- Amazon.co.jp ・本 (409ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480089298
感想・レビュー・書評
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日本の古代から中世にかけて、農民が貴族階級や封建領主から搾取され、悲惨な状況にあった、というイメージが、実は誤りであった可能性が高いという。確かに、何百年もの間、農民が虐げられ続けてきた、というのはなかなか想像できず、腑に落ちないものがあったが、百姓=農民ではなく、かなり古くから商工業によって庶民は潤っていた、と説明されると納得してしまう。隆慶一郎が主題にしていた「道々の輩」につながる神人、供御人の成り立ちが説明されていてこちらも納得。
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2013/11/25 読了
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全般に細かく説明されているため、逆に予備知識が必要であった。
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近代以前は農業中心の社会という、従来の歴史認識の大前提を覆す。
あらためて歴史は多角度からの目線で見る必要性を教えてくれる。
土地を持てないのではなく、海運、金融などによって富を築き、土地を持つ必要のない富裕な水呑百姓の姿には驚いた。 -
まさに”日本の歴史をよみなおす”といった感じ。
今まで、百姓=農民の思い込みがあり、農業中心で日本の歴史が読み解かれていたが、これが完全に間違いだったと、説得力をもって語られる。
なるほど、そうかもしれない。
そうすると、全然異なる日本の姿が見えてくる。
今後の日本のあり方を考える上でも、こうした視点で日本の歴史をもう一度読み解くことは非常に重要に思う。本来の日本の有りようが見えてくる気がする。 -
素晴らしい本。
「百姓」とは、農民のことではなかった。
江戸時代、日本の75%は百姓だった=農民だった、すなわち日本は農本国家だった、と思われていたが、実は海洋交易、金融業など非常に幅広い産業を有した国だった。
そして、中世以降、日本の歴史は、「農本国家」vs「オルタナティブ(重商)国家」の闘争だった(後醍醐vs足利、清盛vs頼朝など)。
そして女性の役割、えたひにんが果たした役割。
いずれもこれまでの歴史観を覆されるもの。
日本とは何かを考えるに、これは必ず読むべきもの。 -
読み物として、イマイチ。意外な内容もあるが書き手がね。
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百姓=農民という固定観念の見直しを喚起する内容。まさに目からウロコです。隆慶一郎の作品にも影響を与えたものです。歴史はまさに、多角的な視点から考察しないといけないものだと考えます。
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続編も含めた2冊が1冊にまとまって文庫化されたもの。最近の研究により史実が明らかとなり、我々が学生の頃に習った日本史と認識がかなり異なる様相を呈している。タイトルの通りよみなおす事によって認識を改められる他、我々の日本人としての深みが増すことができそう。
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この本はこれまで読んだ歴史書とは全く異なった視点で書かれていて、目から鱗という表現がこれ程相応しいと思われる歴史書はない。
一般に歴史書といえば、西暦何年になにがしかの出来事があり、誰と誰が関わっていたという表現が相場であった。しかし本書は日本は本当に農業中心の社会だったのか、商工業者をはなぜ蔑視されるようになったのか、また庶民の暮らしぶりはどうだったのか、女性の地位はや権利は無視されていたのかなど、これまでの歴史書には見られない視点で議論が展開される。全く面白く直ぐに引き込まれていった。本書は
本編
第1章 文字について
第2章 貨幣と商業・金融
第3章 畏怖と賤視
第4章 女性をめぐって
第5章 天皇と「日本」の国号
続編
第1章 日本の社会は農業社会か
第2章 海からみた日本列島
第3章 荘園・公領の世界
第4章 悪党・海賊と商人
第5章 日本の社会を考えなおす
と、こんな構成になっている。この中で特に興味を持ったのが、本編の第3章で語る非人の賤視についてと続く第4章の女性問題である。
いつの頃から穢多非人と呼ばれる人たちや部落というものが出現し、差別の対象とされたのか。著者独特の視点から解明を試みている。
また、近代においては女性の地位は低かったので、我が国では古来からそのような扱いをされてきたものと思いがちであるが、鎌倉以前は女性の金貸しがいたし、荘園の管理人になっていたことも少なからずあるという。さらには厳しく年貢を取り立てるので農民たちが訴えを起こしたという文献が残っているという。
いわゆる一般の歴史書では知り得ない歴史を目の当たりにし、目から鱗が落ちる思いであった。