもなっています。
本書が認知症の人、そのご家族、介護従事者の方々、そして認知症やその介護に漠然とした不安を抱いている方々が心の安らぎを得る助けになればと願っています。――佐藤眞一「あとがき」より
【目次】
序章認知症ってなんですか?
認知症を心理学的に研究するということ/認知症とはなにか/
予備軍も含めれば日本に一〇〇〇万人/認知・認知機能とはなにか/原因疾患と認知機能障害の関係/
老化による物忘れと認知症の違い/ 「おかしいな」と思ったら
第1章 「お金を盗られた」「強盗にあった」と言うのはなぜ?
中核症状と周辺症状/物盗られ妄想の原因/自己防衛としての物盗られ妄想/
身近な人を疑う理由/認知症と薬/薬をやめてみる
第2章 同じことを何度も聞いてくるのはなぜ?
さまざまな記憶の種類/短期記憶と長期記憶――陳述記憶のプロセス/
エピソード記憶障害の原因/符号化、貯蔵、検索――記憶のモデル/未来の予定がわからないことの不安/
何度でも同じことを聞く理由/なんのための介護か
第3章 何度注意してもお米を大量に炊いてしまうのはなぜ?
陳述記憶と非陳述記憶/手続き的記憶が残る理由/
繰り返される行動には、その人のアイデンティティが現われる/同じものを大量に買ってしまうときは
第4章 突然怒りだすのはどうして?
前頭葉障害で、行動のコントロールが難しく/注意機能が低下し、気が散りやすくなる/
前頭側頭型認知症の場合/夕暮れ症候群/偶然見つけたヒント/会話が重要/ときには放っておくことも有効
第5章 高齢者の車の事故はなぜ起きるの?
シニアカーがぶつかってきた/有効視野の低下/自分が今まで何をしていたのかわからない/
注意機能の衰え/選択的注意機能と有効視野/一度に二つ以上のことができなくなる/
認知症に限らず失敗しやすい「注意の切り替え」/家族の同乗がかえってよくないこともある/
運転が苦手になるのは、認知症の人に限らない
第6章 介護者につきまとうのはどうして?
遂行(実行)機能障害/目標・計画・実行のどこができないのか/できない自分に傷ついている/
押し売りに引っかかってしまうのは?/見当識障害という問題/過去と現在と未来をつなげる/
実行機能と遂行機能
第7章 家にいるのに「帰りたい」と言うのはなぜ?
見当識とはなにか/記憶の低下との関係/幼児期の記憶のあり方と似ている/
婆ルさんはどこに帰りたいのか
第8章 これってもしかして「徘徊」ですか?
目的もなくうろついているわけではない/ 「徘徊」はなぜ起きるのか/頭の中の地図がつくれなくなる/
建物と自分の位置関係がわからなくなる/鏡の不思議/徘徊が出てきたら、どうしたらいいのか/
徘徊がおさまるのはいいことか
第9章 排泄を失敗してしまうのはなぜ?
排泄の失敗が増える理由/失敗を認めることは、プライドが許さない/弄便で自宅介護が限界に/
なぜ食べられないものを口に入れてしまうのか/本人のプライドを傷つけないために
第10章 介護に疲れ果てました。どうしたらいいですか?
人間関係はギブ&テイク/ 「思いどおりにならない」はコントロールのはじまり/
「なぜこんなことをするのか」?と考える/心がすれ違うことで、ケアがコントロールに陥る/
社会的認知機能の低下と「心の理論」/まずは話を聞くことから/介護を生きがいにしない
番外編 なんでお尻を触るんですかコラー‼
衝動を抑制できない/性欲以外が原因のことも/優しさが逆効果になることも/高齢者の性欲を認める/
家族で認知症について話し合える関係に
あとがきニコ・ニコルソン 佐藤眞一 -
村井理子氏の『本を読んだら散歩に行こう』で紹介されていた中で私が唯一読んでみたいと思ったのが本書。
良書。 -
Twitterで知ったニコルソンさんの認知症マンガが、なんと、新書にー!!
素直にめっちゃ嬉しいです。
ウチも、母方の祖父、父方の祖母、どちらも認知症です。
祖父に関しては、このマンガで書かれているように、金銭への執着心が強い方だったのか、お金がなくなったと祖母や母とよく喧嘩をしていました。
それまでの温和な祖父が陰険な顔つきに変わっていくこともショックでしたし、祖母も母も気が強い人なので、ともすればものすごい言い合いになっているのを見ているのも、しんどかった。
そういうイメージだけが残っている認知症介護でしたが、このマンガを読んで、知るっていうことは見方が変わることなんだなと、しみじみ感じます。
こんな風に見られたら、この行動はこういうことだと知っていたら。
もちろん、日々の大変さがどこまで変わるのかと言われると、難しい部分もあると思います。
けれど、行き詰まってしまう前に触れてみて欲しいなと思う一冊でもあります。
マンガとコラムのような説明で成り立っていますので、新書でもキッチリしすぎず、でも砕けすぎずといった印象です。
これ、新書大賞取ってくれないかなー。 -
新書なのにマンガ!?
