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- Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480084170
感想・レビュー・書評
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「複雑系」というと、量子力学や近代物理学を連想するが、これはそれらで活用される知識や方法を、経済学にも応用しようという試みである。「複雑なものを単純化してはいけない」という表題にも顕れている。
しばしばマクロ経済学、ミクロ経済学では、極めて単純化されたモデルをもとに、議論をすすめる。しかしそれは実体経済と大きく乖離した理論にならざるをえない。当たり前であるが、「貿易のない」「財が二つしかない」など、ありえないのである。
そもそも、経済学は「合理的な人間」を想定しているが、我々はそこまで合理的な行動を日々しているのか、よく検討する必要するがあるであろう。オーストリア学派はそれに着目して、警鐘を鳴らし続けたようだ。
著者は途中、囲碁や将棋などを例示しながら「必ず勝ち手はあるが、それを解析するのは宇宙が終焉するくらい時間がかかる」という例を持ち出す。これは実体経済にも云えて、我々経済人はすべての財の情報をもっているはずがない。それをきちんと踏まえたうえでないと、財政政策や金融政策は効果的なものになりえない。
最近、囲碁や将棋でAIの活躍がすさまじい。我々の経済政策も、人ではなく、AIが行う時代も、そう遠くない未来にやってくるであろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示