そしてたった2年で13刷!!?
さらに認知症というテーマに惹かれて手に取った。
結論。一家に一冊、絶対あるべき…!!!
本書は認知症について、認知症の人はなんでこんなことをするの?それに対して周りはどう対処すればいいの?…などといった疑問や認知症のメカニズムについて分かりやすくまとめられた一冊。
しかもマンガを担当しているニコ・ニコルソンさん(通称ニコルさん)と認知症研究者であり本書の解説パートを執筆されている佐藤先生は2人とも認知症の方の介護経験者。
マンガパートでは、ニコルさん・主な介護者である母ルさん、介護される側で認知症の婆ルさんの日常生活に佐藤先生が訪問して、婆ルさんがなぜ奇妙な行動を取るのか、どのようなことを考えて感じているかを解説するという形になっています。
認知症介護者にはあるある!なエピソードばかりです。
なんせマンガの中でニコルさんたちが
「介護をしている時に知りたかった!!!」
と叫ぶような、有意義なお話ばかりなのです…
今まさに介護をされている方には、共感必死の一冊と思われます。
私の周りにはまだ認知症の方がいたことごありませんが、それでも今後どうなるかも分からない。
親がなるかもしれないし、自分がなるかもしれない。
だからものすごく勉強になりました。
何より分かりやすい!!!
忙しい人にはマンガパートだけでも読むのをオススメします。それだけでもたくさんのことが分かる。
もちろん佐藤先生の解説文も合わせて全部読むのがベストですが。
そしてこの本のいいところが、介護する側・される側の両方に寄り添って描かれているところです。
どちらの気持ちも、マンガという媒体を通して、心に迫るほど伝わってきます。
私はどちらの気持ちにも泣きそうになりました…
でもあまり暗すぎず良い塩梅で描かれています。
介護する側・される側、両方の人権を守ろうという意識で書かれているのも素晴らしいです。
そして私は、佐藤先生の人生は「なんでやねん!」の連続。という言葉に励まされました。
そう、人生って、認知症に関わらずなんでやねん!の連続なんですよね。
だから、大変なことやつらいことがあっても、なんでやねん!と自分にツッコミを入れながら、周りの人に助けてもらい、笑ってすごすことの大切さを、改めて感じました。
そうは言ってもつらいことばかりでもう大変だよ…!という方ももちろんいるでしょう。
私もよくその波に飲まれます。
でもそういう時こそ一人で頭を抱えずに、お茶でも飲んで一息ついて、パラパラとこの本を読んでほしい。
きっとニコルさんや佐藤先生が、本書を通じて私たちの心に寄り添ってくれますから。
認知症の方の介護に困っている方や、周りにそのような方がいる方々にこそ、ぜひ手に取ってほしい。
ほんとに読む時間なかったら、気になる項目のマンガパート読むだけでもいいですので…!!
そう言いたくなる良書です。
以下備忘録がてら目次を。
備忘録ですが、本書に興味を持たれた方はぜひ目次を見て、この本がどのようなことを教えてくれるのか見てぜひ参考にしてください。
ちなみに、巻末のおすすめの本一欄や、認知症による「行動から探す」のページも索引として活用できて良きです。
序章
認知症ってなんですか?ためしよみ
認知症を心理学的に研究するということ/認知症とはなにか/予備軍も含めれば日本に一〇〇〇万人/認知・認知機能とはなにか/原因疾患と認知機能障害の関係/老化による物忘れと認知症の違い/「おかしいな」と思ったら
第1章
「お金を盗られた」「強盗にあった」と言うのはなぜ?ためしよみ
中核症状と周辺症状/物盗られ妄想の原因/自己防衛としての物盗られ妄想/身近な人を疑う理由/認知症と薬/薬をやめてみる
第2章
同じことを何度も聞いてくるのはなぜ?
さまざまな記憶の種類/短期記憶と長期記憶――陳述記憶のプロセス/エピソード記憶障害の原因/符号化、貯蔵、検索――記憶のモデル/未来の予定がわからないことの不安/何度でも同じことを聞く理由/なんのための介護か
第3章
何度注意してもお米を大量に炊いてしまうのはなぜ?
陳述記憶と非陳述記憶/手続き的記憶が残る理由/繰り返される行動には、その人のアイデンティティが現われ る/同じものを大量に買ってしまうときは
第4章
突然怒りだすのはどうして?
前頭葉障害で、行動のコントロールが難しく/注意機能が低下し、気が散りやすくなる/前頭側頭型認知症の場合/夕暮れ症候群/偶然見つけたヒント/会話が重要/ときには放っておくことも有効
第5章
高齢者の車の事故はなぜ起きるの?
シニアカーがぶつかってきた/有効視野の低下/自分が今まで何をしていたのかわからない/注意機能の衰え/選択的注意機能と有効視野/一度に二つ以上のことができなくなる/認知症に限らず失敗しやすい「注意の切り替 え」/家族の同乗がかえってよくないこともある/運転が苦手になるのは、認知症の人に限らない
第6章
介護者につきまとうのはどうして?ためしよみ
遂行(実行)機能障害/目標・計画・実行のどこができないのか/できない自分に傷ついている/押し売りに引っかかってしまうのは?/見当識障害という問題/過去と現在と未来をつなげる/実行機能と遂行機能
第7章
家にいるのに 「 帰りたい 」 と言うのはなぜ?
見当識とはなにか/記憶の低下との関係/幼児期の記憶のあり方と似ている/婆ルさんはどこに帰りたいのか
第8章
これってもしかして「 徘徊 」ですか?
目的もなくうろついているわけではない/「徘徊」はなぜ起きるのか/頭の中の地図がつくれなくなる/建物と自分の位置関係がわからなくなる/鏡の不思議/徘徊が出てきたら、どうしたらいいのか/徘徊がおさまるのはいいことか
第9章
排泄を失敗してしまうのはなぜ?
排泄の失敗が増える理由/失敗を認めることは、プライドが許さない/弄便で自宅介護が限界に/なぜ食べられないものを口に入れてしまうのか/本人のプライドを傷つけないために
10章
介護に疲れ果てました 。 どうしたらいいですか?
人間関係はギブ&テイク/「思いどおりにならない」はコントロールのはじまり/「なぜこんなことをするのか?」と考える/心がすれ違うことで、ケアがコントロールに陥る/社会的認知機能の低下と「心の理論」/まずは話を聞くことから/介護を生きがいにしない
番外編
なんでお尻を触るんですかコラー!!
衝動を抑制できない/性欲以外が原因のことも/優しさが逆効果になることも/高齢者の性欲を認める/家族で認知症について話し合える関係に
あとがき
ニコ・ニコルソン 佐藤眞一
おすすめの本
行動から探す -
先日、認知症の長谷川スケールで知られる長谷川和夫先生が亡くなられ、大きく報道された。効果的な薬もない認知症は、超高齢社会を突き進む日本の大きな課題となっている。
私は祖父母と同居した経験がなく、高齢となった親も幸いなことに認知症を患っていない。介護者の苦しみは想像するしかないのだが、一方で自分がどこにいるのか、何をしていいのかわからない認知症患者の不安も相当なものだろうと思う。
本書は「介護は知ることで楽になる」をモットーに、物盗られ妄想、暴言、徘徊等、認知症の周辺症状であるBPSDを一つひとつ丁寧に解説していく。佐藤先生の解説もわかりやすくて、いいのだが、本書を他の類書と違うものにしているのは、やはり途中に挟まれるニコ・ニコルソンさんのマンガだろう。あとがきで佐藤先生が、マンガが読者の「思考のあり方を大いに揺さぶる」と書かれているが、言い得て妙である。マンガの1コマに描かれる婆ルや母ルの表情や苦悩が、10の文章よりも雄弁に、認知症患者とその家族を語っている。
巻末の索引が「行動からさがす」となっていて、たとえば、〈お金を盗られたと言う〉や〈同じものを毎回買ってくる〉など、その理由や対応に読者がピンポイントでたどり着けるようになっているのもいい仕組みである。適度に専門的で、かつ読みやすい。認知症患者とどう向き合えばいいのか、その最初の一歩を踏み出す際に、本書は手助けをしてくれると思う。 -
認知症の知識や素朴な疑問を、マンガを交えながらとても読みやすく解説している一冊。病気解説本の中でも、トップレベルでわかりやすいと思う。マンガ家のニコ先生と解説担当の佐藤先生の体験談も自然に挿入されていたのもよかった。
認知症の人が起こす行動の裏側にある症状や感情を紐解くことで、介護する側の負担を減らそうという試みで書かれている。認知症の視点でのたとえ話も具体的で、その不安が伝わるところもよかった。
ぼくも介護当事者で、物盗られ妄想や何回も話を繰り返したりなどの解説事例は数えきれないほど体験しているので、その理由がわかって少し落ち着いて対処できるようになりそう。
「『老い』はプライドとの闘いです」
「必要ないものに注意を向けないようにすることも『注意力』なんだ」
「介護する期間が長くなるにつれ 相手を気遣う『ケア』だったはずの行為が『コントロール』に変わってしまうことがあると」
「だから第三者を入れることが重要なんだね」
「縛り/縛られる関係は二者関係の中で生じるものですから」
こういうことは認知症のことだけじゃなく、普遍的な対人関係にも通じることだよね。認知症は確かにコミュニケーションに障害が起こるけど、相手と向き合う基本はいつもと変わらないんだなと感じられた。
ぼくの向き合ってる介護の中では徘徊はまだないけど、記憶の逆行は最近始まった。亡くなった祖父が入院していると言っていたり。
「徘徊する目的は『帰宅願望』 つまり『過去のどこかに帰りたい』という場合もあるんですよね」
「行きたい場所が記憶の中にしかないって切ないね」
この話を読めてよかった。すごく腑に落ちたというか。認知症の方と介護者を繋ぐ橋になる一冊だと思う。介護の大変さがすぐに解消するわけではないけど、少しずつ実践しながらお互いに居心地のいい時間を作っていきたい。 -
一回サラッと読んだだけでは理解しきらないものがある、と思った。